工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

「コレクションテーブル」の脚部

テーブル脚1

うちの小さなテーブル「コレクションテーブル」の脚部の成形。

この「コレクションテーブル」とは、ご覧のように小さなセンターテーブル様のものなのだが、ガラスの甲板下に13cmほどの深さのある収納機能を持たせたもので、器、工芸品などを入れ、これを愛でながらお茶してもらおう、というもの。

先の個展の際の受注品だが、樺でスケールアップして作ってもらいたい、という要望からのもの。
展示品と同じブラックウォールナットのものであれば半完成品もあったのだったが、それを押しつけるわけにも行かず、また新たに制作することになったという次第。
仕事内容はさほど難易度があるわけではないが、小ぶりでありながらも細かい加工が必要とされ、工程数も多く進捗が今ひとつ。
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小曽根 真 〈Road to Chopin〉

小曽根真リサイタル

グランシップ、中ホール・開演前/by iPhone4


ショパン弾きは世界にあまたいるけれど、ディキシーランド、ラテン、ブルースの影響下からスタートし、そしてオスカー・ピーターソン、チック・コリアをリスペクトするJazzピアニストがショパンに挑み、アルバムを出したというので話題になっていた。

確かに今年はフレデリック・ショパン生誕200年というショパンイヤーであれば、マーケティングとして格好の材料?、といった穿った見方をされようとも、そんな甘っちょろい姿勢でショパンを御することなどできるわけもない。

しかし小曽根真はあえてこれに挑んだ。真摯な姿勢で。
CDタイトルも〈Road to Chopin〉
CD内、いくつかの曲はほとんど原譜をトレースする部分があったりするわけで、それをリスペクトとして見ることもできるが、いやむしろ微妙に小曽根節が出てきたり、Jazz特有の不協和音を伴う揺らぎとして小曽根流の解釈が提示されたりと、チャレンジングな緊迫感と諧謔精神が交錯するユニークな表現に、彼ならではのショパンへの尊敬を見る思いだった。

そして音楽はやはりハーモニーだと思わされた。
Jazzもリズムとともにハーモニー。メロディーも重要でないわけではないが、まずハーモニーが豊かでなければつまらない。

昨日、この〈Road to Chopin〉という新譜をひっさげたピアノ・リサイタルが静岡市のグランシップで開かれたので、聴いてきた。
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乾燥・収縮の力とデザイン貢献?

椅子

冬ですね。
ここ静岡でも遠くに望む富士のお山には小さな白い雪帽子。
昨日などは県西部で被害を出すほどの強い木枯らしが終日吹きまくっていた。

工房の薪ストーブにも火が入り、いよいよ長い冬へと向かっていく。
木工という仕事柄、湿潤な大気に包まれる晩春から夏の時期と較べればはるかに喜ばしい季節ではある。

さて、喜ばしい乾燥した時期も、これが何年も経過していくことで、木の痩せは進んでいく。
例え良く管理された乾燥材であっても、日本の四季の大気による伸縮の影響は避けがたく、伸びたり、縮んだりしながらも、徐々に痩せ、縮んでいく。

画像は6〜7年ほど前に制作された椅子。
過日、使っていた顧客宅から引き上げてきたもの。
他の椅子の代替品として一時的に使っていただいていたものである。
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Blogお引っ越しについて(予告)

この「工房通信 悠悠」ですが、近くお引っ越しする予定です。

新しいBlogでの運用開始時期は未定ですが、今月末にでもスタートさせたいと考えています。
URLの変更は無しでの移行を考えていますが、新たなBlogツール環境をURLごと引き継いで構築するのはかなり難しいようですので、これは未定です(直裁に言えば自信がない)。

その他、新たなツールを用いることでの不確定要素も多く、やってみなければ分からないという状況です。

引っ越ししなければならない理由は単純で、現在のBlogサービスの提供が終了するためです。
つまり強いられてやらざるを得ないという望ましくない状況。

また首尾良く移行させたとしても、URL継承問題同様に、これまでの記事(画像も含め)が新しいBlog環境下で問題なく引き継ぎ、生成されるかという不安もあります。

移行後にあらためてそうしたことなどについてもご案内をさせていただきますので、ご理解いただけるようお願いします。
以下は悩める運営者の愚痴を含むモノローグ(Web、Blog構築に関心のある方はどうぞ)

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映画〈レオニー〉

レオニー

映画〈レオニー Leonie〉

映画〈レオニー〉が今月下旬に封切りされる。

“宿命の越境者”、イサム・ノグチの母親レオニー・ギルモアの物語である。
劇場のスクリーンの前に座ってから語るべき事があればあらためてこちらでも触れてみたいと思うが、このBlogのアフィリエイトに映画の原案にされたドウス昌代氏による『イサム・ノグチ―宿命の越境者』が収められていることもあり、あらかじめ簡単に紹介しておきたいと思う。

10億円を超える製作費用を前にして、怯むことなくメガフォンを取ったインディペンデンスの監督、松井久子が映画化の思いを密かに胸に抱いたのが、牟礼のイサム・ノグチのアトリエ跡地の庭園美術館であったことを聞くと、ちょうど1年前に同じ地に立ち、そのムンズと心臓を捕まれるような静かな中にももほとばしる熱いエネルギーを思い起こせば、彼女の強い決意を共有せずにはおかない。
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ミズナラの座卓・進捗

