工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

年越し展示会「大門 嚴 展」

北の丸
お正月三が日、飲んだくれのオヤジが一方にいれば、年越しで遠方からの仕事・展覧会をしている人がいた。
旭川の木工家、大門 嚴さん。
恒例となっているヤマハリゾートホテル・葛城北の丸での 《北国生まれの木の家具達「大門 嚴 展」》
昨1月2日に友人などと伴って表敬訪問。
今回も近作中心に「大門 嚴 World」を十分堪能させていただく内容とボリュームの展覧会だった。
広々としたホテルファサードから正面をめざすと、いち早くホテルマンらに迎えられる。
豪壮な構えの正面入り口を通り、フロントへと上がれば、華やかな着物姿の演者による箏の演奏が繰りひろげられている。
新春の調べなどTV画像からのものでしかなかった者からすれば、別世界のような空間。
客室に向かう廊下に出ると、タイトルが大書された大きな木の看板が迎えてくれる。
そのまま2階に上がればそこが展示会場。
今回は「国際家具デザインコンペティション旭川2008」の入選作が手前右側にまずドンと鎮座していた。「Kerf Bend Chair」
「国際家具デザインコンペティション旭川2008」の入賞入選作は首都圏数カ所で巡回したので既にご覧になった方も多いことと思われるが、ボクは忙しくて上京できずにいて、Webサイトでのチェックしかできていなかったので初見だ。


このデザインコンペには過去何度も入選している大門さんだが、今回はまたこれまでとは全く異なるコンセプトでのチャレンジで、見事に入選。
MDFを任意の曲率で円弧を作り、これを椅子のバックからアームへと連続させ独特のフォルムを持たせたユニークなもの。
いつも驚かせてくれるアイディアと独創性は、まさに大門ワールド。独壇場だね。
作品の全てに於いて言えることであるが、そうしたアイディアと独創性というものが、決してキッチュなものに堕するなどと言うことはなく、実に洗練され、巧緻なディテールが全体のフォルムに見事なハーモニーを持って納まっているところが、作品性の高さを確かなものとしている。
大門さんのプロフィールはあえて語らずとも知られているだろうし、昨年のこのBlogでもパブリックなものとは異なる側面から叙述しているので、参照していただければ良いだろうが、愛すべきキャラクターとして敬服している。
しかし、どうなの、こんなお正月にこんなところで年越しするなんて?
意地悪な質問には、やはり1年の区切りが付かない面もあるのでね、と苦笑していたが、ホントにお疲れさまですね、と労をねぎらいたい思いではあった。
どうかこれからもボクたちを驚かせ、木工の可能性というものへの絶えざるチャレンジを見せ続けてもらいたいと思った。
この可能性というものは、単にデザイン、あるいは技法という領域における概念を指すだけではなく、世界の木工文化の未来へと開かれた可能性としてのそれである。
*参照
「国際家具デザインコンペティション旭川2008」
■ Blog過去記事「大門 嚴 木工芸展から今年もスタート
葛城北の丸庭園
葛城北の丸庭園

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