工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

超硬刃のプラグカッター

プラグカッター
新たに制作している小ぶりのスツールを構成する1つの部品へ施す丸ほぞを削り出すためのカッターが必要となった。

旋盤加工でも出来なくは無いのだが、シンメトリックな形状ではないのでカッターで削り出すことに。

しかし、保有するプラグカッターではサイズ、能力からして芳しくないと判明し、あわてて「オフ・コーポレーション」に世話になることになった。

この通信販売会社についてはこのBlog訪問者のほとんどは知っているだろうから紹介の必要も無いと思われるが、うちの所在地も同社と同じ地域ということもあり、この会社の創業当時から何かと世話になってきた。

その頃は自身でも個人輸入を活発に行っていたということもあったり、また今ではほとんど設備も充実してきているので、スポット的に購入するくらいであまり良い客では無い。ましてや無理難題ばかり言うものだから鼻つまみものかも。
さてさっそくカタログを拡げて対象の箇所を探せば、何とその種類の豊富なことよ。

今回必要とするプラグカッターの性能、機能を満たしてくれそうなものだけでも数種類。
結局機種選択の判断に苦しみ、メールと電話で問い合わせ、的確なアドバイスを頂き、1つのタイプを選択。

「カーバイドチップ プラグカッター」というものにした。
要するに超硬のチップが1つロウ付けされている奴だ。

以前、恐らくは炭素工具鋼であろうと思われる同種のカッターを米国から個人輸入したことがあり(画像左から3つめ)、程よく使ってきたが、今回は1サイズ大きなものが必要となり、1/2″、3/4″の2本を購入。(画像左からカーバイドチップ・3/4″、1/2″、炭素工具鋼・3/8″、そしていわゆる一般的なプラグカッター各種サイズ)

しかしこのプラグカッターというものにカーバイドチップのものがあるとは数日前まで知らなかったな。(画像矢印の先にあるのがカーバイドチップ・切れ刃のところ)
一般に切れ味は炭素工具鋼、ハイスに較べ、カーバイドチップ(=超硬刃)のものは良くないということになろうが、針葉樹ではなく堅木が対象であれば、耐摩耗性(耐熱性)、長切れ、という特徴を持つ、カーバイドチップの選択に迷いはない。

事実、なかなかその切れ味、切削肌は良いものだった(今回はブラックウォールナット、および本クルミ)。最初なので当たり前と言えばそれまでだが(苦笑)、今後気乾比重1に近い堅木への切削能力などで確認すべきところだね。

70921c写真右はある部品の木口に丸ホゾを切削しているところ。

ボール盤の定盤を垂直に倒すのもやっかい(他にも以下に示すような理由がある)なので、ドリススタンドに13φチャックのハンドドリルを装着することで目的を叶える。(これらのカッターは1/2 “シャンクが多いので10φのドリルでは装着できない)
因みにこのドリルスタンドはBOSCHのものだが、穿孔の深さ確認用に寸法が刻まれていたりストッパーがあったりと何かと使い勝手は良い(他機種との比較はしたことがないのだが)。

また、部品を垂直に立てるという要求には、このスカンジナビアンタイプのワークベンチのテールバイス部が見事に応えてくれるのでありがたい。
4寸の厚みのバイス咥え部(平面的には直角が確保)が垂直で構成され、ここに任意の厚み、幅の被加工材を垂直固定で咥え締め付けることができる。

つまりボール盤の定盤に軍艦の如くに多くのクランプを使わざるを得ない被加工材固定方法よりも、こちらの方がはるかにスマートで作業性が良い、ということだね。


■ 追記 07/09/22
Webサイト「木工家具の工房 悠」ワークベンチ紹介ページ(こちらから)
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hr

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