納豆関連エントリーはもうしない積もりだった。
捏造がバレる前のものではあったが、先の記事で基本的問題については言い尽くされていると考えるからだ。
ただ別件のTVメディアをめぐる新たな問題が惹起しているので、もう１度だけ簡単に触れておきたい。
先週末、いつものように買い出しに出た中堅のスーパーの棚には2週続きで納豆は空っぽ。
帰宅してネットからの情報で捏造を知った。
納豆ダイエットを信じて買いに走った人たち、増産に追われたメーカーの人たち、そしてボクのように長年納豆を食べ続け、この騒動でその食習慣を破られてしまった愛好家、などの人たちには気の毒だったが、ボクはさほど驚きはしなかった。
確かに全国の納豆コーナーが空っぽ、というのは異様な光景だが、TV局の番組など、所詮その程度の信頼性しか無いと普段から考えていたからね。
昨夜の「あるある大事典」放送では番組そのものは休止され、謝罪の挨拶があったのだが、前日土曜日の捏造発覚を機に、販売店からメーカーへキャンセルが相次ぎ、これらのメーカーは不二家のように賞味期限を偽るわけにもいかず、売れる当てもない在庫を抱えて怒っているとのことだ。
二重にも三重にもTV局の責任は重大だ。
ボクは驚きはしなかった、と言ったが、あまり正しい表現では無く半分だけの事実。
どういう事かと言えば、TV局の捏造には驚きはしなかった（驚かない自身については、確かにそれ自体問題だという自覚はあるし、麻痺しちゃってると思う）のだが、一方視聴者がこれほどまでにスーパーに押しかけて納豆を買い漁るというこ事態はちょっと想定外なことだった。
確かにこれには驚ろかされたね。
恐らく事前に情報を得て増産体制を敷いていたメーカーも、これほどまでにヒートアップするとは考えなかったのではないのだろうか。
しかしこれほどまでに多くの人々がTV局の番組へ信頼を託していたんだね。
これは冗談抜きに、ちょっと怖い話だ。

この際、視聴者、消費者はしっかり“学習して”、番組内容に踊らされないように、振り回されないように、リテラシーを高めて貰いたいとつくづく思う。
この度の問題は確かに度が過ぎて、放送法に抵触する恐れも指摘されているようだが、そこまでいかないまでも、多くの番組は事実をねじ曲げられて、恣意的に編集され、おもしろおかしく味付けされて、お茶の間に届けられているのだということを、ぜひこの問題を機に考えて貰いたいし、この問題が格好の材料として記憶されることで、少しは社会的に意味のあることとして活用されていくのであれば良いだろうと思う。
かつてTVに対してPTAのおばちゃま達から「一億総○○」などと揶揄、危険視されたのは40年以上も昔のことになろうか。
既にその頃から、日本のTVなどは「食ってるか、大口開けて高笑いしているかのどっちか」だったし、腐朽の度合いは年ごとに深まりつつある。
さて、冒頭の「TVメディアをめぐる新たな問題」だが、これは今朝いくつかBlogのRSSを流し読みしていたら、鉾田市の市議会議員の政務調査費を使った視察旅行でのセクハラ疑惑について触れたものがあり、丁寧にYouTubeを貼り付けてあったのでチェックしてみたことから感じたことに関することだ。
簡単に触れておきたい。
TV朝日の朝のワイドショーにおいて、このセクハラ疑惑を俎上にしてコメンテーターが怒りまくる、という光景が貼り付けられていたのだが、
■ （asahi.com 茨城MY TOWN）
■ YouTube
確かにこの田舎の議員先生がたのご乱行は目に余る。刑事訴追されてもおかしくない事案だろう。政務調査費がこのような使われ方をしているということ自体適法なのかは問われるべきところだろう。
したがってワイドショーで取り上げると言うことも社会的関心も呼ぶだろうし、問題を糺す、という意味合いからも追求すべきだろうと考える。
そこまでは良いだろう。
しかしよく見ていると、コメンテーターも司会者も熱くなりすぎて、奔放に怒りをぶちまけている感じがして、違和感があったのは否めない。
どういうことかと言えば、TV局が完全に一方的に正義を振りかざし、一方的に断罪するという“権力者”を装っているような光景として写ったからだ。
少なくもボクにはそのように見えてしまった。
繰り返すがボクは鉾田のこれらの議員を擁護しようと言うつもりはこれっぽちも無い。彼らの所業は完全なセクハラであり、議員としての適性に欠くのは言うまでもない。もっと言えばセクハラ問題にしても政務調査費の本旨からしても訴追されるべき事案だと思う。
しかしだからといってTV 局のこの姿勢は問題なしとはしない。
井戸端会議、床屋談義、居酒屋でやるようなレベルの感情むき出しでの物言いはTVカメラの前では、やはりマズイ。
TV番組に従事する人たち、コメンテーターと言われる「識者」の人たちは、もっと自覚的であってもらいたいと思う。如何にTVというメディアが影響力を持ち、時に権力としての力を発揮してしまうことに、もっとデリケートで自覚的であって貰わねばならないだろう。
恐らくはこのような批評へは多くの反駁があるかもしれない。ひどいのは奴らだから、徹底的に叩け、とばかりにね。
しかしそうした怒りを直裁に伝えるというのは例えワイドショーという趣向のものであったとしてもTVでやるべきものではないと思う。
納豆問題も、このTV朝日のワイドショーの問題も、TVメディアの腐朽の度合いを示して実に今日的で、またその問題の本質は通底していると見る。

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