工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

若さとウォールナット食卓

ウォールナット食卓
そこは小松亮太の「リベルタンゴ」が流れていた。
marantzのアンプで駆動されるOrtofonの小型スピーカーから流れ出る音は小音量に絞られたものであったが伸びやかに日曜日の朝の空気を揺らしていた。
首都郊外に立地する若いお二人の新居への食卓納品はゴールデンウィークの初日ということもあり混雑渋滞を避け早朝出となったものの、意外に首都へと向かう車列はスムースに流れ、予定時刻を少し残して到着した。
部屋への搬入は玄関からのアプローチの余裕の無さで断念し、リビングダイニングの大きな窓から行うことで難なく済ますことができた。
良質なブラックウォールナットを用いた2m近い大きさの食卓テーブル。
デザインは、実は納入先の若い建築設計技師Kさん。
詳細な仕口などの設計はボクにお任せだったので、いわば共作ということかな。
いろいろとこだわりある方なので、やりずらさがあった反面、やり応えもその分あったとも言える。
そのこだわりは、既に使われていた椅子にも十分すぎるぐらい表れている。
ご覧の通り、J・ナカシマのコノイドチェアだ。(隣のくるみの小椅子はデスク用としてお買い上げ頂いたボクの作)
ウォールナットのミニマルなテーブルには、何故かコノイドチェアが似合う。
テーブルが良く見えるのも、コノイドチェアがあればこそ?
お若い2人なので今後何度も住まいを替えることになるだろう。
そうしたことを前提として、天板、板脚2枚、貫、いずれも「送り寄せ蟻」(吸い付き桟)という手法での緊結であるので、簡単に解体でき、コンパクトに梱包可能な設計とした。
またこれは経年変化(木の痩せ)への対応策としても生きてくることだろう。
彼ら2人にとってはお宝のように受け止めていただいたテーブルだから、2人の人生の歩みと共に大切に伴走していってくれることだろうと思う。
様々な客層にあって、こうした若い人からの受注というものは夢と希望を繋げるものということで、とても楽しい仕事であったし、事実搬入して設置した時のお二人の笑顔は制作時の苦労を忘れさせるに十分な力があった。
設置を終えて帰路に就こうとして「ランチの用意ができるので、ご一緒に」、というお誘いの言葉。断る理由も無いのでお二人よる手料理に舌鼓を打ち、暫し歓談の後、やや混雑した東名高速道を西へと戻る。
ピアソラ本人の演奏もさることながら、小松亮太の演奏にはエネルギッシュな若さとバンドネオン演奏に特有の弾むようなリズムの刻みが良かった。
ウォールナットのテーブルもまたお二人と同じように仕上がったばかりの若さだが、樹齢は十分にあるので枯れた演奏を奏でてくれることを信じたい。
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送り寄せ蟻
ウォールナット天板と鉋まくら
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「チョコレート」は如何ですか(21_21DESIGN SIGHT)

先に《日本のデザイン ━「21_21 DESIGN SIGHT」の目指すもの》という記事を上げたことがあったが、この施設「21_21 DESIGN SIGHT」の第1回企画展として〈深澤直人ディレクション「チョコレート」〉が明日から開催されるようだ。
ケイタイ「チョコレートを題材に、深澤直人氏と約30組のクリエーターによる作品が約70点出品される」とのこと。
ミルクチョコレートのような甘いイベントになるのか、ボクが好きなカカオ分90%のビターな内容になるかは知りませんが、ぜひ観てみたいですね。
因みに深澤さんとは、例えばボクのこれ→
をデザインした人。
「ecite.ism」というサイトで「三宅一生×深澤直人×佐藤 卓、安藤忠雄インタビュー」を掲載していたので、ここからインタビュー動画を配信させていただくことにした。
ディレクター 三宅一生、佐藤 卓、深澤直人インタビュー(7’18″)

安藤忠雄、21_21 DESIGN SIGHTについて語る(2’56″)

ボクたちの木工はどちらかと言えばデザイン動向とは一線を画した、“独自のもの作り”の生業として位置づけしまう傾向があるかもしれない。
それ自体の当否はさておいて、時代の先端というものを視野においておくのは悪いことではないだろう。
個人的にもこのプロジェクトの主宰者とも言える三宅一生氏には信頼に足る十分な業績と人物としての魅力があると感じてもいる。

