工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

化学物質アレルギー、アトピーっ子への対応

小学4年生の女児を連れてやってきた若い婦人が当ブースに興味を示し、お話しさせていただいたのがタイトルの件でした。
この女児のために机を作りたいとのこと。
条件は化学物質アレルギーなので、全て無垢で、塗料は自然のもの、ボンドもできるだけ使わずに、という厳しいものでした。
実はこの母親自身もアレルギー過敏症とのことで、親子共々に quality of life には苦労されているようです。
そこで提案しましたのが、学習机、という限定的なものではなく、大人になっても使えるスタンダードなサイズに、抽斗、ブックシェルフを付加させたもの。
素材としては合板を用いず、全て無垢材にする。
塗料については・・・


この塗料について持ち出した話題は「シュタイナー教育」に関するものでした。
このことに触れると途端に目を輝かせてきたのです。
何とこの女児は地元にある「シュタイナー教育」機関で幼児教育を受けさせて、今も関係しているとのこと。同様に木のおもちゃの「Neaf」について触れるとこれもよくご存じで、この子が小さい頃に買い求め与えていたとのことでした。
このNeaf創業会長とは、以前阿部蔵之氏主宰による「ウッドワークサミット 松本」へ参加させていただいたときに交流させていただいた人でもありますので、興味を持たれそうなお客には折に触れて紹介しているのですが、そのほとんどの人はよくご存じのことが多いものです。
さて話が脱線しましたが、この塗料とは「Livos」のことです。創業メンバーは7名の女性でしたが、シュタイナー教育思想を経営理念のバックボーンにしていますので、これについて触れたのでした。
以前「Livos」の日本総代理店の「池田コーポレーション」池田さんによるセミナーに参加させていただき、こうしたことを学習させていただいたのですが、消費者の求めるある種、個別具体的な要求にどこまで即座に対応できるかということも、こうした展示会場では要求されます。
考えてみればこの個別具体的要求への対応ということも実はとても普遍的な問題を提示しているように思えます。
身の回りの日用品、インテリアもいつの頃からか化学物質漬けになってきていたのでしょうが、これらが私たちの生活の利便性に寄与してくれたことは認めるにしましても、決してヒトの本来のあるべき生活には不適正なものも含まれていることは明らかですので、化学物質過敏症という人たちは、こうした問題へ身をもって警鐘を鳴らしてくれる「炭坑のカナリア」的存在であるともいえるのではないでしょうか。
こうした一見個別の対応のように見えることも実は万人にとって普遍的なものでもあるわけです。
また私たち木工家も当たり前のように使わせていただいているドイツの自然塗料ですが、その開発へ向けた志、理念を正しく受け止めて用いるようにしたいものです。

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