工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ルーターマシンのトラブル

ルーター
ピンルーター(大型ルーターマシーン)ぶっ壊れた。
暫く部品が入荷するまで使えない (/_;)
うちのルーター(菊川鉄工 KR/C)はヘッド昇降というタイプなのだが、スピンドルヘッドをペダルでダンピングさせて昇降させるという機構になっている。
このペダルとヘッドを繋いでいるワイヤーがぶち切れてしまった。
これも経年劣化という症状であれば仕方ないところだ。
これまで過去2度ほど交換している。
もう少し普段のメンテナンスをこまめにやることが反省点ではあるね。摺動部分、回転部分への給油、ダストの排除、etc
しかしルーター1台使えないだけで作業工程が止まってしまうという依存性にはこうした使用停止の状況下であらためて思い知らされる。
ルーターマシーンと言えば、面取り、丁番掘り、などが一般的な用途という認識なのかも知れない。
しかしうちではルーターマシーンに様々な工程を担わせている。
大入れ(板面などへの小穴突き)、成型切削(倣い成型、真円成型など)はもちろん、時には胴付き面の切削なども依拠している。
今日はその「胴付き」切削をしようとした矢先の事故だった。
「天秤差し」の胴付き面を切削しちゃおうという工程。
こうしたところは手のみでの切削というのが一般的な手法だろう。
しかし胴付き面という高い精度が求められる箇所なので、うちではこのルーターマシーンの切削性能に依拠している。完璧な胴付き面を付けることが可能だ。
しかも今回はローズウッドというハードな樹種なので、手のみでの切削はいささか困難を伴う。しかしこれも超鋼刃を備えるルーターではお茶の子さいさい。


さてボクは今回のようなことも含め機械のメンテナンス、修理なども出来うる限り自力更生でやるようにしている。
機械修理には専用工具などが無いと不可能なものもあれば、汎用の工具で十分対応できるものも少なくない。
無論機械屋は機械の専門知識と修理のノウハウがあるので、お任せすることが順当だろう。
しかし意外と微細な調整などは機械屋よりもボクたち木工を専門とする職人の方がより高い精度で設定できるというのも一方の事実だ。
あるいは別の言い方をすれば、機械の構造に知悉し、微妙な調整などが出来なければまともな木工家とは言えないのではないか。
機械も言ってしまえば手工具の延長としての道具、という基本認識を持とうということだね。
* ────────── 閑話休題
今日の工房内の湿度計は55%を示していた。数日前はこれが80%を越えていたのだが、急激な湿度の変化は木を動かす。
板差しの仕事を進めているのだが、同じ寸法に木取ったはずのものが総幅300mmにして1mmもの差異が出てしまっていた。
ちゃんとちゃんと布団の下で眠っていたはずのものが、機械加工途上の過程で痩せてしまったのだろう。
この時季、油断は大敵。
どうしたかって…、仕方がないから、寸法の広い方を外の風の当たるところに放置(太陽光線があたるところは急激な変化を起こすから厳禁。陰干しだね )。数時間で0.5mmの痩せが起きてくれた。(^^)v

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  • ルーターマシンのトラブル、大変ですね。
    うちのルーターマシン(庄田RO−116)は去年ヘッドのベアリングが突然大々的に壊れ、特殊な専用ベアリングを使っているのにメーカーに部品在庫がなくて修理不能となって買い換えを余儀なくされました。
    artisan さんのブログを読んでいたので、本当はヘッド昇降タイプの物がほしかったのですが、機械屋さんに探してもらっても物がなく、仕方なしに壊れた物と同じ定盤昇降タイプでの買い替えになりました。
    ところが新しくやってきた中古のルーターマシンはヘッドがオイル循環式で、こまめに漏れたオイルを拭き取っておかないと材料にオイルが付着して汚してしまってあまり具合がよくありません。
    私もルーターマシンはさまざまな加工に使っています。
    一度あの便利さと正確さを味わってしまうと、もはやルーターマシンなしの木工など考えられません。

  • itsukiさん こんにちは
    >(庄田RO−116),部品在庫がなくて修理不能
    そうなんですか。かなり旧いタイプなのでしょうが、ちょっと納得いかないですねぇ。
    ヘッド昇降タイプは決して珍しいモノではないはずですが。
    庄田にもありますし、菊川のものも良く中古で出回るようです。過日も機械屋からの連絡でボクのものと同じ機種で、エアダンピングのものが出たので取り替えないかということだったのですが、あえて断りました(エアダンピングは足踏みがラクチンなるも、微妙なコントロールが難しそう)。
    菊川のものはスピンドル(主軸)の潤滑油はグリス方式ですので半年に1回グリスアップする位です。
    itsukiさんのようにルーターマシンの高い汎用性をご存じの方は良質な木工をされている証です (^^)v
    危ない、キケン、ハンドルーターで十分、などという誤った認識へはサヨナラしましょう。

  • 小さな木工会社を営んでいますが、ルーターマシンが忙しいです(笑)。
    2台使っていますが、うち1台のビットの取替が難しく、コレットに狂いが出ているのだろうとコレットを交換したら、以前に増して窮屈になり、付けたビットが抜けなくなる始末です。
    コレットに問題があるのか、本体に問題があるのか。
    悶々としています。

    • TOBIcoBACO、豊田裕子さん、コメント、ありがとうございます。
      おやおや、困りましたね。忙しそうな業務内容でしょうから、ルーターマシン(庄田とか、丸仲とかのピンルーターでしょうか)がトラブルってのは、業務が直ちに滞りますからね。

      コレットは鋼鉄製でしょうから、そうそう簡単に変形することは考えにくい。
      落下で歪んでしまったとか?
      でも、交換したら、なおのこと悪化と。ムムムム・・・、分からん。

      まずは、本体、主軸のコレットチャック側なのか、コレットそのものなのか(こちらの可能性が高いと思われますが…)の切り分けを行い、問題部分を解明 〜 修理交換、といったプロセスになるでしょうか。

      木工産地で業務なさっているようですので、ルーターメーカーの代理店もおありでしょうから、検証してもらいましょう。
      当地に近ければ、お訪ねし、拝見したいところですが、ちと、遠方過ぎます。

      問題が解明され、復元できましたら、またその様子など、ご開陳いただければと思います。
      がんばってください。

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