工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

春へ向け、体調整えて(食生活の見直し)

レモン
各地で春一番が吹き荒れ、弥生三月もすぐそこまで、という季節になりましたが皆さんお元気にお過ごしでしょうか。
この冬、これまでのところインフルエンザや風邪に罹患することもなく、健康に過ごせているのでありがたい。
ボクのような自宅に隣接した工房で日々木工に勤しむという暮らしを常とする環境というものは、風邪を引く、あるいは“もらう”というリスクはより低いということが幸いしている。
数日前に出かけた床屋では待合席で対面した母親同伴の中学生と思しき男の子から、質の悪そうな咳の飛沫が飛んでくるので、思わず慌ててハンケチを取り出して顔を覆ってしまうということがあった。
いわば無菌室のようなところで日々を送っているものからすれば、外は危なっかしくて仕方がない。
子が子なら親も親。子にハンケチを差し出すこともなく知らんっぷり。
公的空間に咳き込む体調で外出する時には、せめてマスクぐらいしましょうね。
画像はレモンと蜂蜜。
レモンは農業に勤しむ友人宅に訪問した折に庭に植えている樹からもぎとってくれたもの。
無農薬のレモンだ。
蜂蜜も近頃はめずらしくなった国産のもの。しかも隣町で製造された出自が明白な「ミカンの蜂蜜」である。
この2つが揃えば、当然にもホットレモネードで頂くことになる。
風邪予防にどれだけの効果があるのかは知らないが、ビタミンCは必須の栄養素なので積極的に取るのは悪いことではない。しかもこれに様々な効用があると言われる蜂蜜が入れば申し分ないだろう。


ところでボクは高校生の頃喫茶店で厨房のアルバイトをしたことがあり、ここで店長からいくつものレシピを伝授され、その後そうしたものが日常の飲食生活に今もなお活きている。
当時、カフェなどという業態などはなく、もっぱら「喫茶店」、あるいは「純喫茶」といった業態で展開されていたし「珈琲専門店」という高品質なコーヒーを売り物にする業態が出始めるのにはまだ間があった頃のこと。1960年代半ばである。
当時の喫茶店のしゃれたメニューにレモンスカッシュというものがあった。この名称を知っているのはボクと同世代以上?
これはレモンに甘味を付け、炭酸水で割っただけの単純なものだが、そのスカッとした名称とともに一世を風靡したメニューで家庭でも良く作ったもの。
後、牛乳、卵、砂糖、バナナ、バニラエッセンスで作るミルクセーキなどというものも当時にしてはめずらしく、訪ねてくる従姉などに作ってやったことも屡々。
昔話を語り出すと止まらなくなるのでここらで〆とし、次の話題。

人参

現在ボクは1日2食を基本としている。つまり1食減の食生活。
これをスタートさせたのは半年ほど前になるが、体調はすこぶる良いようだ。
具体的にどのような内容かと言えば、食事を抜くのは昼食だが、そうは言っても何も口にしないというのではなく、ジュースなどだけで由とする、という方法。
つまりご飯、パンと言った炭水化物、さらにはタンパク物質などは摂らない。
口にするのは画像にある「人参ジュース」と、リンゴジュースのMixを200ml、それにバナナ1本。それだけ。
この人参ジュースは98%、成分無調整のもの。
リンゴは食する時にジューサーに掛け、この人参ジュースと合わせる、という方法。
人参ジュース
最初は人参もジューサーに掛けていたのだが、うちには専用の高級ジューサーがなく、これに代わる以前より使ってきた小型のジューサーでは人参の粉砕はやや無理があったため、市場に出回っている人参ジュースメーカーから、品質、コスト等々、最も良いものを選び定期的に入手して使っている。(こちらから)
1食抜く、というのは、何も大きな覚悟のようなものがあって決断したわけでもなく、ちょっと気軽にやってみた、といったところだが、既に半年が経とうとしているということを見れば、身体もこれでいきましょう、と言ってくれているようでしばらくはこのスタイルでいこうと考えている。
このスタイル、少し説明を付した方が良いかも知れない。
簡単に言えば、現代人は飽食に過ぎ、心身は汚れきってていることへの反省から。
ボクは木工をスタートした辺りから食に関してはそれなりに意識的に取り組んできた積もり。
ボクの世代というのは戦後間もない頃に生を受け、まともな食生活を営むのが困難な経済社会の下で生育してきている。
赤貧を洗うが如くとまでは言わないが、貧乏暮らしだった我が家では、3人の子を育て上げるにはさぞ大変だったろう事も明らか。
しかしそんな生活環境ではあったが、母親の調理に向ける意欲は高く、シンプルな素材ではあっても、日本の伝統的な食生活に踏まえた良質な食事を与えてくれた(90近くになる今も元気に暮らしている)。
豊かで美味な食事が置かれたちゃぶ台を囲む団らんは、家族それぞれの日々の活力の源になっていた。
成人後、自活をはじめてからは母親譲りのレシピを駆使し、ほぼ何でも一定レベル以上の食事を作ることができるようになっていた。
一方の外食の機会では大衆消費社会の進行とともに街中には豊かなメニューがあふれかえっていくのだったが、それらへの欲望には勝てず美食を積極的に摂るようになっていったのも確か。
若い頃にはどうしても重いカロリーのものを欲しがるのはボクとて変わるものではなかったからね。
人参

