工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ちょっと恥ずかしい話し

ノーベル賞授賞式の様子はTVニュースで視た。
すばらしいセレモニーであったようだ。
三者三様のの喜び方で良いと思ったね。家具職人の息子であった益川教授の軽口も快調だったようで、失礼ながらちょっとかわいらしいじゃないか。
益川教授の受賞記念講演(Nobel Lecture)がノーベル財団のサイトから動画で見ることが出来る →こちらから
日本人として誇らしく思う、などと言えばナショナリストめ !、と指さされるかもしれないが、慶事であることの喜びを共有したいものだ。
ただ今回の物理学賞と化学賞に「4人の日本人が受賞した」、「日本人3氏が物理学賞独占」と、殊更に日本人を連呼するのは違和感が伴う。ちょっと恥ずかしくなる。
物理学賞受賞を健康上の理由からストックホルムではなくシカゴ大学の授賞式に臨んだ南部陽一郎さん(87才、米シカゴ大名誉教授)は米国籍である。
言うならば日系のアメリカ人だ。
あるいはまた化学賞受賞の下村脩さん(米ウッズホール海洋生物学研究所・元上席研究員)は、受賞対象の研究を含め、その研究基盤はアメリカだ。
当然にも国際的にはこの2人の受賞者はアメリカと分類されるというのが通念だろう。
このあたりのことについては、米国のメディアから引用するのでは公正さを欠くかも知れないので英国BBCから視てみよう。


‘Glowing’ jellyfish grabs Nobel(輝くクラゲでノーベル賞)
ここでは米ウッズホール海洋生物学研究所のことしか紹介されておらず日本人などという表記は見あたらない。
Cosmic imperfections celebrated
ここでは南部教授は米国の市民で日本生まれとされている。
因みにノーベル財団の公式Webサイトでの紹介は次
物理学賞
化学賞
国内のいくつかのメディアを確認しても、共同歩調を取っているのかどうかは知らないが、国籍に関しての綿密な表記を配慮したところはあまり無いようだ。
しかも化学賞では下村脩さん他3名の共同受賞であるにも関わらず(賞金も1/3づつ)、報道はほとんどが下村さんOnly。
嘘つき大統領のデタラメ経済あるいは他の受賞者についての紹介というのもほとんど無いに等しい扱いだ。
例えば経済学賞を受賞したポール・クルーグマン(米国)などはもっと取り上げられても良いはず。
米国は1月20日に政権が交代する。ブッシュからオバマへと。
スウェーデン王立科学アカデミーがこれを見越したわけでは無いのだろうが、このポール・クルーグマンという経済学者は反ブッシュの急先鋒として知られた人だ。
こんな本は分かりやすいかも知れない
『嘘つき大統領のデタラメ経済』(米ニューヨーク・タイムズ紙のコラムから)
ブッシュ政権の詭弁と欺瞞を徹底暴露している。
なお、当たり前のことだが、ノーベル賞の候補というものは国籍という属性など全く考慮されてはいない。今回の日系を含む日本人に集中したのは、たまたま、偶然の産物(asahi.com
ましてや、ノーベルがスウェーデン出身であったからといって、スウェーデン王立科学アカデミーがスウェーデンを何らかの属性とする研究者を優遇するなどということもあり得ない話しだ。
それは広い世界の研究者、文学者、世界平和への貢献者を対象としているのだからね。
おおよそ、近代、という概念とはそうしたものだろう。
これは格別スウェーデンにおけるノーベル賞が特有のものと言うわけでもないだろう。
こうした作風をスウェーデンの人々は誇らしく思っているはずだ。
一方極東の果て、日本では国籍という属性を過度に取り上げるというのが固有のエトスなのかもしれない。
維新以降140年経てもなお、個人主義は根付いていないと言われても抗弁できない。
ところで一方、日本での様々な国際賞では、国籍という属性がかなり考慮されるというのが実態であるようだ。
少し我々に関係のある建築のコンペでも同様なことが跋扈しているということを、例えば建築家磯崎新氏が経験したところから引用してみる。
 ( ‥‥ すみませんね、以下は明日にさせてもらいます)

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