ウォールナット天板と鉋まくら

ウォールナット削り
食卓テーブル天板の鉋掛けをしているの図であるが、どこか嘘っぽい。
こんなに鉋屑があったら邪魔くさいはず。撮影バージョンということでお許しを。
嘘っぽい2つめは、このような鉋屑は鉋掛けの初期段階のものであり、本当の仕上げ段階では、このような刃口一杯の幅で長々しい屑は出ない。
いやそのような鉋屑が出るようでは、まだ仕上げにはなっていないはず。
でも本当にフィニッシュ ! と考えても良いレベルはどうやって確認するのか。
・まずスケールなどを当てて平滑性を確認する。
・目視で逆目が残っていないか確認する(シャープに木理が表れるまで)。
・指蝕で鉋まくらが残っていないか確認する。
などだろう。
でもこれでも十分な確認が取れたとは言えない、かも知れない。
チョークがあれば、鉋が掛かった部分に横に寝かせてそーっとなでてみよう。
濃くチョーク痕が残る、あるいは微妙に引っかかる、といったところは、まだ鉋まくらが残ってるという証左。
この方法は昔、親方から教わったこと。チョークライン
「親方 !、天板、仕上がったぜ。見てくれ」弟子の誇らしげな物言いに、ただ黙ってチョークを持ってきて、仕上がった天板をなで回す。
そこらじゅう、ラインが残っているではないか。
親方、にこやかに弟子を一瞥。「へへへ、まだ足りなかったかな… 」照れ笑いで誤魔化す弟子。
ボクの親方が修行中の頃の話だ。
(画像のチョーク痕がそれ。横ずりなどで接ぎ合わせ部分の目違いを払った後に付けたもの)
この後は、もう一度調子の良い(台がしっかりしている、刃口が狭い、刃口と、刃先の関係性がバランスが取れている、などの条件で)鉋の刃をゆっくりと研ぎ上げ、ふわふわぁ〜とした薄い鉋屑が出る程度に調整し、鉋枕の残った辺りを意識の中心に置きじっくりと全体をかけ直すことで完璧な仕上がりになるだろう。
さて、この天板、ウォールナット2枚矧ぎで、ほぼ2mのもの。
先に書いたように、突き板屋から購入したものだが、無節で、とても素直な木目のものだった。
ちょっと「これもしかして突き板を張った合板?」と勘違いされかねないほどの綺麗な天板になった。
原木製材したものの比較的良質なところを、隣り合わせでいわゆるブックマッチに矧いだもの。
少し面白みに欠ける素直すぎる板目ではあるが、ウォールナット本来の品格を醸してくれたように思う。
こういう素直な板は鉋掛けも比較的ラクチン。さらさらと良い鉋屑が排出される。
裏表、2台の鉋で、それぞれ1度研ぎ直すだけで仕上がった。
ウォールナットの気乾比重は広葉樹の中ではやや重たいぐらいの0.62。
しかし木理はとても緻密で靱性は群を抜いて高い。
手鉋で削り上がった板面を指先で撫でれば、塗装しているわけでもないのにすべすべとして、世界の銘木たる品格を感じさせてくれる。
現在、別項でサンディングについて記述を進めているが、やはり素地調整というものの前段階での鉋掛けはとても重要。
如何にサンディングが上手であっても、鉋掛けが不十分であれば、その分、サンディングに過度に依存しなければばならず、これはあまり良い結果をもたらさないだろう。
板脚のデザインなのだが、この脚部も2寸板を用いたが同じ原木からのものなので、作品トータルとして、良い仕上がりになったと思う。

木工家具制作におけるサンディング (その8)