ミズナラ座卓の脚部

ミズナラ座卓の脚部

知人から、最近のBlog、仕事してるの?
との心配、いや冷やかしのメールが届く。
ボチボチでんなぁ、とお応えしていたが、この時季、木工に限らずだろうが、仕事がはかどってありがたい。

秋の深まりというのは、例年も同様にこうした急ぎ足だったのかな、と首をかしげたくなるほどにその移ろいは著しい。
身体の方がついていけないよ。
湿度は時によっては30%を切るほどまでの過乾燥。
少し身体を動かすだけで口の中が枯れる。呼吸器疾患を持つ者としては要注意の時期でもある。

さて、今は複数のものを並行的に進めているが、画像のものがその1つ。
うちの定番でもある座卓の脚部近影だ。

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普遍性を獲得する、ということ

前回、モノ作りにおける美意識と批評性ということについて少し考えて見たのだが、もう少し続けてみようと思う。

最近、優れた木工家具を作る気鋭の若い木工家と数回にわたってメール交換でのダイアローグを交わすということがあった。
このBlog記事への感想から始まるものではあったのだが、コメント欄に押し込められる分量でもなかったのでメールでのやり取りになったという経緯。

最初は家具のデザイン、造形、仕口などに関わる話しでしかなかったのだが、結局はモノ作りに従事する立場性と言ったような普遍的なものにも及ぶものになっていった。
このダイアローグではいくつかの事柄において微妙な認識の差異も認められたものの、貫かれている基本的な立場、認識においては共有できることが多く、若い世代にこうした木工家がいることに強い印象を受け、また安堵と言おうか、嬉しくもあった。

なにゆえに、今の社会にあってモノ作りをしていこうとするのか。
ただ木工が好きで、家具らしきものが作れたよ、という喜びはそれ自体確かに尊いものであるし、微笑ましいものだ。
木工という世界は、他の工芸同様、ピンからキリまで多様であり、その次元も様々。
日曜大工からはじまり美術工芸品にいたるまで、その間の距離は怖ろしいまでに絶望的で隔絶したものがある。
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POP UP studioに描く(森下真・家具展)

POP UP studio1

表現活動において、展覧会という催しに何を求めるか、という問いにはいくつかの答え方ができると思う。
これはファインアートに限らず、ボクたちが企画する木工家具の展覧会においても本質的に大きな差異はない。

すなわち、作家が心血を注いで創作した作品の披露であり、これを広く一般に開示することで批評を受けるというのも主要なテーマの1つ。
木工家具展覧会の場合では、機能における合目的性、時には新奇性であり、それらに貫かれる美質を問うものであるだろう。

これらを通して作者の美意識、造形での力量、そして当然にも木工という手法を用いるからには投下された技法の練度、多様性、なども問われるということになる。

それらの1つの結果として売買が成立するということもあるわけだ。
顧客との間では、何か、パンやら牛乳をコンビニで求めるといった消費動向とは本質的に異なる関係性がそこにはある。
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台風一過

rainbow

台風一過の落とし物 by iPhone4

台風がもたらした雨風は、我が住まう地域を足早に過ぎていった。
現在はどこをうろついているかと言えば、こちらだ。

画像は雨を突いて週末恒例の買い出しで近くのマーケットに出掛けた時のもの。
午後4時過ぎのこと。iPhone4での撮影。

レジに並んでいた時に、急に外が明るくなり、「やっと雨も上がり、夕日が射してきたんだ」と思うも間もなく、空一面に大きな完璧な半円形の虹が掛かった。パーフェクトな虹の姿だ。
慌てて外に出て、この自然現象に酔いしれる。

iPhoneもかなり広角域に設定されたレンズを持つが、この半円形全てを収めるほどの仕様ではなかった。
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老いを忘れた木工職人

白山を背景に、親方の雄姿?

画像はかつて修業時代に世話になった親方Fさん。
白山スーパー林道でのショット。
世話になった期間はわずかに1年足らずであり、ボクのことを弟子とも思ってはいないかも知れないが、しかしその時間の長さをはるかに超える多くのことを教えられた。

このFさんの木工歴だが、中学を卒業し、職業訓練校に入校。
当時は悪ガキで、決して良い生徒ではなかったようだ。
卒業後、横浜クラシック家具の系譜に繋がる中堅の家具製作所に就職。
駐留軍の米兵などからの依頼で、様々な洋家具を作っていたらしい。

そこの親方は軍隊の将校上がりの人だったようで、かなり厳しく鍛えられたという。
多くの兄弟子にも可愛がられ、いわば恵まれた修業時代を送っていたようだ。

その後縁あって静岡に木工所を構え、一時は多くの弟子を抱えて活況を呈していたという。
ボクが世話にるきっかけはひょんなことからだった。
静岡で木工房を構えていたC/M帰りのMさんのところに訓練校の休みを使いお邪魔したところに、たまたまこのFさんが来ていた。
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