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衆院選投票日を明後日に控え ②

自公両党の目論見とは

2017衆院選当選者予測(毎日)

2017衆院選当選者予測(毎日)

さて「希望の党」の体たらくに助けられてるのは、自公の与党だ。
安倍首相の解散時の目論見をそのまま映すかのように、情勢分析では解散時勢力に近い300議席を越える勢いだと言われている。

あれだけ「安保法制」「共謀法」など、実質的な改憲をも意味するような戦争体制へ向けた法整備を強引なまでの国会運営[1] を見せつけられ、この春以来のモリカケをめぐる政治の私物化、国民共有の文書であるはずべき文書はのり弁と化すという情報隠し、官邸による徹底した官僚支配[2] など、有権者からすれば、戦後最悪とも言うべきやりたい放題の強引さには呆れかえり、これまでであれば鉄槌を下されて、大きく票を下げるという了解も、全く通用せず、いかに「希望の党」の裏切りがあったとはいえ、与党の強さには無力感さえ覚えてしまうほどだ。


この劇場型政治といわれる小池が仕掛けた一幕は間もなく下ろされようとしているが、翻って、前回の参院選に見られたような野党共闘を進めていれば、これほどの野党の低落傾向は無く、衆議院の構成もより緊迫化する程度の議席バランスに持って行けるはずだったと思うところもあり、小池の面を引っぱたきたい思いがある。

ただ一方、喜々として「希望の党」へとノシ付けて寝返った連中を考えれば、有象無象で構成される民進党(旧民主党も含め)も、前原松原仁のように、自民党議員よりよほど反共右翼的な議員も多く、民進党の解体の場が訪れるのは必至であったわけで、こうしてハチャメチャな経緯を辿っているとはいえ、本来の姿に整序されてきたと言う意味では、必然の流れであったとも言えるだろう。

松下政経塾OBをはじめ、その他の希望の党に雪崩れ込んだ議員の少なくない数が、本来は保守主義を掲げながらも、選挙区事情などから、自民では無く非自民、民進党から出馬するしかなかったという者がいるのが事実だ。

選挙後に控える「改憲」への踏みだし

この時期に安倍首相が総選挙に打って出たというのは、多くの識者、評論家が分析するように、総裁任期三期目の間に「憲法」にその汚い手を突っ込み「改憲」することを前提とした日程から逆算してのものと言われている。
たぶん、その分析は正しいだろうし、本衆院選では「改憲」に必要な2/3の議席を与党が占める、という目標をおいているはずだ。

しかし、この選挙戦渦中、安倍首相も含め、自民党の候補からは「憲法」問題を重視しての発信は寡聞にして聴くことが無い[3]

この齟齬は何を意味しているのだろう。
これまでの安倍政権下での選挙の論戦では、ついぞ改憲であるとか、「安保法制」であるとかを争点にしてきた例しがない。

だがしかし、一強体制を整えれば、国の根幹に関わる「安保法制」も「共謀法」も国会運営の慣例を無視するような審議を強行し、さらには「改憲」へ向けては、与党内での議論も経ず、個人的なメッセージとして「2020年までに改憲していく」「その内容は読売新聞に書いてあるので熟読しろ」と言ったような騙しの手口で強行するという、特異な政治資質を持った男が安倍晋三であることは、これまでの5年間の安倍政権が教えてきたところだろう。

今季衆院選でまったく争点化したくない姿勢を示しつつも、選挙終了後には「改憲」へと打って出ることはまず間違いないと見るべきだろう。

ICANのノーベル平和賞と、日本政府


ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)へのノーベル平和賞受賞[4] は、広島、長崎の被爆者らはもちろんのこと、平和を願う多くの日本国民はもとより、核武装を忌避し、平和を希求する全世界の人々を勇気づけるものだった(ノーベル平和賞)。
興味深かったのは、ICANの国連を中心とする「核兵器廃絶国際キャンペーン」は、広島、長崎の被爆者らの体験談からのメッセージをとても重視し、このノーベル平和賞受賞は彼らのために贈られたものだと明言していたように、日本にとって大変意義深い受賞だった。

しかし、「唯一の被爆国」として粋がっていたはずの日本政府はこの受賞に当初は何らの祝意を示すこと無くシカトするという無様な振る舞いだったので驚くと同時に怒りを呼ぶものだったが、何より先の国連での「核兵器禁止条約」を批准しないどころか、会議にさえ不参加という振る舞いは、安倍政権の「核問題」への許しがたい後ろ向きの姿勢を示して余りあり、日本国の国是とも言うべき「非核三原則」に謳われる非核路線を安易に捨て、被爆者の願いをボロ雑巾のように扱うという、情けないこと極まりないものだ[5]

どうしてこのような情けない、被爆者を愚弄するような振る舞いに出るのか。

考えられる事は2つ。
1つは、徹底した米国従属の戦略を取る政治思想からのもの。

戦後日本の保守党の自民党は吉田茂内閣以来、一貫した「親米・軽武装・経済繁栄中心」で、基本的には米国に従属しつつも、外交においては敗戦国としての負債を抱えつ、倫理をわきまえながらの独自の国益追求で経済中心に肥え太ってくることに価値観を置いていた。

ところが、安倍政権以降、こうした戦後政治は大きく変えられ、保守を標榜しつつ、その実、対米自立など捨て去ってしまったのか、沖縄辺野古基地の強行に見られるように、より一層の対米従属を強めることで政権維持を図るという転倒した戦略を取っている。
「安保法制」も「共謀法」も結局は米国の世界戦略のために、自衛隊や日本そのものを米国のために提供するという、恐るべき、「反日」「売国」の徒輩だと言うべきでは無いだろうか。

こんなのは「保守」であるわけもなく、極右のファシストと命名すべきものだろう。

もう1つは、独自の核武装路線へと大きく転換することを暗に狙っているのでは無いかという問題だ。
元々、安倍首相がそうした欲望を抱いているという発言はメディアでも報じられているわけだが、北朝鮮の核武装は、それを奇貨として、一気に核武装へと転換する好機と考えても何ら不思議では無いだろう。

トランプ政権、あるいは韓国が対北朝鮮の戦略において、どういった立場を取ってくるのかにも大きく影響されるだろうけど、このままであれば、そうした時局が遠くないうちにやってくることも想定しておいた方が良いのでは無いだろうか。

つまり、この黒い野望を阻もうとするリベラル市民としては、野党として1/3以上、1つでも多くの議席を何としても獲得していかねばならない局面だろうと思っている。

無謀な数字だろうか。いや、そんなことはない、465議席の1/3、155議席以上を「立憲民主党」「社民党」「日本共産党」「自由党」「諸派・無所属」の総議席数で取れば、とりあえず安倍政権の目論見は安易なものでは無くなる。(続

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❖ 脚注
  1. 先の予算委での「共謀法」審議は、予算委の決議をスルーして本会議に掛けるという無茶苦茶な暴挙まで []
  2. 内閣人事局による支配は安倍政権以降のこと []
  3. 重要論点、かみ合わず 衆院選 []
  4. ノーベル平和賞にNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」ハフィントンポスト []
  5. 日本の全廃決議案、核禁止条約署名国が反対:毎日 []
                   
    

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