工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

政権交代の果実は、今日ついに潰えた

衆院本会議で消費増税法案が可決

消費税率引き上げなど、社会保障と税の一体改革関連法案が本日の衆院本会議で民主、自民、公明3党の合意に基づく修正案とともに賛成多数で可決された。
通常国会は79日間延長されたので、参院での審議を経、今国会中に成立する見通しとのことだ。
「政治生命を懸ける」と断言したどぜうくんにはさぞかし慶賀なことであるだろう。

先の衆院選で民主党に政権を預ける最大の根拠となった、「税金の無駄遣い根絶」「政治家主導への転換」などを主軸とするマニフェストには、一言も書き込まれていない消費税増税がいとも簡単に易々と衆院本会議で可決されるという、この不可思議さにはボクはオドロキを超え、哀しみを覚えてしまう。

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一時代を画した〈マホガニー〉という材種

色の名称に〓マホガニー色〓(#692927)というものがあることは良く知られているが、他の木材でそのように色を表す一般名称として使われているのはあまり無いと思う。
これはマホガニーという材種がそれほどまでに独特な色調を持つということと、ポピュラーな材種であったということを意味している。

ポピュラーな材種ということでは、マホガニー時代、という時代呼称があることからも分かる。
18世紀、フランスではルイ15世、16世の頃になるが、クイン・アンとかロココ、さらにはチッペンデールと言われる様式家具の時代に代表的に使われた材種だからだ。
またギターにも良く用いられてきた材だね。

そしてボクにも〈マホガニー時代〉というものがかつてあった。
かれこれ20年ほど前のこと(ホントの時代とは1つ桁が違うけれど ♪苦笑)。
この頃、近隣の木工所が業務をたたむということで在庫処分の依頼を受け、元親方とローズウッドなどとともにマホガニー材をまとまった量で譲り受けることになった。

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非デジタル世代を魅了するiPad(iPadとは?)

日曜日の映画館

日曜日の映画館ロビーでのこと。
この映画館はいわゆる単館上映のものばかりをセレクトして上映してくれる小さな小屋。
個人的に見逃したく無いと思われるタイトルの7割ほどが、掛かる、ありがたい小屋。

そこで、壁に貼られた上映映画を紹介する雑誌の切り抜きをiPadのカメラで数枚撮っていたのだが(この日はカメラを持たなかったため。iPhoneでも良かったのだが、より高解像度を求めたためのこと)、これを見ていたらしいご婦人から声を掛けられた。

これがあのアイパッドですか?
どこで買えるのですか。
どういう風に使うの?
‥‥いきなり質問攻めに遭ってしまった。

壁のチラシを勝手に撮っちゃいけないでしょ、などと見咎められるのかと一瞬思ったのだが、いいやそうではなく、iPadへの異常な関心だった。

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キャリア職人って?(その2)

この時間帯(19日21時)台風4号(グチョル)が工房の上空を通過中。
突風がゴゥゴゥと気味の悪いうなり声を上げ、窓を叩く雨音は強力な台風ならではのけたたましさだ。

午後は少し離れたところにある天乾中の材木置き場、“土場”に出向きそれぞれの屋根の確認、補強作業に追われ、戻ってきてからは、機械の定盤という定盤を合板や布団で覆う作業に追われた。結露によるサビ発生への予防だね。

そんなこんなで慌ただしい台風対策だったが、仕事の方は淡々と進み、気分は悪くない。

2個所での修行体験

さて、前回のエントリ記事では、仕口における共用、統一化などについて触れ、そうしたアプローチが重要で、キャリア職人とはそのような職能を備えている人であるという話しだった。

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カナダの吟遊詩人 レナード・コーエン〈 I’m your man 〉

ボクは決して鬱病になるような資質を持つ(あえて資質と言ってみよう)男では無いけれど、Leonard Cohen の歌に耽溺すれば、それも悪くないかな、などと思ってみる。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=iW8rFho6In8[/youtube]

オウム真理教、高橋克也容疑者の逮捕劇

菊池容疑者逮捕を受けての切迫した状況にしては、あまりにノンシャランな高橋容疑者だった。
捕まえてくれと言わんばかりに、もっとも警戒されるだろう「マンガ喫茶」で御用。

事前にいくらでも逃走経路を確保し、高飛びできたろうに、大金の使い方も知らず、
まるで、ただのそこいらのわけのわからない兄ちゃんと変わらぬ生活者然。

反権力の意志のかけらも無ければ、歯向かう牙すらも磨り減っていたのだろう。

江川昭子氏はインタビューに応え、事件解明に繋がるような証言など期待できないだろう、というのは全く同意。

この間のメディアの騒ぎは、ただの祭りで、何もオウム事件に迫るような迫力も無ければ、意志も感じさせないものだった。

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キャリア職人って?

