工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

SHAPERカッター・市場での困難な購入

130117

アベノミクスなる新経済政策のあおりを受け、為替が大きく円安に振れているが、海外からの個人通販愛用者としては悩ましい。
同様の思いに沈んでいる人も少なくないだろう。

100円/1ドル、という相場までいってほしい、などと財界は期待するが、トンデモ無い過熱ぶりだ。
アベノミクスは早晩、その危うさが現実のものになるだろうと思われるが、今日はその話しでは無い。

画像のカッター、加工済みの材をご覧頂ければお分かりのように、フローリングのためのもの。
訳あって、このカッターが必要となり入手したのだが、国産ではなく〈Amana Tool〉というアメリカの刃物メーカーのもの。

ルータービットに関しては、アマチュアユーズも広範にあるためか、国内の刃物メーカーが多種多様に展開しているのはご存じの通り。
ただ、Shaper(縦軸面取盤)のカッターに関しては、ストレート刃を除けば、既製品は無いに等しい。
カタログに掲載されていたとしても、成型刃に関しては、ほとんどが個別対応、受注生産であるようだ。

対して、海外では様々なShaperカッターが既製品として、用意されている。

ただ問題が無いわけでは無い。
軸径の非対応の問題だ。
そのほとんどが 3/4インチ、あるいはブッシングを介した1/2インチなのだ。

うちの縦軸面取盤は1インチ。国内でのシェア80%以上であろうと思われる、庄田鉄工製のものだ。
因みに欧州では30mm軸が多いようで、うちでもラインナップの主軸のLeitzは全てがこれだ。
こちらはスリーブ咬ませれば対応可能だ。
しかし1インチより細ければ、どうしようもない。

この軸径から推量すれば、アメリカで広範に展開しているカッターは、どちらかといえばアマチュア向けと考えても良いかも知れない。

そんな入手困難な1インチ軸のものが、この〈Amana Tool〉では標準的にラインナップされている。
ボクのために展開してくれているようなメーカーだな。(爆)

ただやはり、こちらもどちらかと言えばアマチュア向けなのか、カッターそのもののボデーは小さく、外形が細い。(平均して3インチ。庄田のマシンは5インチまで対応する)
まぁ、そこは目をつぶろう、ということで昨年末に入手した。

カッターの外径は切削性能に大きく関係してくる。
大きいほどリード角に余裕ができ、切削肌は美しく、逆目に強いので、可能な限りに大きな刃物を選ぶのが基本。
一方、曲面成型などでは曲率が関係してくる(小さいほど小さい内径に対応する)

試用してみたが、懸念はあたらず、成形の精度も高く、また切削肌も美しい。
十分実用性あると見た。

発注前、国内のメーカーに見積もらせたが、こいつの価格の10倍の価格が提示され慌てたのは、あまりの認識不足ゆえだった。

近く、また別の成型刃を導入しようと考えている。(100円/ドル、なんてトンデモ無い)

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  •  資料お送り頂き乍らお礼もせず失礼致しました、昼間から夜半まで製図作業に追われ、まだ熟読出来て居りません、楽しみにもう少し製図に追われます。
     
     このカッターは優秀ですね、うちの工房では、組カッターを多用して居り、どうしてもルターでの実加工には躊躇があります。軸径の問題など少しも気にせずおりましたが、なるほどですね。小径カッターですが、杉山さんが使われて問題ないと言われるのであればこれは「買い」ですね。別の成形刃、楽しみにお待ちしてます。

    • どうも、たいすけさん。このところ、Blogは元気が無くてスミマセン。
      このカッターですが、ディテールもなかなかです。

      表側はタイトに接続されるよう、底は2mmほど逃げています。加えてオス核(サネ)部分がビミョウに凹んでいて、打ち込んだネイルが隠れるようになっています。

      超硬ですし、1インチ軸ですので、国内での研磨も全く問題なく、長期に使えるでしょう。

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