工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

君は視たか‥‥《HOME 空から見た地球》

HOME 空から見た地球 [DVD]

WOWOW、5日18:00〜 放映

これほどに美しく、これほどまでに無惨な地球の姿を見たことがない。
次から次へと繰り出される地球各地で死に絶え行く植栽、急速に失われつつある氷河、北極海の氷。
そしてこの地球にへばり付きながら生きているホモサピエンス、ヒト。
40億年にわたる壮大な地球の物語も、智恵を授かってしまったが故に、人類による開発と破壊によりわずか近代100年ほどで壊れつつある。
映画全編に貫かれる警鐘は、確かにどこかで聞いたことのある既出のものばかりだが、しかしこのあまりの美しさに彩られたハイビジョン撮影での空撮と、これに被されるナレーションは、強い説得力を持ってズシリと迫ってくる。
視覚にストレートに訴える映像メディアが持つメッセージ性の強さというものにあらためて感じ入ってしまう。(彩度が強調されすぎていると感じるが、これは編集によるものなのか?)
この現状のまま推移すれば、10年後は果たして同じ光景を人類は見ることができるのかという怖ろしさに囚われる。
先に本Blogで紹介した時点では、さほどの期待を持っていたわけではなく、空撮の美しい地球の姿を背景に、ただ感傷的に地球温暖化の警鐘を鳴らすようなものなのかな、と甘く考えていたが、見事に裏切られた。
これはヤン・アルテュス=ベルトラン監督の長年にわたる構想、空撮と、リュック・ベッソンによるプロデュースの賜物であり、編集なのだろうと思う。
あるいはまたUNESCOによる支援や専門家による学術的なサポートも大きく寄与しているに違いない。
見逃した人はぜひレンタルビデオで視聴してもらいたい。
警鐘へは、胸の奥へと唾を飲み込むようにただ黙するだけだが、その地球の美しさには、ただただ愛おしさに胸が熱くなってくる。

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扁平丸太、期待以上の製材結果

ミズナラ
件のふらふら右往左往のミズナラ、今朝製材に。
懸念されたヤケ(褐色腐朽菌)の影響もさほど現れず、綺麗な板が獲れた。
画像は製材後のトラック積載から。
最上部は板目、丸っ挽き。3尺幅近い2寸板を4枚。
残りはは柾目で34〜45mm。
これだけのボリュームで丸太1本分。ワォ、デカッ。
板の上になんか変なものが載っかってるって?
帰路、良い製材ができたことのお祝いとして買い求めた扁平(正確には三角形なんだけれど)ボトルのスコッチと記念撮影。
重量は変わらずとも、製材、桟積みしたことで、安定した走行で戻ってこられた。
とは言っても急ブレーキ、急ハンドル厳禁じゃ。
昨日、所用で出掛けた名古屋で原木の見立てには定評があり、普段から世話になっている材木屋に撮影画像を示しながら、この扁平の丸太をどう挽くかアドバイズをもらっていたので、それに従ったまでだが、挽いた状態では期待以上の良質な板が獲れた。

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Sam Maloof 訃報

sam訃報
Sam Maloof: WoodworkerSam Maloof(サム・マルーフ)が亡くなった。5月21日の木曜日のこと。
FWW(Fine Woodworking)の5月27日付メルマガ ↑ からの訃報だった。
もうあの黒縁眼鏡を通した柔和な笑顔に触れることはできない。
ボクがこのロッキングチェアのアイコンの存在を知ったのは木工修行を初めて間もなくの頃、講談社インターナショナルからその数年前に発刊されていた著書(Sam Maloof – Woodworker)からだった。(右)
訓練校で知り合ったばかりのTさんとともに訪ねた東京日本橋の東光堂でそれを見付け、授業時間の合間に皆と見入った懐かしい思い出が蘇る。
アメリカを代表する木工家の一人で、数少ない成功者でもあった(優れたビジネスマンとしての評価もあるようだった)。
レイ・チャールズ、ジミー・カーター、ロナルド・レーガン両元大統領などを顧客に持ち、多くの木工ファンに愛された。
日本からも彼を慕って工房スタッフとしてアメリカに渡った人もいるので、血脈は国内でも何らかの形で受け継がれていくのだろう。
個人的にもその独特の流麗なフォルムで記憶されるロッキングチェアには影響されたし、著書と出会って数年後に取り寄せたVHSビデオでのバンドソーの驚くべき活用法には目を見張り、そしてその椅子に用いられる仕口にも大きな関心を抱いたものだった。

