工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

好みの“面”はありますか

蛙股面
好みの“面”、と言われても、建築や工芸について関わる人でないと何のことか分からんね。
“面”とは一般にはある矩形の物のエッジ(角)に施す切削断面のことを指すと言って良いのかな。
この“面”は建築や工芸という人々の手に触れるところに施すわけなので、やはり必須のことだね。
以前、ご一緒した展示会で隣り合わせた著名な木工家の作品の背中側で接客するということがあったが、そのキャビネットの背中の柱、桟などの面が全く取られておらず驚いたことがあった。
裏側だからということで無視したのだろうが、運搬の際などで手に触れることはあるわけで、ピン角では怪我しちゃうでしょ。
人間はあまり丸くまとまるのはかえって気味悪く、少しはエッジが効いていた方が魅力的だと思うが、キャビネットなどではせめて坊主で丸めてもらいたい(エッジが効いているボクが言うのだからね)
ちょっと本題から逸れつつあるので軌道修正する。
“面”はこのように単に「優しく」というだけではない効用があることは言うまでもない。
建築、家具、あるいは工芸品の意匠を構成したり、イメージを形成する上でとても重要なエレメントだ。

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旧作映画の再上映と第82回アカデミー賞

第82回アカデミー賞、授賞式が一昨日執り行われたね。
下馬評で最も話題をさらっていたジェームズ・キャメロン監督『アバター 』は技術的部門3つのオスカーに留まり、対してキャスリン・ビグロー監督作品『ハート・ロッカー』が主要6部門をさらっていった。
元夫妻という両監督、なかなか話題作りにも配慮したオスカーアカデミー会員の粋な計らい?(なんちって)
ボクはその日は21年前に公開された映画を観ていた。
バグダット・カフェ』という1987年作の名作だ。(日本公開は1988)
この映画はアカデミー賞としては最優秀主題歌賞にノミネートされただけの、少しじみ〜な作品だったかもしれない。
そうそうジェヴェッタ・スティールが歌った「コーリング・ユー」という曲がその後一人歩きするような勢いでヒットしたから、そちらを知っている人は多いと思う。
これが〔ニュー・ディレクターズ・カット版=108分〕として再上陸。
昨年末から各地で上映されているんだね。
当然無類の映画青年だったボクも封切り時に視ていたし、老いて再上陸ということであれば何を置いても観なければならんだろ。
というわけで足を運んだ。

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バンクーバー冬季五輪大会を終え(メディアから考えた)

五輪という名の祝祭が終わり、こうして日常に戻ってみれば、あの騒ぎは一体何だったのだろうかとの感が無くもない。
今日(こんにち)の我々を取り巻く情報というものは、デジタル社会となってそれ以前の数倍、いや数百倍の怒濤のような洪水として押し寄せてきている。
家にいるときはPC、Macの前にドッカと腰を下ろしてのネットサーフィン、移動中はスマートフォンとにらめっこ。
会社に着けばWindowsを起ち上げてメールチェックから業務がスタート。
勤め帰りの一杯飲み屋ではTVから流れる惚けたお笑い芸人たちの狂騒に混じり、訳知り顔のワイドショーコメンテーターによる説教を聴かされ、帰宅すれば家人から「ねぇ、ねぇ、今日テレビでね ……」と芸能界のうわさ話を聞かされ、チリ地震の被災情報も晩酌とともに流され、それら全てが飯とともに消費されていく。
人の噂も75日、と言われてきたが、とんでもない。海馬での保存期間はわずかに数日というところだろうか。
こうしてあれだけ華やかに繰り広げられたバンクーバーの祝典の脳内映像も、外付けHDDから呼び出さないとデスクトップには表れてくれない。
さて、五輪というスポーツ競技最大のイベントが運営できるのも、メディア無くしては語れないことは知っているだろう。運営の資金源が各国TV放送局が買い取る放映権料によって賄われるようになったのはいつの頃からなのかは知らないが、これを最大限に活用させるシステムを作ってきたのが前IOC会長・サマランチであることだけははっきりしている。

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その高額な放映権料のためとでも了解するしか無いのか、と思わされたのがNHKの放送。

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X-Y軸の傾斜(椅子制作の魅力)

椅子の文化史的発展に関しては、その世界史的文脈から遅れてきた日本ではあってもいくつかの専門書があるほどだが、これはまた技術史的文脈としても同時に語られなければならないテーマでもあるだろうね。
椅子の歴史は古代エジプトのファラオの玉座から始まると言われるが、直立した背と水平な座にヒエラルキーを付与するためのデコラティヴな装飾、という構成であり、これは決して座り心地が良かったとは到底思えないものだろう。
近代の「身体」から考えられたデザイン、構成というものに接近するまでにはその後4,000年以上の時間が必要とされた。
いろいろと説はあるものの、バロックからルネッサンス様式の時代に来てやっと「身体の快楽」から要請される設計、意匠になってきたようだが、ご存じのように椅子に限らず宮廷には様々な目的と機能を満たすための家具、調度品が所狭しとが置かれるようになったのもこの頃からだった。
無論技術史的にもそうした求めに応えるための発展があってはじめて可能となったのは言うまでもない。
その後、いよいよ機能美から装飾性を強く意識した椅子を含む家具の発展があったわけだが、しかし今では装飾は悪であるかの如くの現代に生きる我々家具職人としては、どのようなデザインの家具が時代から求められているか、なかなか読み解くことの困難な場に立ち竦んでいるかのようだ。