しかし木工をスタートさせた頃から、少し軌道修正することにした。
木工修行当時は単身でのアパート暮らしだったが、脂っ気の多いものは避け、当時から広く展開し始めていたコンビニ弁当、総菜などは決して買わず、またいわゆるジャンクフードには絶対に手を出さず、めんどうくさくても自炊を基本とし、塩分はできるだけ控え、素材そのものの旨みを摂取するようにと心がけてきた。
そのうち徐々に舌も敏感になり、本当の素材の旨み、素材の力というものを感じ取ることができるようになっていったものだ。
濃厚な味付けだとどうしても味覚が破壊され、素材そのものが持つ微妙な味わいというものに接近できなくなっていくようだ。
1日3食、年間で1,000食、この限られた食事の機会というものを、大地への感謝、調理人への感謝とともにいかに美味を感じ取ることができるのかは徒や疎かにはできない。
こうした考えというのは、決してストイックとか、宗教じみたもの、というものでは決して無く、上述のように、如何に素材本来の旨みを感じ取り頂くか、というある種本能的な“欲望”にしたがっているだけ。
よく言うだろう、現代人は本能が破壊されてしまった動物とか。
この“本能”に従っているまでのこと。
外食では、美味しければ素直にその調理担当に礼を言い、ひどいものを出された場合は叱ることさえある。プロ意識を持て、とね。
つまり木工への転身というものは、ボクにとって如何に人生後半をシンプルに、かつ本来の豊かさというものを希求していくものでもあったか、とも言えるだろう。
食事摂取のスタイル転換もそうした一環。
そして今回、1食を抜くことで新たな心身と向き合ってみようという試みをスタートさせたというところ。
ボクのような年齢にもなると、これまで過剰に纏わり付いていた、虚飾に満ちた“欲望”というものを一つ一つ剥ぎ取っていきたいと考えるようになってくるものだよ。
一時期、加工食品メーカーのTV CMで若い男性が丼飯を食らいつくシーンのものがあった。その動物的なとでも言おうか、食らいつき咀嚼する音の強調には露わな生の営みを演じさせたものだったろう。
『広告批評』の天野祐吉氏がこれをどのように語ったかは知らないが、ボクには生理的な嫌悪感しか伝わってこなかった。
そうした感受性とともに食事を1つ抜くというのはただの老化と捉える向きもあるだろうね。
まぁあえて否定はしないが、しかし未だ心身は周囲の同年齢の者と較べてみても決して衰えてきたとは思えないから、これもまた困ったものではあるのだが。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 昨日の二枚ほぞの割付とポイント二つ、ありがとうございました。大いに参考になります。
    ニンジンジュース
    私も2食の生活を初めて2年ほどたちます。
    きっかけは、空腹になると下がる血糖値、それを上げる
    ための体内ホルモンはいくつもあるが、
    下げるためのホルモンは一種類(インシュリン)しか人間は
    持っていない、というある書物の記述からでした。
    人間は粗食に耐えるように作られているのかと、始めた
    2食生活、イレギュラーはあるものの定着しました。
    しかし、
    空腹になると海馬が活発になるの記載部分だけは
    私には当てはまらなかったようです。
    なにごともそううまくはいかないか。

  • カーディさん、どなたかは存じませんが、読者にも同好の士がいらっしゃっいましたね。
    いや私の大先輩のようで、心強く思います。
    (参照した書も一緒かもしれません)
    >空腹になると海馬が活発になる
    私もそれに期待し思考能力の衰えをカヴァーできるかな、などと考えたものですが、午後4時過ぎぐらいに空腹感に襲われるというのが悲しい実態。
    そんな時は、沖縄産の黒糖をガリガリ、嘗めナメ。
    まぁ、あまりストイックにならずに、飄々といきたいものですね。
    またコメントください。

  • おいしそうなレモンですね^^
    実家の庭の無農薬レモンと市内のみかん蜂蜜でレモネードを作ってみたくなりました♪
    人類の今までの生活を考えると2食でも十分な気がしますね。
    4月からは玄米食にしようと思っています。
    空腹を紛らわすのは大豆を炒ったのをボリボリ食べてます。
    ポテトチップスよりは身体に良いかなぁ?と

  • 玄米食、いいですね。
    私も知人から贈られた東北の穀倉地帯からの玄米を賞味して以降、その滋味に目覚めさせられたところでした。
    大豆ポリポリも悪くないでしょう。
    から煎りした無塩の薄皮付き落花生もいけます。
    ポテトチップスは油成分がちょっと心配かな。
    梶井基次郎『檸檬』↓
    http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/424_19826.html

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