工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ルーターマシーンについて(その2)


昨日に引き続いてルーターマシーンについて
2,汎用性が高い
・木工機械はそれ自体単機能のものもあれば複機能のものあるが、単機能のものでも使い方によっては様々な使用方法を得られるものだ。
ルーターの場合、昨日も冒頭に書いたように成形加工、せん孔、切り抜き、大入れ、座繰り、彫刻と様々な切削加工に用いることが出来る。
これはルーターマシーン、ハンドルーター双方に言える。
しかし、一般的にいずれの加工にあってもルーターマシーンのほうが切削性能は高いと言えるだろう(被加工物がルーターマシーン上で操作できないような大きさのもので無い限り)。
・例えば「成形加工」を考えてみた場合、ハンドルーターでのその作業は生産性は全く悪いだろう。また切削量が多いとどうしても危険性は高くなるものだ。ルーターマシーンではジグさえ適切に作成、使用すれば安全に進めることが出来る。
これは「切り抜き」作業においても同様だ。
・また基本的な作業スタイルのことからもこの汎用性が高いことが言える。
そもそも切削機械を動かすのか、あるいは逆に被加工物を動かすのか、の違いというものは大きいのではないだろうか。
切削肌の滑らかさ、安定的切削というものはやはり作業スタイルの安定性ということの要素に起因することが大きいだろう。


3. より安全である
先の掲示板での訓練校でのこのルーターマシーンの操作方法の指導内容についてだが、危険だから教えない、という考え方はどこからそのような発想が出てくるのだろうか。指導教育機関だからこそ適切に指導されねばならないだろう。
(ややもすると訓練校の指導内容への批判めいたものになりかねないが、あえて記述する)
概して訓練校の指導教官には訓練大学で専門教育を受けて派遣される人材というのが多いと思われる。どうしても現場での実戦経験が無いか、あったとしても少ないだろう。
したがって一見すれば危険に感じるのかもしれないルーターマシーンなどの操作方法などはカリキュラムから排除したいと考えるのも無理からぬ事かもしれない。
もし一定の経験があり、その指導教官が積極的に使いこなし、その切削能力を目の当たりに出来るならば、生徒達は真剣に取り組むだろう。
さて具体的な安全作業についてだが、さして特別な方法があるわけでもない。
極めて基本的でありふれたことしかアドバイスできない。
・まずはルーターマシーン、およびルータービットの性能、機構、など機械、刃物についての基本的な性格を理解することだろう。
概して危険な作業というのはその機械の性能なり、性格を理解しないことから起きることが大きい(過去何度も怪我をした自身が言っているのだから間違いない)。
あるいはまた被加工物を良く理解する能力、樹種全般にわたる一定の経験も必要となる。これはルーターの回転刃に被加工物が飛ばされる、といった危険というのは負荷が大きすぎるということに起因することが多いものだ。
もっと詳しく言えば逆目切削の時にどうしても負荷が大きくなり(切削抵抗が大きくなる)、回転刃の切削能力を超えたところでドラマが起きる。
・次ぎに適切なジグを作成し、被加工物を安定的に固定することが肝要だろう。
適切なジグがあり、適切な操作方法をとればまず危険なことはない。
具体的なジグの作成方法については機会があればあらためて…。
・この項最後に、びくびくして臨むと怪我をする、ということについて。
これは他の機械についても同様なことが言えるが、こわごわ半端な姿勢で臨むことで失敗をする。
具体的に言えば、例えばピンルーターで倣い成型するような場合、ピンに(=刃物に)こわごわ接触させようとする時、しっかりとピンに型板を押さえつけるように運動させてやらないと失敗をする。
回転刃のその力に操作する側が負けていたのではダメで、自在にコントロールしてやらなければならないということだ。
さて他にも滑らかな切削肌を求めるためにはどのようなコツがあるのかとか、ルーターマシーンの導入についてのアドバイスとか、触れたいことがあるが項を改めて。
あぁ、「過去何度も怪我をした…」などと言ったが、くれぐれもはっきりさせておくが、このルーターマシーンでは1度も怪我などしていない。(それほど安全な機械ということだ)

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  •  ルーターマシンについて(その1)(その2)ともに、大きく頷きながら拝見いたしました。
     大工さんの手元をしていた頃・・・ハンドルーターで廻り子の縁取りをしていて、機械を吹っ飛ばしたことと、材料がすっ飛んでいった経験があります。(^^ゞ
     もちろんハンドルーターは、とても危ない機械として記憶されてます。それでもハンドルーターをスタンド・台に固定して、面取りしたりするのは快適だった憶えがあります。
     機械と材料、固定と操作・・・また姿勢、間合い・・・ひとつ、ひとつ合点がいくことばかりです。
     またの項を楽しみにしております。

  • 62さん コメント感謝です。
    雑報的な性格のBlogですのであまり専門的な記述はなじまないような気もします。
    (アクセス数が減るかな?)
    しかし62さんのように興味を持っていただける人もいるでしょうから、しっかりとインターバルを置きながら?、かつ書き殴りでない良質な記述内容を心がけねばいけませんね。

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