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「私語り」について(斎藤美奈子氏 時評から)

苔
先にBlog記述に関わり「含羞」という言葉から考えて見た(こちら)ことがあったが、あらためてBlog記述について考えさせられる新聞記事があった。
朝日新聞〈文芸時評〉斎藤美奈子氏の《「私」を語る方法》という02/23付の評論。
後半に出てくる石原慎太郎「再生」(文学界)へのコテンパ批評は痛快であり、それ1つとってもお勧めであるので機会があれば目を通すのも一興かと。
朝日新聞〈文芸時評〉は一昨年までは加藤典洋による連載だったがこの斎藤氏に代わったときは、少なからず違和感があった。
文芸評論家とはいえ恥ずかしながらほとんど読んだこともない人だったということもあるが、それまでの加藤氏とは評論の視座が異なるのは当然としても、文体に馴染めなかったことが大きかったのかもしれない。
簡単に言えば今風のポップな文体であり、そのことによる読みやすさもこの人の戦略なのかと思った。 毎回目を通す内にその文体にも慣れ親しんでくるからおかしなものだ。
フェミ系、サブカルの方に関心領域があるようだが、それもまた彼女の戦略なのかもしれない。
ともかくも多く読んでもらわねばはじまらないからね。

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さて、今回の時評、〔「私」を語る方法 〕とタイトルされたものだが、なぜこれをここで取り上げるかと言えば、Blogという表現方法にも深く関わるものと感じられたから。

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五輪もいよいよ最終コーナーへ

バンクーバー五輪もいよいよ大詰め。不幸にも練習中不慮の事故もあったり、雪不足で運営サイドは大変な苦労していたようだが概ね順調に推移しているようだ。
開催国カナダ五輪委が宣言した「Own The Podium」はともかくも、女子アイスホッケーも圧勝したし、男子チームも最終日のアメリカとの決勝へと駒を進めている。
現在のところメダル総数はアメリカに大きく差をつけられているものの金メダルとしては最多だ。
アメリカチームは、そのほとんどがNHL(北米プロアイスホッケー)所属だしね。
ところでプロ競技でも五輪参加を巡ってはいろいろな考え方、立場があるようだが、NHL選手はトップシーズンでありながら選手を送り出すチーム側のケガの心配をよそに必死になって戦っているようで、TVを通してという制約ながら見ている側も熱くなってしまうほどの白熱の展開。
国母クンのスノボ、ハーフパイプの世界では“五輪なんかにうつつを抜かす奴などダセェ ! ”という訳だが、彼らの五輪に対する相対化の意識を見るに付け、プロとしての面目躍如という感がしてくる。
(そうした世界のプロ意識というものを知らずして闇雲に叩くメディアの恐ろしいまでの知的怠慢、想像力の欠如には辟易とする)
明日未明、冬季五輪の華、アルペン回転予選が始まるね。
やっと皆川賢太郎の出番だ。
トリノ五輪では4位と健闘し、日本選手のアルペン競技としては50年ぶりの入賞を果たしている。
今季は決して良い状態ではないようだが、最後の五輪競技と考え、ぜひ力を出し切って欲しいです。
帰国後は上村愛子との挙式を控えているということなので、花を添えてもらいたいところ。
ウィスキーちびちび飲りながら、3時まで起きていられるかな?
では週末恒例のYouTube/カナダ特集。今日はやっぱりグレン・グールド先生にご登場願おう。曲はゴルドベルグ変奏曲BWV.988から冒頭部

春へ向け、体調整えて(食生活の見直し)

レモン
各地で春一番が吹き荒れ、弥生三月もすぐそこまで、という季節になりましたが皆さんお元気にお過ごしでしょうか。
この冬、これまでのところインフルエンザや風邪に罹患することもなく、健康に過ごせているのでありがたい。
ボクのような自宅に隣接した工房で日々木工に勤しむという暮らしを常とする環境というものは、風邪を引く、あるいは“もらう”というリスクはより低いということが幸いしている。
数日前に出かけた床屋では待合席で対面した母親同伴の中学生と思しき男の子から、質の悪そうな咳の飛沫が飛んでくるので、思わず慌ててハンケチを取り出して顔を覆ってしまうということがあった。
いわば無菌室のようなところで日々を送っているものからすれば、外は危なっかしくて仕方がない。
子が子なら親も親。子にハンケチを差し出すこともなく知らんっぷり。
公的空間に咳き込む体調で外出する時には、せめてマスクぐらいしましょうね。
画像はレモンと蜂蜜。
レモンは農業に勤しむ友人宅に訪問した折に庭に植えている樹からもぎとってくれたもの。
無農薬のレモンだ。
蜂蜜も近頃はめずらしくなった国産のもの。しかも隣町で製造された出自が明白な「ミカンの蜂蜜」である。
この2つが揃えば、当然にもホットレモネードで頂くことになる。
風邪予防にどれだけの効果があるのかは知らないが、ビタミンCは必須の栄養素なので積極的に取るのは悪いことではない。しかもこれに様々な効用があると言われる蜂蜜が入れば申し分ないだろう。

