工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

かまきり、とオイルの関係

かまきり
ぎょっ !  かまきり、だ。
ある日の昼食後、工房へ入るとオイルの缶に何やら蠢くものが…、
久しくお会いしていなかったけれど、かまきりだ !
凝視すると向こうも正対してくる。まぁ、あまり興奮させてもかわいそうなので放置しておいた。
というわけで(?)、かまきりに関して蘊蓄を傾けようかと考えてたが、破綻するのは目に見えているので今日はかまきりとは関係がないが、少しだけオイルの話を。
オイルフィニッシュは、私たちのような工房では良く用いられる塗装方法だ。
最近では家具メーカーでもこうした手法を取り入れることも出てきているようで、かなり広範に使われていると見て良いだろうと思う。
オイルフィニッシュについての解説は、このようなBlogという記述スタイルで詳説するものでもないだろうから、うちで使用している商品についての紹介に留めたい。
紹介する前に1つだけ注意を喚起したいことは、何でもかんでもオイルフィニッシュで行こう ! 、ということについての懐疑。
オイルフィニッシュとはデンマークなどの北欧における塗装方法として使われ始め、今では日本国内でも世界各国から様々なオイルが輸入されてきている。
この塗装は、合成樹脂の塗装と異なり板面に塗膜を形成しないことに最大の特徴があることは良く知られたこと。
したがって素材のテクスチャーがそのまま自然に表現できるということになり、良質の素材を用いた高級家具には最適な塗装方法の1つになっている。
また濡れ色が大きく出るということも大きな特徴だ。したがってこれは濃色材(チーク、ローズウッド、ブラックウォールナット、けやき、などの)の色調をより効果的に引き出すということでそのメリットが評価されるということになっている。
逆に淡色材(白木といわれる広葉樹、針葉樹のほとんど、)は濡れ色になってしまうので、その材種としての特徴を殺すことになりかねず、あまりお奨めではない。
白木にオイルフィニッシュで塗装すると、色むらが出やすい(染みこみが細胞によって不均一なので)。→ 汚く仕上がってしまう。
さて本題。現在オイルフィニッシュには2種のものを使っている。
昔は今ほど多様に出回っておらず、「ワトコオイル」、「デュポン」ぐらいしか入手できなかったものだ。
「ワトコオイル」は一定の質感を出すにはかなりの回数オイル研ぎを重ねる必要があったので、大変な工程だった。
「デュポン」はボクが業務開始して、数年で日本から撤退してしまった。
これらに変わって市場投入されたのがドイツのオイル群だった。


OSMO」、「Livos」、「AURO」などが代表格だろう。
それぞれ日本代理店が展開する研修会などに参加させていただき、その特徴と塗装方法について学んできた。
今ではその中の「OSMO」を中心として、ケースバイケースで使い分けている。
ただやはり、いずれも全ての使用環境に対応するというものではなく、使用者の家具のメンテナンスの考え方とか、使われ方でオイルフィニッシュでは無理があることも少なくなく、塗面の強度を要求されることもあるのが実態だ。
そうした時にはやはりウレタンを含む、あるいはウレタンベースのオイル調仕上げという手法を取ることになる。
こうしたときに用いるのが「オリオ2」というオイルだ。
この「オリオ2」は、簡単に言えば主剤の天然植物性油にウレタン結合させるという2液性のもので、一般のオイルと較べ塗面物性が良い。
ここ数年使っているが総合的に判断して、まずまず良好といえるようだ。
先日もある先輩から紹介されたウレタンベースのものがあり、入手したものがあるがまだ未使用。
これもテストさせていただき、より良いものを探し出したいと思う。
なお「ワトコ」の時はどうしたかというと、
硬度の高い2液性のウレタンサンディングシーラーを拭き、乾燥後に「ワトコ」で研ぎ出す、という手法があった。これも悪くはない。
研ぎ出しにはスコッチブライトのようなサンディングペーパー(ペーパーとは言わないな、ちょっと失念)でやっていた。
かまきりが「OSMO」缶にへばりついていると言うことは、それだけ安全だと言うこと?、
最近「OSMO」もWebサイト上で成分を公開しはじめている(いつからなのかはチェックしていなかったので不明)。
オイルというものは主剤は植物性で無害なのだが、含まれる乾燥剤に重金属累が含有することがあり、これが問題となる。
またいずれ本家サイトで整理して紹介したいと思う。今回はこの程度でご勘弁を。

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