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STING & Chris Botti

週末の今宵、バーボンでも傾けながらおぼろの月を見上げるのも良いだろう。
ポリス解散後、STING(スティング)の最初のアルバムThe Dream of the Blue Turtles(ブルー・タートルの夢:1985)は繰り返しよく聞くアルバム。
バックはブランフォード・マルサリス(先に紹介)などJazz界のミュージシャンを引き連れてのもので、それまでのポリス時代とは大きく変貌を遂げている。
今回はYouTubeから「Moon Over Bourbon Street 」(邦題:バーボン・ストリートの月)
を。
ソリストとして参加しているのはマルサリスではなく、Chris Botti(クリス・ボッティ)。
クラシック(最近ではヨーヨー・マとも)からジャズ、ポップスまで様々なジャンルのミュージシャンとコラボレートする若き才能。スティングとも10年ほど交流があるようだ。
その甘いマスクは演奏の方よりも話題になるらしいが、ミュート奏法のトランペットも甘美。
個人的にはあまり好きなタイプの演奏ではないが、そのメランコリックな歌心は確かに酔わせてくれる。
Moon Over Bourbon Street

なお、このStingの「Moon Over Bourbon Street 」、YouTubeには様々なビデオクリップがある。それぞれに楽しめる。
The Dream of the Blue Turtles

世界環境デー、全世界で一斉公開 『HOME 空から見た地球』

来週末6月5日は国連による国際的な記念日「世界環境デー」(World Environment Day)。
これに合わせて日本の環境省も6月の一ヶ月を「環境月間」として様々なセミナー、展示会を開催することになっているが、ここでは映画『HOME 空から見た地球』の紹介を。
HOME 空から見た地球 [DVD]フランスの航空写真家ヤン・アルテュス=ベルトランが監督したすばらしい作品だが、彼の全世界の人々に無料で公開したいとの熱い思いを、かのリュック・ベッソンが受け止め、彼のプロデュースにより、この世界環境デーの6月5日に5大陸88カ国以上で一斉公開することになっている。
日本ではユナイテッド・シネマ豊洲にて特別上映会が行われ(75組150名、既に〆切)、
WOWWOWでも無料放送。

【HOME 空から見た地球】

  • 原題:Home
    ドキュメンタリー
  • 制作年:2009年
  • 制作国:フランス
  • 上映時間:94分
  • 監督:ヤン・アルテュス=ベルトラン
  • 製作:リュック・ベッソン
  • ナレーション:道端ジェシカ

・6月5日 WOWOW 無料TV放送 18:00〜、
・同日 DVDリリース( ↑ 画像クリック → amazonジャンプ)
・6月上旬、写真集『HOME 空から見た地球』(ピエ・ブックス発行)発売予定

*参照
『HOME 空から見た地球』(予告編あり)
国連環境計画(UNEP)