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二枚ホゾの薦め

椅子の貫
ホゾをどのように設計するかということは、木工家具の構造を考えるときいくつかの課題の中の重要な1つになるが、二枚ホゾを積極的に導入するということについては過去何度かこのBlogでも触れてきたところ。
今回のものは椅子の貫というかなり細い部材においても二枚ホゾを付けちゃおうという紹介である。
下の画像の「アームチェア大和」という椅子はこれまで100脚以上制作してきたうちの定番の椅子だが、ご覧のようにブラックウォールナットという広葉樹の中でも気乾比重≒0.63というやや重厚な部類に属する樹種ではあるものの、比較的軽く作られている。
多くの客が手にとってその意外な軽さに驚かれる。
“手作りの椅子”でござい、というジャンルのものではとても重く、日常ダイニングチェアなどで用いる場合、その使い勝手、清掃の際の移動などでかよわい女性の手には余るものも少なくないようだ。
そうであってはならないだろうという考えから、見た目は重厚ではあっても、可能な限りに軽くしたいものだ、ということで贅肉を削ぎ落として設計された椅子でもある。
したがってこのH型の貫も細身のものとなっている。
貫という部材は、椅子に限らずいわゆる主要な構造材ではなく脇役ではあるが、しかしそれが無いとちょいとまずいだろう、という名脇役。

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Kazuクン、君は立派にやり遂げた(孤高のスノーボーダーへ)

ボクはスノーボードは詳しくはなく、前回4年前の冬季五輪トリノ大会選手リストで君の名前を見つけて知った程度だった。童夢クンなどと並んでいた。
その後、NHK BSで放映されていた「X Games」でのアクロバティックなスノーボードの魅力は少し理解できたし、それらがアフロアメリカのビートを前面に出したHip Hop音楽から始まるファッション、アート、そして社会風俗として影響を及ぼしていくアメリカンカルチャーの息吹の中から登場した新しいスポーツなのだということも徐々に理解してきた積もりだ。
今回のバンクーバー五輪の選手名簿に君の名前を見つけ、21になっていることを知った。あれから4年たったわけだ。
昨秋には結婚したというじゃない。おめでとう !


さて競技の結果は第8位入賞ということだったが、これは立派な戦績だと思う。
実際、予選では42.5点という高得点を挙げ全選手の中でもかなり良いところに付けていたし、決勝では予選で封印していた「ダブルコーク」の大技を披露し、これが結局はクリーンに決められなかったことで上位入賞を果たせなかったという結果だったね。
でもマックツイスなどの豊富なエア、滞空時間の長さ、着地の安定感、全体の演技構成など、その流れははとても美しく、アートにさえ感じさせてくれたし、美しさという点においては群を抜いて立派だったと思った。
決勝での試技で転倒し、顔面を強く痛めつけてもなお、その美しいパフォーマンスは変わらず、君のその意志の強さ、アスリートとして高次元の力量に本当に感動すら覚えた。

この8位という結果は君の力量そのものだと客観的に理解するしかないわけだが、しかし一方、残念なものだったとも思う。
他でもなく、君が自分の本来のパフォーマンスをスムースに出せる環境には全くなく、ひどく抑制された状況下で臨むことを強いられてしまったからだったね

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木工屋の原材料管理

桟積み状態
昨日から2日掛かりで桟積み状態の材木の移動で奔走。
昨年春の資材置き場兼倉庫の移転についてはここでも触れたと記憶するが、一部、桟積みした山の移動を怠っていた。
製材屋の土場に桟積みされた状態で置かしてもらっていたものだが、いよいよ搬送をせざるを得ない状況に。
できれば天然乾燥が終了する時期まで保管してもらいたかったのだが、あまり無理も言えない。
仕方なく桟積み状態の材木の山を積み込み、12Kmほどの距離を4往復。
それに伴い新たな土場の整備と、搬送、そして再設置、トタン屋根の整備と、結局2日間たっぷり掛けての大仕事となってしまう。
これらは木工職人の業務としては必須のものだと考えているが、こんな面倒くさいことをせずとも、材料屋から乾燥材を求めれば済むという考え方もある。

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