工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

桜花の魔力

この週末はいずこでも満開の桜の下での宴が華やかに繰り広げられることでしょう。
ということは、百貨店に繰り出す人は少なくなるということ ? 。
この時季になりますと先のエントリーで触れた陶芸家、小川邸での花見がなつかしく思い出されます。
各地から陶芸仲間、ファン、ギャラリー オーナー、工芸家などが様々な料理を持ち寄り、駆けつけたのでした。
ボクはその日の朝はピッツァ生地を練り、いそいそと近くの鮮食店にトッピングを求め参加させてもらい、焼きたてのピッツァを振る舞ったものですが、一呼吸置いて重そうに2人がかりで持ち運ばれてくるのは60cmもあるパエリア鍋でした。
それぞれ数寄者、健啖家でしたので、ボクなどには口にしたことの無いような珍味を持ち寄る人もいて、また何本もの桜がありましたので、各々はそれぞれ好きな場所で舌鼓を打ち、心地よく春の風に揺られたのでした。


ここの桜は主人が住み着いてから植え込まれたものでしたが、ボクが交流させてもらった頃には既に巨木となり、見事なまでのソメイヨシノの花を見せてくれていました。
桜も老木としては100年を越えるものもあるようですが、一般にそれほど寿命の永い樹種ではないようです。小川邸の30年ほどのものが最も樹勢も良く、美しいのかもしれません。
彼の遺言の一つは「遺灰は太平洋に撒け」ということでしたが、さしずめボクとしては坂口安吾ではありませんが遺灰は山中でひっそりと咲く桜の木の下に埋めてもらいたい、との思いに駆られるほどその桜花の魔力には抗しがたいものがあるようです。
以前、この時季の百貨店の展示会では大きな桜を切らせてもらい会場にディスプレーしたものですが、生物にとって悪環境の店内では見る見る花が散っていきますので、掃除が大変でした。
今回の展示は桜花の最盛期でしたのに残念ですが桜花のディスプレーは止めまして、他の花で勘弁してもらいました。写真は展示場の様子です。
2005相模野伊勢丹

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