サンディングバナー
ハンディータイプの研磨機(電動工具のサンダー)
既に記述してきたところだが、うちではサンディングシステムのその多くを機械式のものによっているために、ポータブル電動工具のサンダーはあくまで補助的なものと考えている。
したがって機械式のものを設備していない方にはその辺りのところを斟酌して読み替えていただければ幸い。
そうは言っても如何に補助的なものであるとはいえ、良い機構、高精度な研削結果が得られる道具を使いたいということはポータブルサンダーをメイン使用にしている方々と変わるものではない。
さてこの分野でもいくつかのタイプのものがある。以下にリストしてみよう。
・回転運動式ディスクサンダー
・回軌道運動式サンダー(いわゆるオービタルサンダー)
・往復直線運動式サンダー
・直線運動式ポータブルベルトサンダー
区分けについては他にもリストの仕方があるだろうが、概ねこのような分別になると考えて差し支えないだろう。
なお、塗装工程における塗膜研磨ではポリッシャーなどが用いられるが、ここでは詳しく触れない。この塗膜研磨では回転運動方式のものが用いられていると考えて良いだろう。
さてまずこれまでも記述してきたことだが、あらためて簡単に木材加工プロセスにおける研削加工に要求されるポイントを上げるならば、
木材繊維細胞が板面に表す木理を如何に引きだすのか、ということに尽きるわけであるが、この要求はポータブル電動工具サンダーにおいても変わるものではない。
また最近ののエントリで触れたポータブル電動工具サンダーによるテーブル天板仕上げでの問題はサンディングというものの考え方の落とし穴とサンドペーパー番手の選択の重要性ということであったが、機械式のものであってもそうした陥穽への自覚的な対処が求められるということでは同様だ。
しかし電動工具においては、機械式と較べパワーが無いことにより、あるいは研削精度の規制が困難(平滑基準、あるいは直角精度などが手動であることで崩れやすい)、さらには細胞繊維方向でのサンディングが困難であるため、機械式のものが作り出す研削結果と同水準のものを生み出すにはより熟練した技が必要だと言うことになる。
したがって木工房のサンディングシステムの環境の違いにもよるが、このポータブル電動工具サンダーというものはあくまでも機械式では掛けにくい部位への補助的な手段として用いられるべきものと考えたい。
さてそれぞれについて特徴を見ていこう。

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晴れ時々バタフライ

ウォールナットのテーブル製作も大詰め。
天板の寸法について、木取り過程で悩まされる。
顧客要望のサイズに微妙に問題が生じた。
引っ越ししたばかりでネット接続環境が整備されていない状況下での情報のやり取り。
どうしたかと言えば、天板画像(.jpg)をセブンイレブンのネットプリントへとデータを送り込み、これを顧客居住地、最寄りの店舗の端末(いわゆるコピー機)で受信、印刷するというサービスを使い、受け取ってもらう。
電話だけでは微妙なニュアンスが伝わらないものでも、画像データがあれば、例え遠方ではあっても納得するまでキャッチボールが可能だ。
問題は木口割れが想定より深く、これを完全に取り除くと10cmも短縮せざるを得ないというもの。
この天板に木取った板は7年ほど前に近隣の突き板屋から売り込みがあり購入した物だ。突き板屋が求める原木であるからして当然にも優良品である。
ややチルトしてはいたが、突き板にしたいと考えただけあって、素直で美しい木目であったし、ほとんど瑕疵の無いすばらしい板が獲れた。

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「日本の森 再生のチャンスを生かせるか」(NHK番組案内)

今晩 NHK「クローズアップ現代」でタイトルの放映があるようです。
「木の情報発信基地」さんメルマガからの情報です。
以下、番組概要です。

日本の森 再生のチャンスを生かせるか
長年、外材に圧され低迷してきた国産の木材が、今、注目されている。
世界的な木材需要の拡大によって外材が高騰し、相対的に安くなった国産材の需要が高まったためだ。ところが、こうした日本の国産材産業再生の好機を逃しかねない課題も多い。
伐採後、植林されずに放棄されたまま山が荒廃するケースが多発している。さらに、コスト削減のための伐採法が行われた山では、土砂崩れも起きている。また、国産材の多くは、乾燥せずに流通する仕組みが定着していたため、現代的な住宅工法では扱いにくいという問題も抱える。
こうした中、山を荒らさない伐採法を工夫し、植林によって山を持続的に守ろうという取り組みも始まっている。国産材産業の再生を模索する産地を取材し、日本の森の未来を考える。(NO.2399)
     スタジオゲスト: 遠藤日雄さん(鹿児島大学教授)

      一部読みやすいように改行しています。
■ NHK総合 pm7:30〜7:56
  NHK BS2 pm8:32〜8:58
■ 出演者 国谷裕子, 遠藤日雄(鹿児島大学教授) 【ナレーター】石原良

