工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ローズ系、or 豆の木系材種の難問

更新が滞っていたが前回のエントリーの続きのような話題を少し。
ローズウッドを用いてのキャビネット造りの最中だが、仕事は大変。
シンプルな箱物なので仕口などでの難易度が高いわけではない。
1つひとつの工程がローズウッドならではの困難が伴うことからくる大変さのこと。
この労働投下を対価としてみるだけでも、通常の材種の数倍は掛かるといっても過言ではない。
いくつか列挙してみるね。
・重いので機械などでの取り回しが大変(貧弱な老体に堪える [笑])
・硬くて柔軟性に欠けるため、木ねじ、釘などの打ち込みが容易でない(割れやすい)
・切削機械の刃物が痛み、美麗な切削が出来ない。
・同様に炭素工具鋼で作られている手鉋などでの仕上げも困難。
・素地調整での研磨作業も研磨紙の番手をより細かなものへと数段階も進めないと良い仕上げにならない。
大体このようなことが挙げられるが、細かなことを挙げれば他にもいくつも列挙することが出来るだろう。


無論、そうした加工における困難さに増す高品質な木工芸の素材として魅せてくれるからこそ使いたくなるのだが…。
さてこうした様々な困難をいくらかでも和らげてくれる手法が無いわけでもない。
まず刃物だが、手押し鉋盤、自動1面鉋盤などの機械刃物については通常のハイスピード鋼に替えて、超硬刃(カーバイドチップ)を使うこと。
単価は恐らくハイスのものより2倍以上の価格であろうと思うし、研磨の経費も安くないが、その価格差以上の耐熱性、切削能力があると言って間違いない。(つまらないところでけちけちしないこと)
手道具の刃物も炭素工具鋼に替えてハイスの刃物の道具を使おう。
ボクは手ノミはハイスで誂えている。
ルーターなどはほとんど超硬刃であろうからあえて注意を喚起する必要は無いだろう。
ただ鉋はまだハイスのものを入手していないので、利用されている人の評価を聞くなどして導入が必要であればそのようにしたいと思う。
最期に研磨だが、手や、ポータブルサンダーではなかなか良い仕上げは困難だろうから、然るべく機械での研磨作業環境を確保すべきだろう。(また研磨作業については稿を改めて考えてみたい)
なお序でに記せば、今回も仕上げは通常の炭素工具鋼の平鉋で削った。
ちゃんと削れます。
板目部分はともかくも、柾目部分がほとんど両逆目なので良い仕上げが困難。
あくまでも基本に忠実に、鉋台の調整を怠ることなく、刃物の研ぎをしっかりやり、しっかりと仕込めば削れます。
もちろん立鉋があればこれを使うのが良いだろうが、通常の勾配でも削れないことはない。

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