工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

蛇口、いわゆる“馬乗り”専用カッター

蛇口、いわゆる“馬乗り”という仕口は家具にはもちろんのこと、建築の建具には欠かせない必須の仕口の1つ。

いわゆる框組と言われる構造では頻繁に持ちいられる仕口だ。

建具屋さんはもっぱらこれを〈ホゾ取り盤〉という便利な機械で作る。
うちにもこの機械があり、ありがたく使っているわけだが、
ただ設定等に時間が掛かってしまう(寸法合わせなど)ことから、少ない数の場合はもっぱら昇降盤でやってしまうことが多い。

したがって、そのため専用の刃物は2種類用意される。

Topの画像は、丸鋸昇降盤で切削加工しているところ。

このためのカッターは次の画像。

7インチ径で、10pの仕様。もちろんカーバイドチップ(超硬刃)。
ご覧のように、45度の傾斜角と、ピン先にわずかなストレートの刃が付く。

このわずかな部分は、うちでは2.5mmで設計した。
薄い框にも対応するように、だね。

使い方だが、例えば、画像のようなものだが、これで十分お判りのことだと思う。

まずは裏側の胴付きにクロスカットを入れ > このように蛇口の成型と、胴付きを入れる.

この後は、然るべく、枘を作るため、両側をホゾ厚にカットする(一般には芯々にホゾ中心を置く)。
たったこれだけだ。
なお、小根を付けるのであれば、この後、角ノミ、および手ノミなどで落とせば良いだろう。
丸鋸で落とそうとしてもダメだよ。被せ部分が無くなっちゃうからね。

下の画像は〈ホゾ取り盤〉に用いる方のカッター。
こちらは8インチで4枚刃。

Topの画像のカッターだが、このホゾ取り盤〉用と異なり、蛇口に使うにはあまりにも厚みがあると思われるかもしれない。確かにそうだよね。

理由は単純で、他の用途にも使えるようにとセコく考えた結果だ。

建具の仕口、つまり框組の仕口には、この蛇口(馬乗り)の他、面腰(腰落ち)というものがあるが、ぞれぞれに目的と手法が異なるものの、双方、しっかりとマスターして使えなければ、良い家具はできないと思うよ。

若い方々はがんばってや。


《余談》

Blogエントリ、滞っていますね。困ったものです。
このところ右メニューにおいたように、Twitterでつぶやくことに頭脳が支配され、バランスがあきません。

本業Webサイトの方も、少しづつ充実させつつあります(こちら)。
そんなわけで小規模個人事業のWeb運用もなかなか難しい。

というより、限りある能力の分散化による弊害ですな。

秋めいてきまして、おかげで仕事も順調に推移。
周囲は何やらきな臭い状況にあるわけですが、
これらを左で注視しつつも、
右で、じっくりと仕事に打ち込める秋はありがたいです。

hr

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