送り寄せ蟻

現在テーブルの製作加工途上にあり。
ウォールナット2枚矧ぎで2m近いビックなテーブルだが、サイズの大きさもありノックダウンの構造として設計した。
今日はこの板脚部分と貫の接合部分の加工。
この部位をノックダウンにするためには様々な手法があるが、依頼者は大手ディベロッパーの建築設計技師で、家具には一方ならずこだわりがあり、貫は板脚の外には出して欲しくないとの要望。
もうこれは送り寄せ蟻にするっきゃ無い。
さほど多用する仕口ではないが、決して難易度の高い加工ではない。
簡単にそのプロセスを‥‥。
(1)テンプレートの作成
(2)ハンドルーターでの蟻溝切削加工
(3)ハンドルーターで取り残した隅をノミで欠き取る
(4)貫の蟻ほぞ加工
  以上。
それぞれポイントを記そう
テンプレート(1)テンプレートは6mm合板を用いる。
蟻形状はノックダウンを目的とするのでやや強めのテーパーとする(今回は3°)
寸法精度、角度精度が要求されるので、正確に作成(うちでは100%ルーターマシーンで作成)
ハンドルーターでの蟻溝切削はストレート刃のものと、蟻ビットの2種類を使うが、テンプレートは1つだけで併用する。
ここではそれぞれの刃径とテンプレートガイド径の差異を計算し2種類の切削加工に適合させることが肝要。
ストレート刃でボックス部分を100%切削し終え、蟻部分では1〜2mmほど切削代を残しておく。
ルーター作業(2)ハンドルーターでの蟻溝切削は2台で or 3台で?
ハンドルーター加工では切削で残ってしまう隅R部分を少なくするため、あまり大きなビットは使いたくない。
あるいは2台のルーター(蟻ビット含め3台)で大小2本のビットを装填してやるのは良いだろう。
蟻切削ビットにはあまり負荷を掛けたくないので、ぎりぎりまでストレートビットでプレカットしておくことも重要だね。
ノミ(3)ノミでの隅さらい。
適切に隅を取り除こう。
こんなノミがあるのは海外通販のカタログを見たことのある人なら知っているだろう。90°の角を一度でカットしちゃおうというものだね。

ノミ
蟻雌雄(4)貫の蟻ほぞ加工
ボクは全て昇降盤で切削加工する。

  • 左右勝手のテーパー治具を作っておく
  • 胴付きを横挽きで入れる(ボックス部分に来るところも取り去っておく。
  • 胴付きの深さは、所定の寸法より幾分浅く止めておく。
  • 昇降盤の鋸を蟻の傾斜角に合わせる。
  • まず片側をほぼ所定のところまで切削しておく(テーパーなので両側同時には進められない)
  • 残る方は、板脚メス型にフィッティングを確認しながら切削する。
以上。

この貫のサイズは 56×90mmだが、上下の胴付き部分を除いて、実質蟻部分のボリュームは長さ20mm、幅45mm、高さ40mmにしかならないが、全く揺るぎの無い強い締め付け力を確保した。
またこの高精度の加工を助けたのはウォールナットそのものが有する靱性の高さだ。この樹種にあらためて感謝 !
最後に1つ重要なことを。
木は如何に乾燥された材を用いたとしても経年変化で必ず痩せてくるもの。
蟻の接合ほど、痩せを嫌うものはない。
甘くなってしまうと、もうガタガタになっていくだけだね。
こんな場合は目も当てられない。
蟻形をテーパーにするというのは、嵌めやすいということもあるが、この乾燥で痩せることを前提として、そうした場合にもさらに打ち込むことで締まってくれるという対応力の強さ故に用いる手法だ。
したがってフィッティングの在り方は完全に相手側に接触するところまで薄くしないようにしたい。  これでもう完璧 !
このところお天気が優れないので、体調がちょっと、ではなく、体調はバリバリだが天板の矧ぎが出来ない。
快晴になったところでイッキに行きたいね。
当地では既に茶摘み娘が忙しく収穫作業に勤しんでいるが、ここ数日の寒さはどうしたことだろう。加えてこの雨。やんなっちゃう。
*画像キャプション(上から)
・テンプレート
・2台のルーターでの切削作業
・ノミでの隅切削
・ユニークな刃形状のノミ
・送り寄せ蟻の雌雄両者

仕口は楽しんで

70414aご多分に漏れずボクも木工修行の手始めは訓練校から。

授業で本格的な家具制作をスタートさせる前に座学と並行して手道具を使っての様々な仕口のトレーニングをしたことがあった。鳥海義之助著の「木工の継ぎ手と仕口」にある代表的なものをやっていたと記憶するが、ボクは時間外も含めひとり様々な仕口にチャレンジして楽しんでいた。

木工のテクニクスなど大層なモノではないと考えられるかもしれないが、どっこい長年にわたり職人から職人へと口伝と手業で伝えられてきた技法の体系の豊かさには驚かされるものがあった。

