工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

宮古から秋の便り

サンマ1

三陸宮古の港から活きの良いサンマが届く。
氷詰めのトロ箱がクール宅急便で送られてきた。
まだ氷が残っている状態であれば刺身でいけるだろう、と確信は持ったものの、送り元の漁港事務所に電話を掛けて確認を取る。
「昨日の水揚げのものだから、全く平気ですよ。まずは生で味わってください・・・」とのこと。

既に用意してあった夕食メニューを変更して、刺身でいただくことにした。
普段はB級、C級グルメも、今日ばかりは不漁だと言われている稀少グルメのサンマのお造りである。
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奥会津・三島

コスモス奥会津に入ったのは9月最後の週末だったが、黄金色に色づく田んぼは稲刈り寸前の様子で、日曜日に家族総出での稲刈りという時期だったようだ。

画像は投宿させていただいた民家脇の空き地に咲くコスモス。

近頃は外来種のキバナコスモスの勢力が拡大していて、あまり良い気分にはなれないのだが、このような在来種であってはじめて秋を代表する花として愛でることができる。

山紫陽花次は山紫陽花だが、巨樹見学の途上、休憩地の雑草の中から見付けた花。

こうした野生原種は開花期も様々なようで、この時期に咲いているのはめずらしいことではない。

決して艶やかではないものの、薄く渋いピンク色の花を付けて入山者を楽しませてくれるのは嬉しいもの。

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巨樹の森への旅

栃の木


秋分の日を過ぎたとはいえ、残暑の残る下界をおさらばし、深い山へと分け入ってみた。
昨年の「新月伐採」立ち会いの企画者からの誘いで、今回は栃の木の巨樹見学会に参加者させていただいた。
(昨年の記事:「神無月、新月の日には巨樹伐採へ」「同、続」
「栃の王国」見学会と銘打たれた奥会津での企画。

昨年の新月伐採の山懐からさらに数Km先に分け入った地点になり登山距離も少し長くはなったが、沢伝いに歩を進めるのは自然との交歓をより深くするものともなり、心躍る時空となった。

画像の栃は樹齢500年ほどのものと推定されるが、実に見事な樹形である。
ゴツゴツと節の塊が出っ張り、豪雨、台風、地震、豪雪などあらゆる荒ぶれる自然現象にも耐え、一人の人間の生命の10倍もの年月を数えてきた荘厳なまでの存在感を持つ。

これほどまでにこうした栃の木がこの山に残ってきたのは何故か。
他でもない、食用のためである。
栃の実[種子]は渋抜きをすることでデンプン、タンパク質を含む食用となり、栃餅などにして主食、あるいは飢餓作物とされ重宝されてきたという歴史がある。

地元の木樵(きこり)に訊ねれば、最近ではいなくなったものの、炭焼きの人々が山深く住み着いていたそうで、コナラなどの広葉樹は伐採されてきたものの、彼らの食のためにこの栃の木だけは残されてきたのだと言う。

わずかに数十年前ほどの頃まで、子連れで山に入り炭を焼いていたそうだ。
里の小学校まで子供達はかなりの距離を歩いて通学していたらしい。

山も里も豊かで、人と自然の循環系が保たれていた時代は決して遠い昔のことではなかったということだろう。

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Tool Test プランジルーター(FWW誌から)

ルーターテスト1


Fine Woodworkingマガジン #214(最新号)に〈Heavy-Duty Plunge Router Tool Test〉が掲載されている。

このBlogにも詳しく紹介してきたようにうちではFestool社のOF 1400という2-1/4hpのものをメインのハンドルーターとして快適に使用している。
今回はFestool社のものを含む3hpのプランジルーターを対象としたテストではあるが、興味深く見較べることができた。(Blog内 インプレッション記事

読後、結論的に申せば、OF 1400という機種選択は全く正しかったことを傍証するものとなっていて、その意を強くしたというところである。

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南京鉋は、Push or Pull ?

南京鉋


家具制作における木材加工の仕上げには、手鉋での仕上げ作業は欠かせないが、曲面切削で活躍するのが南京鉋。
台裏の曲率を様々にすることで、ほとんどの凹曲面から凸曲面まで良質な仕上げを叶えてくれる家具職人としては欠かすことのできない鉋。

南京鉋という名称からして大陸伝来のものであることは明らかだが、いわゆる平鉋という台鉋が日本固有の発展を遂げて今に至る経緯を辿ったのに対し、この南京鉋はかなり原型を留めているところから名称もそうしたものとして意味付与されているのかもしれない(日本における道具史の研究家でもないのでこれ以上詳細には立ち入らないでおこう)。

今日はこの南京鉋を使う職人としての技について気になったところを考えてみる。
難しいことでは無い。
引くか、押すか、の違いについて、である。

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葬送行進曲を

この夏の異様な暑さについては気象庁を中心として分析が行われているようで、いずれまたエルニーニョ、ラニーニャなどといった専門用語が飛び交うようになるのだろうが、ボクにとっては(最近ではボクテキニハ‥‥、などと言った気色の悪い言い方があるが、あれはどうなん?苦笑)暑く、げんなりさせられた要因はもっと他にあった。
ここ数週間にわたる民主党の代表選、そしてその報道ぶりのこと。

