晴れはしたものの、梅雨入り間近と思わせる湿潤な大気が身体にまとわりつき少し不快。
そんな陽気の中、今朝からエルフ1.5ｔトラックに積載オーバーかと思われるほどの原木丸太を積み込んで、ふらふら、右往左往。
自力で製材所へと運ぶだけの行程であったのだが、ちょっとリサーチ不足で、戸惑ってしまった。
10日ほど前、地元のあるところからミズナラがあるのですが、買っていただけませんか、との電話が入る。
山を所有している会社からで、昨年の台風被害で周囲の針葉樹が倒され、これを処分するために、どうしても邪魔なミズナラがあり、これを切り倒し運んできたのだと言われる。
ネットで検索したら、あなたのところが有益に活用してくれそうだから電話したのだ、という。
そうですか、まず拝見しましょうと、いそいそと出掛ければ、太さ1ｍを越すかというような大きな原木が転がっていた。
既に7尺ほどの単位で玉切りされている丸太がゴロンと4つ。
樹高20mを越すような大きな原木であったのだろう。
ほぉ〜と案内されたが、近づけば近づくほどに、実は首はうなだれてしまうのだった。
遠目にもほとんどヤケでやられているようだったからだ。
いわゆる褐色腐朽菌という奴の仕業だね。
あらためてよく見てみれば、4本のうち何とか元玉だけは被害が最小限に留まっているようだった。
二番玉より上はほとんど使い物にならないような表情をその木口から見せていた。
しかしボクは原木をしかと見定めるほどの眼を鍛えているわけではない。
とりあえず、紹介していただいた方にこの原木が訴えている症状をお話しし、一両日中に返答することにして、写真撮影をしただけで引き返した。
懇意にしていただいている材木屋のＭさんにこの画像を添付して判断を仰ぐことにしたが、さっそくいただいた所見は、ボクと同じく、いや、より厳しい評価が待っていた。

製材賃がもったいない、といった程度の丸太かもしれん。やめといたほうが‥‥、とのご託宣。
しかしね、元で4尺越える丸太だよ。
標高1,400mの南アルプス中腹から出た、良質のミズナラをチップにしちゃうのはね、忍びないじゃない。
だったら、覚悟して＠○▽ほどで引き取る、それでいけば、と結論を出す。
そして頂いた名刺に記されていたメルアドにこちらの意向を知らせ、返事を待つことに。
数日後、譲りたいとの返事。
この時点ではどちらに転んでも惜しくはないと踏んでいたので、さ〜て、また製材だ、とときめく。
今月初旬にもブラックウォールナットを3本製材したばかりで、こんなに材木集めて、どうすんの、と言われかねない散財であるが、これも神の思し召し（？）。
そんなわけで今日はこの丸太を引き取り、製材所へと向かうのだったが‥‥。
1.5ｔの積載重量制限のエルフトラックへ載せようとすると、右に左に車体が大きく傾ぐ。
材積1.6立方を越える巨体。重量制限ぎりぎりか。
おいおい、大丈夫かね、楢は重いねぇ、などと引き付けに近い顔色をみせながらも、何とか積み込む。
ラッシングベルトで固定しても、少しふらつきながらの走行だ。
行き先は同じ市内のとある製材所。
いつも世話になっている製材所だが、そこで荷下ろしするやいなや、ありゃ、これは無理だわ。と亭主が顔を歪める。
うちはこんな太いのは無理、無理。
その後同じ市内の製材所に掛け合うも、あまり受けたくはないとの連れない返事。
覚悟して静岡まで運び製材することとして、市内でも1.2を争う大きな製材所の知り合いに電話。いらっしゃい、いらっしゃいと、快諾してくれる。
さっそく、またふらふらと１号線バイパスを運行しつつ無事に持ち込んだ。
昔から付き合いのある長年材木業に従事してきたスタッフ曰く、ま、少しは良いのが取れるンじゃない？杉山さん、と笑顔を見せてくれた。
来週、製材だ。
梅雨入り間近ということで、製材時季としてはあまり望ましいものではないが、仕方がない。
早めに桟積みし、少しでも乾燥を進ませ、その後に梅雨を迎えたいものだね。
ヤケにやられ、形状もかなり扁平と、さほど期待できるものではないが、ただ地元大井川上流から産出した樹齢200年近いミズナラであるというこの価値というものは、やはり何とかものにしてやりたいと祈るような気持ちだ。
荷下ろしされた空のトラックは、帰路を弾む気分に充たしてくれた。

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