映画紹介PDF

WOWOW紹介ページ

原木抱えてふらふら右往左往

ミズナラ原木
晴れはしたものの、梅雨入り間近と思わせる湿潤な大気が身体にまとわりつき少し不快。
そんな陽気の中、今朝からエルフ1.5tトラックに積載オーバーかと思われるほどの原木丸太を積み込んで、ふらふら、右往左往。
自力で製材所へと運ぶだけの行程であったのだが、ちょっとリサーチ不足で、戸惑ってしまった。
10日ほど前、地元のあるところからミズナラがあるのですが、買っていただけませんか、との電話が入る。
山を所有している会社からで、昨年の台風被害で周囲の針葉樹が倒され、これを処分するために、どうしても邪魔なミズナラがあり、これを切り倒し運んできたのだと言われる。
ネットで検索したら、あなたのところが有益に活用してくれそうだから電話したのだ、という。
そうですか、まず拝見しましょうと、いそいそと出掛ければ、太さ1mを越すかというような大きな原木が転がっていた。
既に7尺ほどの単位で玉切りされている丸太がゴロンと4つ。
樹高20mを越すような大きな原木であったのだろう。
ほぉ〜と案内されたが、近づけば近づくほどに、実は首はうなだれてしまうのだった。
遠目にもほとんどヤケでやられているようだったからだ。
いわゆる褐色腐朽菌という奴の仕業だね。
あらためてよく見てみれば、4本のうち何とか元玉だけは被害が最小限に留まっているようだった。
二番玉より上はほとんど使い物にならないような表情をその木口から見せていた。
しかしボクは原木をしかと見定めるほどの眼を鍛えているわけではない。
とりあえず、紹介していただいた方にこの原木が訴えている症状をお話しし、一両日中に返答することにして、写真撮影をしただけで引き返した。
懇意にしていただいている材木屋のMさんにこの画像を添付して判断を仰ぐことにしたが、さっそくいただいた所見は、ボクと同じく、いや、より厳しい評価が待っていた。

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ちゃぶ台(卓袱台)

ちゃぶ台2
子供の頃、父親が荒れて卓袱台返しをしたことがかすかな記憶の中に封じ込まれている。
普段は家族に優しい父親だったが、子らの幼い世界では及びもよらない心の闇のようなものがあったのだろうか。
おっと、「卓袱台返し」なんて言葉は初耳、という人も多いかも知れない。
いわゆる4畳半ほどの狭い空間で家族が食事をする時に使われる小さな座式の飯台、“ちゃぶだい”をひっくり返すという、今では映画の中ぐらいでしか見ることのないなつかしい光景。
さて‥‥

このちゃぶ台、日本固有のスタイルの家具だと思われるが、果たしていつ頃からこのようなものが作られるようになったのだろうか。

と、先のBlogでは曖昧に表現したが、大正時代の頃からなのだそうだ。
日本における庶民の食卓になじみの深い食卓の1種だが、1960年代半ばの頃から、いわゆる文化住宅と言われるような洋風の生活が現れる頃を境にして、消えていったものだね。
ところでこの“卓袱”(しっぽく)というのは、元は中国における食卓のことだそうで、このちゃぶ台も大陸伝来のものであるのかも知れない。
っとっと、このままだと半端な文化人類学的な考察に拘泥しそうなので、軌道修正して家具としてのこの卓袱台の考察を。
ボクが最初にこの卓袱台の設計図を見たのは、工作社(雑誌『室内』の出版社)から発刊された『和家具の工作・仕上法』という著書からだった。
後付を見ればボクの生年から数年後というかなり旧い発刊のものだが、恐らくはこうした類書は少ないと思われるので、貴重な書になるのかも知れない。(Top画像、背景の杢は今回のちゃぶ台の天板)
最初に発見したのは家具職人をめざし模索中の頃に訪ねた国立国会図書館の奥深い閉架からであったが、その後現在の地に工房を構えて後に同じものを知遇を得た先輩からお借りすることができ、コピーもさせていただいたものだ。
後付の定価を見れば250円となっている。当時の貨幣価値でどの程度のものかは不明だが、200頁にわたる文献で、資料的価値は少なくないものがあるのではないか。
さて、さっそく関係するところから引いてみたい。

