工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

家電 カスタマーサポートのお気楽対応

長年使っているコーヒーミルが動かなくなった。
コーヒーは日々の生活には欠かせない嗜好品。
うちでは焙煎仕立ての豆を遠方から取り寄せ楽しんでいるので、ミルは必須の道具。
手回しのミル、国内家電Topメーカー、N社の電動ミル、メリタ社の電動ミル、と3つのミルを自宅と、工房で使い分けている。
このうちN社の電動ミルが数ヶ月前頃から駆動がおかしくなってきていた。だましだまし使ってきたが、とうとううんともすんとも言わなくなってしまった。
少しは電気のことも分かるので、内部にアクセスして見るも、故障箇所は判然とせず、仕方なく「お客様相談センター」へと電話する。
Q:型番○▽のミルが(簡単に経過報告を交え)動かなくなったのですが、どのようなことが考えられますか?
A:使用期間はどれぐらいですか
Q:丁度10年になります
A:もう寿命でしょうね
Q:一般家庭での使用環境ですので、稼働率はさほど高いものではないのですがね
A:しかし家電ですので10年という期間は寿命とお考えください
Q:ということは修理での回復は無理ということですか
A:後継機種の良いものがあります。■▽というものです。どうぞそちらを
Q:はぁ
こんなやり取りで、木で鼻を括るとはまさにこんな時に使うのか、というような感じだった。。
価格は6,000円ほどのもの。
でもボクはケチ。ネットで調べれば4,000円台で入手できるのを確認したが、それでも買い換えには踏み切れない。
コーヒーミルなんて電気製品など単純な機械だ。ただモーターを駆動させ、直結している羽状のカッターを回転させているだけ。
カスタマーサポーターの「もう寿命です」という判断は、主たる部品であるモーターそのものの寿命という評価と考えられるが、これはしかし俄には信じがたい。
電話でのやりとりで、そうした持論を展開するほどの確信などあるわけないので、ただ聞き役だったが、はっきり言って信用などできない。
使われているモーターは単相直巻整流子モーターだろうと考えられる。
初期不良ならともかくも長年快適に使ってきたものなので、わずか10年で簡単にこのモーターそのものが寿命だというサポーターの判定には従いがたい。
コーヒーミル内部
そこであらためて内部をチェックすることにした。
とても狭いところにモーターと配線が巡らされているのでなかなか判明するに至らなかったのだが、ラジオペンチ、テスターなどで1つずつ確認していって、やっとメインスイッチ部分の配線が断線しかかっていたことに気づいた。
コーヒーミルのモーターは、豆をカッターで破砕する時の大きな負荷の衝撃に耐えさせるための振動対策としてゴムの緩衝材を介して駆体に取り付けられている。
このため、スイッチを入れ回転させると配線がわずかながら動いてしまうのだろう。この結果端子に半田付けされたところにストレスが掛かり、断線へと至ったのだろうと考えられる。分かってしまえば簡単なことだ。
しかしその後が大変。とても狭い、奥の深いところにある端子にあらためて配線し直し、半田付けするというのは至難だった。半田コテを先端のみに熱が供給されるような断熱覆いを付け、アプローチすることにし、何度も試みて、やっと成功 !!
(ちょっと駆体を溶かしちゃったけれど、勘弁ね)
これで、もう10年は働いてくれるかな ?
教訓、その1:カスタマーセンターの「もう寿命です」の言葉は信じるに足らない。
日本の家電製品は優秀。
しかしカスタマーセンターの担当は、自社の優秀な製品ほどには優秀ではないかも知れない。(これはユーザーから見れば、と言う話で、メーカー側からすれば買い換えを進める担当の方が優秀なのさ)

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