ここに紹介する仕口は決してめずらしいものでもなく、ボクも比較的多用するものうちの1つだ。
“核相欠留接”と呼称するが、他にも“襟輪付鬢太留”(えりわつきびんたどめ)などとも言う。英米では(Lock Miter Joint)
小さな燭台を入れる筺を依頼された。かなりの数量なので、クライアントに確認してもらうための試作品。

お若い人で海外通販などでルータービットを探す人は見掛けたことがあると思う。
ボクの形状とは若干異なり、“Lock”部位は台形で処理されているけどね。
特徴は外形は留であるが、“Lock Miter”とあるように内部は外れにくい(切れにくい)構造になっているところだ。

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手作り家具という市場の1断面

前回記述した納品先での話。
納品作業終了した後、少し時間が取れたので、近くで材木屋が経営してるホームセンターおよび併設の木の家具のショールームへとギャラリーオーナーに連れられ覗いてみた。
これまで何度も訪問している地域であり、客からもその店舗についての話題があったりしていたので知ってはいたのだったが、そうしたところはあまり興味もないので立ち寄らずにいた。
でも何事によらず、嫌わずに知見を高めるためにも見るのは悪いことではないと思ったね。
まず驚いたのは建築構造材を中心として、化粧材などが豊富に展示販売していて、それはなかなか圧巻だった。
米国でのDIYの世界ではこうした展開はごくありふれたものなのだろうが、国内ではちょっとめずらしいかも知れない。
針葉樹だけではなく、外材中心に広葉樹も様々な樹種があり、聞いたこともないような、恐らくはアフリカ材と思しき、堅そうなマメ科、カキ科の類の樹種が多く陳列されていた。
大工さんなどにも、現場で緊急に調達するにはありがたい存在かもしれない。
無論、こうした販売形式であれば価格はめちゃくちゃ高いものになるだろうが。(業者感覚からすると、という意味で)
一方の木工家具の建屋には、テーブル類を中心として所狭しと数十台にも及ぶものが置かれていた。
材木屋というだけあって一枚板の天板が壁沿いにずらーっと並んでいたが、中には現在国内では入手困難と思われるものもあり、これにも圧倒された。
さて家具だが、このコーナーでは冒頭記述したようにあまり覗きたいとは思えなかったという感覚に大きな間違いはなかったと思わせる内容だった。
要所要所に「クラフトマンの私が作りました」と、写真入りで作業服姿の老齢作者が紹介されている。
確かに一枚板のものを中心に並べてあったが、板のグレードもさほど良いものとは思えなかったし、デザインもいわゆる“手作り風”のもので、洗練さとは異なる品質のように思えた。
例えば天板を触れば、たちどころに鉋など一切使わない仕上げであることが伺えた。
中に一枚、虎斑ギラギラの樺のテーブルがあったのだが、何気なく触ってみると大きくうねっている。虎斑のところで波打っているのだ。恐らくはその山、谷の寸法差は数mmほどもあろうかと思われるものだった。
これは鉋などによらずに、手作業でのポータルサンダー仕上げのものなのだろう。
樺はかなり堅い。ミズメ樺など削ったことのある人はお解りいただけるだろうが、虎斑をしっかりと仕上げ、その結果光線の当たり具合で見事にツヤと照り返しが浮かび上がる、つまりその木が持つ木理をしっかりと引きだしてやるにはある程度の手鉋の練度が要求される。
そうしたことを回避し、ポータブルサンダーで何度も何度も粒度を替え、ペーパーを取り替え、強力に加圧し、やっとのことで仕上げたのだろう。
虎斑のところは木理としては逆目になっているために機械切削では逆目が深くえぐられ、鉋でかなり削り込まないと良い板面は得られない。
これは普通にサンダーで仕上げようと考えても無理。無理を通せば木理はめちゃくちゃ。結果、“波乗り”仕上げにならざるを得なかった、ということだろう。
これを製作した某クラフトマンなる人は、そうした品質への関心は薄いのかもしれない。
これは多くの要素の内の1つの表象にしか過ぎないかも知れないが、デザイン、仕口、仕上げ精度なども天板削りと同じ水準と考えて概ね差し支えないだろう。
こうした木工は決してめずらしいことではなく、ごくごくありふれたものなのかもしれない。
ボクたちが当たり前と考えている木との関わり方、家具への思考、求める仕上げ品質の基準、デザインを含めた美意識、そうしたものとは異質なものが市場を席巻しているというのも消費社会の偽らざる一面なのだ。