前回はキャリア職人の陥りやすい穴ぼこについて、恥を晒したのだったが、
キャリア家具職人が達者な腕を備えているということについて、少し考えてみた。

もちろん、腕利きの職人といっても様々なタイプがあり、それを根拠づけるバックボーンにも様々な要素があるだろう。

ある若い木工職人

以前、若い駆け出しの家具職人の仕事ぶりを見て感じたことを通し、ここでは家具制作の技法における熟練について考えてみる。

その彼の仕事はとても丁寧で、良い仕事をしているようだったが、そのことに話しが及ぶと、制作時間が掛かりすぎるせいか収益がさっぱりあがらないのだと言う。

確かにこれでは難しかろうと思った。
以下のような理由からだ。

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Apple 2012 WWDC から見えること

「MacBook Pro Retina」「Mountain Lion」「iOS 6」ティムCEO(WWDCから)

日本時間今朝未明、Apple恒例の〈WWDC〉(Worldwide Developer Conference)が始まった。
“怒濤の新機種リリース”といった感じの内容だったようだが、「MacBook Pro Retina」などハードウェアへの関心はともかくも、OSの更新にいくつもの興味を惹くものがあった。

(基調講演、キーノートはこっちだよ)

Mac OS は「Mountain Lion」に更新されるが、iOS更新の方に、より興味が湧く。

何故って、Apple社がもっとも注力する部門だからでしょ。
数年前からMac OSは iOSの機能を後追いするかのような開発姿勢を見せているじゃ無い。
今度のも、Siriのように音声入力を搭載したり、リマインダー、SNSなどの搭載などが目立ち、要するに「OS XとiOSの融合」がより進んできた、ということ。

もっと言えば、iOSは社会的影響は絶大なるものがあるわけよ。(5%のシエアしか無いMacユーザーなんてたかが知れているけれど)
電車や街中ではiPhoneユーザーばっかでしょ(Androidの方が多いか?)
これは携帯電話所有者だけに留まらず、アプリを介し、多くの店舗や、施設、団体など私的公的事業体との繋がり、ネットワークが拡がっているわけで、それらへの影響は無視できないものがあるわけね。

以下、この新しい iOS 6について、ちょっとだけ詳しく見ていくけれど‥‥。

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市民を敵に回す宰相の記者会見

「国民の生活を守るための原発再稼働」って ??

この国は何も変わってはいない。
ヒロシマ・ナガサキをはるかに超えるまでの放射線に浴びせられている、この過酷な現実を前にしてもなお、この国は何も変えようとしていない。
ただひたすら財界の要請に応え、原発に固執し、多くの市民らが、あるいはそこに加えて進取の精神を持つ多くの企業が、原発の無い経済活動、真の豊かな生活を選択しようという価値転換の芽生えをその汚い手で摘み取ろうとしている。

これが金曜日、8日夕刻の野田首相による関西電力大飯原発再稼働に向けた記者会見を受けての正直な感想。
多くの市民が、恐らくは過半を占める人々の共通する思いでは無いだろうか。

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キャリア職人の余裕と落とし穴

ボクがこの世界に入ったのは青年と呼ぶには薹(トウ)が立つほどの年齢だったということもあるが、修行の頃は当然としても、独立起業もなお、必死の形相で木工に取り組んでいた。
寝ても覚めてもただひたすら、生きる全てが木工漬け、といったような生活だった。

仕事を終え、夕食後、残された全ての時間も翌日取り組む仕口などについて考えを巡らすなどに費やし、それは床についてもなお、うなされるほどのものだった。

当時は身体もきつかった。
松民(松本民藝家具)に一時世話になっていた時期、まずはじめに木取りのセクションに配属されたのだが、比重0.7ほどの重いミズメ樺の厚板を振り回す日々は、若く体力はあったとは言え、ペンと箸しか持たなかったそれまでの軟弱な体は悲鳴を上げるほどまでに過酷な日々だった。

しかしそうした心身改造を経て、少しは頑強になっていたはずだったが、まだまだふやけた身体を木工向けのそれに鍛え上げるには少し時間が必要だったのだろう。
床に付けば上腕の痺れで苛まされる日々が続き、まさに心身ともに原始的蓄積の段階(経済原論から?)であったと言えるだろう。

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