工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

Apple社Special Eventとスティーブ・ジョブズ氏

iPod nano
サンフランシスコ、現地時間9日、Apple社のSpecial EventにCEO・スティーブ・ジョブズ氏が元気な姿を見せてくれた。
ほぼこの時期、毎年恒例のミュージック関連のイベントでのものだが、1年ぶりの姿だった。
盛大なスタンディング・オベーションで迎えられたが、膵臓癌に冒される以前に較べれば隠しようもなく痛々しい痩せた姿ではあるが、昨年初の激痩せの時に較べれば、元気そうだ。
基調講演の冒頭で5カ月前に肝臓移植を受けたことを明かしていた。
交通事故で死亡した「その若者の寛大さがなければ、私はここにいなかったでしょう」と語り、聴衆に臓器提供の登録を呼び掛けてもいた。
当然にも市場からの関心は並々ならぬものがあっただろうと思われるが、Apple株はその朝、約1%上昇、過去1年間の最高値を記録し、その後1.6%値を下げ、170ドル14セントで取引されたという。
カリスマ天才的CEOと評価されるスティーブ・ジョブズの大手術は、Apple社の今後の動向を占う欠かせない評価対象であったろうから、今日の基調講演は彼自身も周到に準備し臨んだはずだ。
痩せた姿とややかすれた声質に、大丈夫かいな、との冒頭の懸念は、意外にもすぐに消し飛んだ。
かつての精力的で流暢な講演の姿が蘇り、Appleユーザーを安堵させるに十分なパフォーマンスであったと言っておこう。
‥‥‥‥
Norah Jones新機種の全てが紹介され終わったところで、ジョブズに紹介され登壇したのはNorah Jones(2003年グラミー八部門受賞)。
いつものピアノの弾き語りではなく、ギターを抱えての演奏だった。曲は「Come Away with Me」
Norah はスティーブ・ジョブズ氏との交流があるのか?
(ボクもそうであったように70年代カウンターカルチャー世代として父親・ラヴィ・シャンカールのファンだったことは大いにあり得ると見たが‥‥)
国内では先頃音楽プレーヤーの販売シェアがSONYにその首位を明け渡したとのニュースが流れたばかりだが、果たして新iPodラインナップに抗するだけのメーカーは現れるであろうか。
Apple Special Eventのビデオ(75分ほど)
今回発表されたのはiPodラインナップのそれぞれの更新。
特筆すべきは iPod nanoにビデオカメラとFMラジオが内蔵させれたことか。
・詳細はこちら
2004年に膵臓癌の手術を受けた後も業務に復帰し、精力的にApple社を率いてきていたところへ肝臓への転移。
そしてこの4月に肝臓移植手術。
大病を患うことによる心身へのダメージは相当のものがあるだろう.
一時は「タンパク質を消化できなかったため、9カ月の間餓死しかけていた」とする関係筋の話し(Wall Street Journal)もあったというから、生死の境をさまようという状況だったのかもしれない。
そしてともかくも復帰。
フルタイムでの前線復帰とはいかないかもしれない。
しかし今日の講演を聴いた限りでは、形だけのCEOなどではなく、暫くは名実ともにApple社の最高経営責任者として指揮を取ってくれるだろうと感じさせられた。
生死をさまような過酷な状況を越えて来たとき、その人の人生観、死生観は新たな次元のものとなり、静謐な心的世界の下で、何ものをも怖れぬような強さが宿るというようなこともあるだろう。


* 追記(09/09/12)
ゲスト・Norah Jonesの話し、謎解きをしてみようか。‥‥三題噺だね。
・Appleという社名はビートルズが設立したイギリスの「Apple Corps」というレコードレーベルにインスパイアされたものという説があるほどに、創業者だったジョブズ氏はビートルズのファンである。
・60-70年代のカウンターカルチャーの時代背景としたロックバンド、ビートルズは、当時世界的に話題を集めたインドのシタール奏者、ラヴィ・シャンカールの演奏およびその哲学世界に強いシンパシーを覚え交流を求めたという話しは有名。(特にジョ−ジ・ハリスンは師と仰いでいた)
・ノラ・ジョーンズはラヴィ・シャンカールの娘だ
ま、どうでも良い話しではあったが、ところで「iTMS」(iTunes Music Store)には、ビートルズの曲はまだ納められいない。
言うまでもなく、版権が堅く閉じられているからに他ならない。

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