TVをつければ不自然な笑いを振りまく代表戦候補者、二人が握手するシーンでは目を合わさずに作り笑い。
共同記者会見場では隣に座った相手へのあからさまなネガティブスピーチ。
新聞を開けば、候補者への一方的な断罪、パッシングの嵐。
何だ、俺は三流タブロイド紙でも取っていたのか、と愕然とする。

政治記者も、識者と言われるTV芸者もそれぞれの候補者の政策の解説、評論はそっちのけで、耳にタコができるほどに聞き飽きた「政治とカネ」問題、下ネタスキャンダルへの焦点化での政治ショー。

まあ、結果はご存じの通りで、まだ残暑厳しいお彼岸前なのに、悪寒をもよおすものとなった。

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成形加工における治具づくり、1つの考え方(補記1)

倣い成形に用いる刃物を紹介しよう。
もちろんこれはうちの機械環境(ピンルーター、および高速面取盤)において、という限定的なものであるが、とりあえずは基本的なものを取り揃えていると考えていただいて結構だろう。

画像の順にいこう。

ルーター刃

倣い切削に用いられるルーターの刃

うちのピンルーター(ルーターマシン)はチャックが1/2インチ、12mm、16mmのつ3のサイズに対応する(もちろんスリーブを介せば 8mm、1/4インチ、6mmなどにも対応)。

倣い切削の場合、できるだけ大きな径のビットが安定的、安全に、かつ良好な切削肌を獲得することができるものだが、ルーターマシンの構造上(回転数を含む)当然にも限界がある。

かつてドイツ製の50φほどのものを購入しようとしたことがあったのだが、メーカーサイドから危険だからと拒否されたことがあった。
ここでの“危険”という注意勧告だが、間違ってはいけない。作業者にとって危険ということではなく、マシンそのものの性能を超える負荷への懸念だ。
もちろんこれは作業者に及ぶことも考えられるので、避けるというのが賢明。
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成形加工における治具づくり、1つの考え方(3)

サンプル


今朝はこのところ忘れかけていた快適な目覚めだった。
朝食時、寒暖計を見やれば25℃。
日中は晴れ上がり気温も上昇したものの凌ぎやすく、秋の本格的な到来を思わせた。
来週はもう秋分と聞けばこれも当然ではあり遅きに過ぎたというべきか。
もう秋は来ないのかと思わされるほどの長い夏だったからね。

さて、治具つくり、4回目となるが、一応はこれで終わりとする。
日を置くことなく、うちで作ってきた倣い成形のサンプル、および倣い成形に使われる刃物などを補記として、紹介したいとも考えている。
なお、これは言うまでもなく倣い成形の1つのケースに限定しての解説でしかない。
しかし治具つくりを考えていく時に求められる基本的な要件については活用できるところも少なくないと考えている。

さて、これまで家具制作における倣い成形の基本的な考え方、その型板作りの基本、および、固定するためのクランプの事などを記述してきたところだが、最後になる今回はこの型板を倣い成形の治具としてまとめあげる段階について考えていく。

line

〈Wバークランプ、倣い成形治具〉
完成形は画像のようなものになる。

この場合の被加工材は床接地面の底が基準面になる(対する上はまだカットしていなかった。甲板の厚みが未定であったため)。
残り左右の2面をこの型板で倣い成形することになる。
以下、順を追って解説する。

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iOS4.0とAR.DroneとDominoと暴走特捜

ところで皆さんのiPhoneの調子はどうですか。
今日は iPhoneネタでいきます。

数日前 iOSがバージョンアップ(iOS 4.1)。
カメラ撮影では白飛び、黒つぶれも解消されるというHigh dynamic range (HDR)という機能が搭載され、ますます使い勝手が向上している。
アンダー、オーバーを含む3つの異なる露出で連続撮影され、それらを合成させることでダイナミックレンジを向上させているのだが、実写では明らかに効果が認められる。
これまではレベル補正などのレタッチ作業が必須だったが、もう元画像だけで十分。
これって他のケータイ、デジカメなどにも搭載されつつあるのだろうか?

iOS 4.1では他にもいろいろあるがめんどうなので省略。

例のアンテナ問題への対応策としての無償で配布されるケースも想定を超えて早めに届いたしね。(昨日、この「iPhone 4ケースプログラム」は今月末で終了させることをあらためて発表した。ま、要するに騒がれるほどには大層な問題では無かったとの判断)

そんな中、iPhone操作で遊べるラジコンヘリがいよいよ発売の運びとなったようだ。(AR.Drone

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成形加工における治具づくり、1つの考え方(その2)

くらんぷ1

型板のベースができれば、次は被加工材の固定のための機構を作る。
まずはじめに固定の方法(クランピング)について概観しておきたい。
うちでは概ね以下の3つのタイプのもので使い分けている。
・庄田ルータークランプ
・トグルクランプ
・Wバークランプ

〈ルータークランプ〉
このルータークランプは、木工機械(+木工刃物)メーカーの庄田鉄工のオリジナルなものである。
画像のようにオリジナルとは言っても複雑な機構を持つものではなく、とてもシンプルなものだ。
またシンプルなだけにその信頼性は高い。
庄田鉄工がこのようなものを製造したのは、他でもなくピンルーターおよび高速面取盤の製造においてはTopシェアを持つという背景があったのではと考えられるが、いかにも鉄工メーカーならではのごっつい鋳鉄製であるところにその信頼性の証しがある。

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