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ハバナからの緩い風を受けて

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ今朝はさほどではなかったが、水銀柱は一気にうなぎ登り、太陽が天空に達する頃にはTシャツ1枚へと真夏の様相だ。
来客時を除き、終日鳴らしていたのが、この「Buena Vista Social Club」の2枚のアルバム。
だって、暑いからねぇ。暑いときはカリブ海の音楽を、だ。 
ライ・クーダーに見出され、その友ヴィム・ヴェンダース監督が撮った同名のドキュメンタリー映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で一躍時の人に。
あれから早10年か(CD発売からは12年)。
時代は移り、そして世界も大きく変わった。
その間、周囲では幾人もの物故者を数えてきたが、しかしボクはこの老ミュージシャンのように飄々と生きていくだろう。
(YouTubeで画質、音質ともに良い状態のものが他にもあるが、埋め込み規制が多い)
Buena Vista Social Club – Chan Chan

朝日・椅子展の行く末

朝日椅子展から返却
朝日新聞社による「第6回 暮らしの中の木の椅子展」の長きにわたった全国巡回の旅もようやくピリオドを迎え、入選作が戻ってきた。
実は既に10日ほど前に戻っていたのだったが、何かと忙しく荷ほどきをしていなかった。
そして今日開けてみてびっくり。
いやいや破損していたというのではない。
確かに座の部分に少なくないひっかき傷のようなものが散見され、やられちゃった、との思いがあるのはその通りだが、これは座ることを前提とした展覧会であれば仕方がないこと。
座る人のパンツのポケットなどに凶器が忍ばされていたということだろう。(鍵束、ケータイ、etc)
びっくりしたのはそれではなく、茶封筒に図録と共に入っていたA4 1枚の挨拶の文書の方。
一通りの謝辞が記された次の段落には‥‥、
「第7回募集の説明ができない、‥‥ 一年間様子を見て、再度公募の提案が出来るよう努めていきたい」とあった。
要するに、この公募展は休止に追い込まれた、という冷厳な事実が書き記されていたのだね。
実は伏線がないわけではなかった。
先に3月末の朝日に「朝日陶芸展」を休止する旨の知らせがあったからね。(こちら
この時には、まさか椅子展までは、と懸念がもたげたのは言うまでもない。
しかしこうして現実のこととなってみれば、その喪失感は深く重い。
先の名古屋での「木工家ウィーク」でも、それらしきことは噂されていた。
会場確保の問題もあるようだった。
しかし、これはそうした開催に伴う周辺整備だけの問題などではなく、事業資金の確保という本質的な問題というものが開催計画を阻む大きな要因になっているのではないかとの推論を持たざるを得ない。

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爽快とはいえない一日

今日は終日快適な陽気だった。けれども気分は爽快とはいかなかった。
眼に異物を入れてしまった。
つぶらな瞳であるための災い?
いやいや、ゴーグルをしなかった報い。
名古屋から戻り、取りかかったのは、ちゃぶ台の修理。
このちゃぶ台という卓のスタイルを見知っているのはボクのような団塊の世代ぐらいまでだろうか。
3尺(約90cm)ほどの丸い天板を持ち、脚部が折りたためる機構となっているものだ。
日本固有のスタイルの家具だと思われるが、果たしていつ頃からこのようなものが作られるようになったのだろうか。
今回の修理というのはボクにとっては異例のケース。
自身の制作によるものであるなら積極的にやらせていただくが、そうでない場合の修理は大抵遠慮させていただく。
理由はいくつかあるが、大層なものでもないのでパス。
今回は世話になった顧客であるために受けざるを得なかったという次第。
依頼主はほぼ同世代のご夫人だが、子供の頃に父親が地域の建具屋に作ってもらったとのこと。
これが数年前に使っていられないほどにガタがきて修理に出したのだという。
この制作者は既に亡く、修理は跡を継いだ同じく建具屋を営む息子に依頼した。
これが芳しくなく、程なくガタがきちゃっていたのだと、その息子をとがめる。

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