Black & White
画像はセンターテーブル(部分)。
ブラックウォールナットを主材とする構成に、白木の部材を取り込むことで、いっきに雰囲気が軽やかに、あるいは見方によってはモダンなイメージを醸すので、とてもおもしろく思った。
主材:ブラックウォールナットとは言っても甲板はクラロウォールナットなのだが、ズリ脚、吸い付き桟、貫などはブラックウォールナットで構成し、上下を支える丸棒にメイプルを持ってきた。
メイプルもご覧のように縮み杢のある、いわゆるカーリーメイプルという樹種(分類学的にはカーリーメイプルという樹種は無いのだがね)。
因みにこの場合、白黒のコントラストがポイントになるが、よりこのコントラストを強くするためにメイプルはブリーチ処理している。
さてところで、少しこの丸棒ホゾの加工について触れておきたい。
画像を参照していただければたちどころに分かってしまうほどのチップでしかないが、丸棒ホゾの接合強度、および視覚的な問題に関してである。
一般に丸棒ホゾは外部露出の部分からホゾに至る部位は連続した急峻なカーブで繋がる。
ホゾ位置は、この急峻なカーブの接点で決まると言うことになる。
つまり胴付き部分は面では無く、点に、あるいは線になる。
このことは、木工仕口における強度の側面からすると、胴付きが無い分、本来の強度を発揮し得ない仕口であると考えられるわけだね。
そこで、これを画像のように枘穴は2段堀りにする。
まずはドブ[1] で枘穴に入れ、その先に胴付きを設け、ここで止めることで本来のホゾ接合強度を確保するということができる(というより、さらに接着面が二重になることで、接合強度が高まる)。
因みに今回の場合、ズリ脚と丸棒脚は6度の傾斜を持つ四方転びとなっている。
したがってボーリング作業においては、若干煩雑で、また間違いやすいので注意を要するが、仕上がりの妙を考えるならば、じっくり構えて加工に取り掛かれば容易に終えることのできる難易度でしかないだろうね。
Windsorスタイルの椅子制作では一般的でありふれた加工工程だ。
もう1つポイントを
ロクロ成型についてである。
画像をご覧になればご理解いただけるかも知れないが、この丸棒の外周線のラインは単に樽型になているだけではない。
ホゾ部分に近いところは微妙なカーヴの樽型になっている。
これはロクロ成型が下手くそなのでは無く、逆なんだね。
どういうことかと言えば、四方転びとなっており、したがって埋もれる部位が場所によって異なるため、露出部分のタイトな接線を合わせるためには、単純な樽型接線では隙間が空いてしまうのだね。(説明が下手っピーでゴメン、分かるかな?)
ご理解できないのであれば、ご自身で試してみて
そんなわけで、満月の夜にオオカミは吠えるのじゃ ! わぉぅ〜〜っ
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❖ 脚注
- ドブ:外部に露出している部位をそのままホゾ穴に入れることを指す [↩]
acanthogobius
2011-10-13(木) 09:14
言われていることは良く分かりました。
ホゾの近辺の1-2センチは、ほぼ直線の丸棒になっている
ということですね。
ところで、ブリーチングの後は何か塗装は施すのですか?
それとも白木のまま?
artisan
2011-10-13(木) 12:34
良い質問をしていただけたと思います。
二段の枘ですが、上の部分は深さ約10mmほどで、それに近いところまでをほぼ直線でシェイプしつつ、なだらかに樽型カーブへと連続させるという感じ。
仕上げですが、白さを維持するにはオイルフィニッシュでは無く、ワックス仕上げなどが良いのでしょうが、ここでは他の部位と同じくオイルフィニッシュです。
当然やや黄ばみますが、それでもコントラストは十分に稼げていますね。