Small Chest “弧”
小さなチェスト。(380w 280d 240h)
抽斗にA4サイズの書類が対応する程度のもの。
前に、この木取りの経緯について語ったので、それについては繰り返さないが、
駆体はブラックウォールナットで、柾目と板目のタイプ。
それぞれ、左右の帆立(側板)、甲板は連続した木取りとなっている(木目が繋がっている)。
接合は天秤指。見付部分は留めである。
タイトルにあるように、正面、抽斗前板は太鼓に張らせ、円弧状になっている。
1,800Rと、比較的なだらかなものにしたが、もう少しメリハリを付けた方が良かったかな、などとの反省もある。また逆にあまり小さくすると、キレイでなくなる。
この辺りは、全体のボリュームとの関係性もあり、判定は簡単ではない。
まぁ、この程度で良かったのだろうと、腹を括ってみる。
抽斗前板は、数種の材種を用いる事で、色調の変化を付けた。
ただの筺であることで、凡庸に陥るのを嫌ったわけだが、しかしこの辺りの判断も難しい。
外連味が出てしまっては元も子もない。
ギリギリのところでの遊びだな。
装飾性を排したシンプルなものだけに、鈍であってはならないと思うからね。
- ブラックウォールナット
- クラロウォールナット
- カーリーメープル
- バーズアイメープル
抽斗前板の接合は鬢太での天秤。
駆体の天秤と較べれば、鬢太の分、加工の難易度は高まり、面倒くさいが、遊びの感覚で挑めば楽しくやれるものだ。
前板の彫り込みは、治具を造り、ハンドルーターで攻め、残る2割方を手ノミで彫る。
側板の方も、昇降盤で鋸を入れ、中央の天秤部は手ノミでさらう。
このような場所は鎬ノミで突くのが望ましいが、わずかに2分ほどの鎬ノミは生憎取りそろえておらず、少し苦労した。
J・クレノフ氏がナイフでさらっている写真があったりするわけだが、日本の職人とすれば、ノミでビシッといきたいものだね。
こうした小さな筺、少し味を占めた感もあり、次は手許にあるチーク材を用い、意匠を替えてやってみたいと思った。
秋深まってくる時季だが、午後3時頃に外出したところ、何と外気温は32度ほどもあった。
曼珠沙華だが、お彼岸の時期にほころびはしたものの、未だ咲き揃わない。
季節の遷移が少しおかしい。
日曜から週明けに掛け、巨大な台風が日本列島を横断しようと狙い澄ましているようだが、
台風が過ぎ去れば、一気に秋めいていくことだろう。
いつぞやみたいに、台風が真っ赤に染まったアキアカネを連れて来るかも知れない。