ささやかな抵抗

乗用車が初回の車検ということでディラーへと預けに出掛けたがショールームには更新されたばかりの同車種がまばゆいばかりに磨き上げられて鎮座していた。
排気量が2/3ほどに圧縮され、逆にトルク、馬力とも強化されたという低燃費のエンジンが搭載された新戦略車種であるが、「試乗していきませんか」との誘いには乗れなかった。
買い換えへの衝動を留めるのは困難とも思えたからだ。
各メーカー、地球温暖化への対策として様々な方策を講じている。その最先端の1つはトヨタのハイブリットシステムだろうが、日本では人気のないディーゼルエンジンの低燃費対策も欧州では根強い人気がある。
レシプロエンジンの低燃費化は技術的にはまだまだ可能性があるとして、これを主たる戦略としてとり続けるメーカーもある。
生き残りを賭けてメーカーの組んずほぐれつの合従連衡もほぼピークを過ぎた感じもあるが、アジアでの乗用車メーカーの台頭を横目で見ながら、まだまだ今後も世界戦略における方向性の見定めの困難さは続いていくことだろう。
一人勝ちのトヨタでさえレクサス戦略の低迷の中、今後も同じ地平に安住できるかは分かったものではない。
とりあえずボクは低燃費車の買い換えなどは資金面からして望めない以上、できるだけ車両の活用を低減し、徒歩で、公共交通機関で、自転車で、と他の移動方法を積極的に活用して、地球温暖化の促進に荷担することを少しでも減らしていく方向で考えていこう。
ディラーからは最寄りの駅まで送ってもらい、久々に県庁所在地まで足を向け、所用やら、買い物で時間を費やしたが、途中時間つぶしに入ったスターバックスコーヒーでiBookを起動したところ、オヤ?無線LANの端末が親機を感知。ちょっとびっくり。
cross店員に尋ねるも、この店舗ではネット接続サービスは提供されていないという???。
このCROSSというのはどこの無線LANサービスのこと?
しかし残念ながら、親機、子機間の無線交信は強力にできているものの(無線モニターが示している)、認証が取れない(こっちは相手先がどこかも分からず、認証されようがない)ので、煩わしさもありAirMacを終了手続きをして、この文章作成に入った。
以前、確かにこの店舗ではなかったが、他のスターバックスコーヒーの店舗ではYahoo.BBのモバイル無線LANのサービス(無料)があり、数回試しに利用したことがあった。現在このサービスは終了のはず。
不思議な体験だ。帰宅してこのCROSSなるものの正体を確かめようとするも、ネットからは適切な情報は得られず。
前回のエントリでもスターバックスコーヒーについて触れたが、ボクは利用はできるだけ控えようと心掛けている積もりだが、最大の店舗展開ともなれば、ついついその味の好みと、居心地の良さで、抑制のタガがはずれてしまう。
(実際、喫茶店を探そうとしても、地方都市では今や完璧に淘汰され、なかなか良い喫茶店を探すのは難しい)
何故抑制するのかと言えば、はやりコーヒーショップとはいえグローバリズムの象徴の1つであるからなのだが、こうした意識をどのように自覚的に制するのかは、全く不如意でだらしない。全くスタバから見透かされてしまっているようだ。
文庫本を開き、Macを叩いたりしていると、女性店員がサービス盆にコーヒーサーバーとレモンケーキを載せやってきてマニュアルのものなのかどうかは知らないが、爽やかな笑顔で言ってくれた。「新しく用意されたブレックファーストブレンドというコーヒー豆のものですが、一杯如何ですか。このレモンケーキにとても合います」
断る必要もないので、紙のデミタスカップに入れたコーヒーと小さく刻んだケーキを恭しく頂戴してしまったのだ。
さすがにこの時ばかりは「あのぅ、紙のカップではなく、磁器のマグカップで頂くわけにはいきませんか」とは言えない意気地無しだった。
普段はエスプレッソのドピオの一点張りで、デミタスカップに入れていただくのには、十分理由がある。
世界的にも、このスターバックスコーヒーのサービスに於ける紙カップ、プラスティックカップは使わないように、という運動も知っているし、可能な限りゴミになるようなものは出したくないからね。
意気地無しのボクだが、少しは美学が残っている。
スターバックスの環境への取り組み(CSR)
■ FoE Japan くらしとまちづくりプログラム/スターバックスさん、おいしいコーヒーを使い捨て容器に入れないで!