工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

10月・神無月

2013/10/01/15:30

2013/10/01/15:30


今日は朝から雨模様。
午後からは雲も切れ、秋らしい青空が顔を出した。

4時頃、晴れ間にポツポツと細かい雨が走行中の車のフロントウィンドーを曇らし、
っと、大井川をまたいで、大きな虹が架かった。

慌ててiPhoneでパチリ。
虹が発生する条件を全て満たしていたからね。

雨上がりで、晴れ間への移行中だったり、あるいは逆に晴れ間から、急に雲が出て降り始めるというタイミング。
こうした環境では、大気中に小さな雨粒が漂い、

そしてこの時、日射しの角度が低く、この日射しを背に受け、雨粒が太陽光をスペクトラムに屈折させることで、虹を生成させる(こんな説明で良いのかな 笑)

でも、なにげに、嬉しくもなろうというもの。
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展示会のお知らせ

工房 悠・杉山は、以下の要項で展示会を開催いたします。
お近くの方はぜひご来場ください。

《樹々と共にある暮らしー日本のモノづくりスピリッツをモダンに提案ー》
杉山裕次郎
小澤一也
▼ 会場:三越 日本橋本店 本館5F 家具サロン
▼ 会期:2013.10.09〜10.22 am.10〜pm.7

久々の展示会になります。
過去、百貨店という会場では、各地で開催してきましたが、三越本店は初めてです。
そんなこともあり、やや緊張していますが、良い展示会になるよう、準備に励んでいます。

今回は静岡という家具産地に光をあて、クラフト的な家具を制作している工房という事で白羽の矢が立ったわけですが、若手を伴って、という企画もあり、気鋭の小澤さんにも出展していただくことに。

小澤さんとは親子ほどの年齢差があるわけですが、作風もかなり異なりますので、そうした意味でも楽しんでもらえるものと思います。
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ブログ・ハッキングトラブルからの復旧を終え

先月末の「ロリポップ!レンタルサーバー」への第三者からの大規模なハッキングは、本Blogにも深刻なダメージを与えましたが、本日、完全に復旧したことをお知らせし、その間の不具合によるご不便をあらためてお詫びいたします。

この問題につきましては、私はトラブル発生翌日に気付き、ただちにタイトル改竄、文字化けなどに対処し、とりあえず正しく表示できるようにしたのでしたが、サイドメニューが抜け落ちた状態への復旧改善までは手が付けられませんでした。

複数の業務による繁忙状態がその理由ですが、本日、トラブル前の正常な状態にまで改善復旧の作業を行いました。

なお、閲覧者の方で、まだ修復できていない個所に気づきましたら、ぜひご指摘ください。

本Blogは2005年2月にスタートし、途中、WordPressへの移植を経て、今日に至るわけですが、私としましては、Blog構築環境の許される範囲で、より分かりやすく、読みやすく、かつ美しいデザインをと心を砕き、カスタマイズしてきたところでした。

これが一瞬のうちに壊されてしまうという災厄に見舞われ、被害者が10,000件近くに達するという大規模なものであったことも含め、IT世界、デジタルデータのはかなさ、寄る辺無さをあらためて感じ取っているところです。

しかし、そうしたネガティヴな側面も含め、私たちのようなモノ作り、創作的な仕事、あるいは表現行為のあらゆる領域において、このような個人メディアの解放区は必須のツールであることに寸毫の揺らぎもありません。

今回の事態を良い学習の素材とし、より堅固に、安定的に運用できるよう取り計らい、読者への信頼を裏切らぬようしていきたいと考えています。

これからもご愛顧いただけますことを願いまして、ご報告とさせていただきます。

杉山 拝

《 阿部蔵之 》という人

Webサイト《阿部蔵之》の公開

〈木工家具の工房 悠〉のLinkページに新たに追加したサイト、人について、ここで紹介しておきたい。
私が紹介の労を執るというのも実は大変おこがましく、その分、筆勢も鈍るわけだが、それにはいくつかの理由があり、その話から説き起こそうと思う。

阿部蔵之氏

阿部蔵之氏

まずその人物だが、松本市在住の阿部蔵之さんである。
肩書きを添えるべきかも知れないが、これもとても難しい。
ある時はインダストリアルデザイナー、またある時は「木の大学」主宰者、木工プロデューサー、そして江戸指物の系譜を継ぐ木工家、etc.etc。

本人のWebサイトでは「木とデザインの専門家」としているが、ワンセンテンスで表現するならば、それが最も相応しいのかも知れない。
しかし、その呼称を越え、計り知れず、大きな人物であることだけは確かだろう。
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ブログ閲覧の不具合について(お詫び)

昨28日来、本Blogを含む「ロリポップ!レンタルサーバー」への第三者からの大規模なハッキングによるトラブルがありました。
※ ITPro「ロリポップ!レンタルサーバーに大規模攻撃、WordPress利用中のサイト8438件が改ざん」

このサイトは「ロリポップ!レンタルサーバー」ホスティングサービスにデータベースを設置し、CMS・WordPressにより構築しています。

こうした運営環境にあるWebサイト、Blogを対象とする大規模な外部からの攻撃がありました。
(昨日19時の段階で8,438件のサイトがやられているとのことです)

そのため、タイトルの改竄、文字化け、サイドメニューの改竄などの被害が起きてしました。
管理者の私が気づいたのは昨夕のことでしたが、こうした事態は初めての事で、慌てたのは言うまでもありません。

しかし、意外と冷静に対策に取り掛かることができ、サイトの改修作業を経、いくつかの基本的な問題は復旧しています。

依然とサイドメニューの不具合、Webサイト最下段のメニューの喪失など、多くの問題が残っていますが、「ロリポップ」による事態の把握、全貌の解明の情報提供を待ち、全面的な修復に務めていきたいと考えています。

なお閲覧者へのウィルス埋込などの報告は上がってきていませんのでご安心ください。
ハッキングとしては大規模なものではありますが、深刻度からすれば、軽微なものというのが専門家の見立てであるようです(私のような者からすれば、深刻であるわけですが)。

今後、サーバー移転を含め、より安全で強固なWebサイト、Blog構築に努めていかねばと、心を新たにしているところです。

閲覧者、Blog愛好者には大変ご迷惑、ご心配をお掛けしました。
これからもどうぞよろしくおねがいいたします。

ホゾを締める(丸ホゾ考)

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この画像、iPhoneカメラでの撮影ということもあるけれど、調子が良くないので分かりずらいかも知れない。
スツールのホゾ部分に赤外線を照射している、の図である。

うちの定番のスタッキングスツールを10脚ほど制作しているのだが、この脚部の加工工程の1つである。

このスツール、座枠には丸ホゾで結合され、クサビで堅牢度を高める、というシンプルな構成。

制作加工精度が水準以上であれば、一般にはこれで十分だろう。
ただ、問題無しとはしない。

以前、百貨店に長期にわたり展示された中のいくつかに問題が発生。
この丸ホゾ部分に緩みが生じたのだ。
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女性木工職人

思わぬ再会

熱風が吹き、車道には陽炎が立つ真夏の街中を車を走らせるのは、よりエンジンからの排熱を撒き散らすようで罪深い。
ここ数日、断続的に見舞われた雷交じりの雨も止み、戻ってきた盛夏の中、いくつかの所用で静岡市内に車を走らせた。拭漆の依頼もその所用のうちの1つだった。

今回の依頼先は塗師屋というのではなく、伝統的な和家具を専らとする木工所なのだが、無理を聞いていただくことにした。
それまで依頼していた塗師屋は高齢でリタイアしてしまったための、新たな取引先の開拓である。

木工所とはいえ、民家を作業場に仕立てただけといった感じの作業場。
静岡の街中には、こうした小規模の木工所は少なくない。
服部の傾斜盤、手押し、プレナー、縦軸盤、ダブルソー、超仕上鉋盤、その程度の基本の汎用機を設置しただけのシンプルな作業所だが、恐らくはこの構成で事足りるのだろう。

逆に、外には所狭しと6分板が立て掛けてあり、作業所内より、こちらの光景の方が、いかにも木工所然とした佇まいを見せているのだった。

数年前に知り合ったこの木工所の職人に笑顔で迎えられ、親方のご子息に案内を請う。
漆を塗ってもらう座卓などの説明を終え、歓談している隣の部屋では親方が座り込み、何やら削っており、その隣には組み上がった家具のメチ払いをしている中腰の一人の若い職人。

女性だ。
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『On Late Style』(晩年のスタイル)

エドワード・サイードと大江健三郎

エドワード・W・サイードの著作に『On Late Style』(邦訳:『晩年のスタイル』)というのがある。
タイトルからしてお判りのように、最晩年のものだ。
親交のあった大江健三郎は、ノーベル文学賞受賞後における自身の著作スタイルに、このLate Style、Late workを意識的に取り上げた時期があり、この対話をボクも興味深く受け取っていたことがあった(当時、朝日新聞の文芸欄に往復書簡が掲載されていた)。

そして、卑近な事例で恐縮なのだが、やがてはこの『On Late Style』は、ボク自身の問題として自覚するようになってきた。

木工職人の晩年にふさわしく、円熟した仕事に打ち込み、その資質にふさわしく社会にも受け入れられる、といった風に?
いや、サイード、あるいは大江の語る『晩年』とは、決してそうしたものではない。
むしろそうしたことに背を向け、社会への違和であったり、変調をきたす時代精神への反骨を飽くなく問い続けようとする〈若々しい精神〉を尊ぶ、というものであったはず。
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モノ作りに勤しむ、ということ

ボクの仕事は家具を作ることだ。
地元の家具屋からの依頼で制作するというスタイルからスタートし、やがて7~8年後からは専ら自身のプロパーなものを作るというスタイルに変え、今に至っている。

四半世紀もやっていれば、泰然自若とした振る舞いとは言えずとも、それなりに職人としての力も備わり、充実した日々を送っていると言えるだろう。
まぁ、しかしだからといって安泰な将来が待っているはずもなく、喰えない日々を送っている事も事実なのだが…。

ただ、どのようなスタイルに変わろうとも、家具を自らの手で作る、という姿勢は変わらないだろうし、あるいは変えようも無いだろう。

なぜこんな話しを始めたかと言えば、モノ作りに従事することは自分の性に合っているんだな、とあらためて思わされることがあったからだ。
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《東ベルリンから来た女》とドイツ映画、そして日本

120224a近年、多くの名作を生みだしているドイツ映画だが、この《東ベルリンから来た女》もその秀作リストに新たに書き加えられるべき作品だろうと思う。

内容の重さにしては、まるで解説的なナレーションも無ければ、セリフさえも少なく、役者の抑制的な演技だけでスリリングなドラマが展開していく。
低音部を効かせた控えめな弦楽演奏や、落とし気味のトーンの映像表現は、陰鬱で乾いた空気の東ドイツ社会をより深く印象づけ、息もつかせぬ、緊張感あふれる展開で終始する。

ここではストーリーの詳しい紹介は他に譲るが、ベルリンの壁が崩壊する9年前の東ドイツ北部の地方都市がその舞台。
多くの人々が西側の社会に憧れるように、主人公のエリート女医Barbaraもまた、何らかの機会に知り合った西ドイツの恋人の支援を受け、国境を越えようとするが、許可されなかったばかりか、制裁として地方都市の小さな病院に左遷させられてしまう。
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