工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

Dominoによる接合強度試験(準備)

Domino1
画像はご覧のように椅子の制作途上のものだが、Dominoを用いての接合である。
これは実はうちのプロパーな椅子ではなく、椅子の構造試験のための与えられた設計仕様に基づき制作しているもの。
与えられた課題では通常の枘構造で1台制作すれば良いのだが、せっかくの機会だからというワケで、Domino接合での構造強度試験をやってしまおうという企み。
Domino2FWW誌新刊#203「JOINERY SHOOTOUT」によれば、このDominoの試験結果はあまり芳しく無いようなのだが、接合に要求される要素というものは、単に接合強度だけというものではなく、位置決めの精度であったり、加工性であったりと、複数の要素が絡んでくるので、これらを総合的に評価されねば実践的となものとはならないと思うのだが。
試験方法も、椅子という家具の中ではもっとも過酷な使用環境にあるものに、果たしてどの程度適合するのかも良く検討されなばならないしね。
いずれまた結果を報告できると思うので乞うご期待というところだね。
PS:ここ数日の初夏のような陽気からは一転して、強風が吹き荒ぶ一日だった。
  しかも、傾斜盤で加工している最中に停電。電灯、動力ともに停電。架線が強風で切断したか、変電所に異変があったか。(1.5時間ほどで回復)

第51回グラミー、最優秀新人賞のADELに期待

19
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Adele

第51回グラミー賞、8日に授賞式があった。
日本ではWOWWOWが放映したと思われるが、視聴環境は無いし、ネットでチェックしていただけ。(いずれNHK BSでも放映してくれるとは思うのだが、NHKサイトでは予告がないね)
主要五部門を制したのはロバート・プラント&アリソン・クラウス。
カントリーはほとんど興味が無いので分からないが、ブッシュからオバマに政権が変わって、今なぜカントリーなのか、いよいよ分からん(苦笑)。
そんな中で注目したいのは最優秀新人賞と最優秀ポップ女性歌手を受賞したUKシンデレラガールのADEL(アデル)
1stアルバム『19』(2008年)がイギリスのアルバムヒットチャートに初登場で1位。
アメリカのiTunesでもアルバムチャート1位。
その勢いを駆って グラミー賞にノミネート。結果主要2部門受賞。
初アルバム、弱冠20歳でグラミー2部門受賞はすごい、と思い、iTunesで視聴したりしていたが、
何と公式サイトの1つに、良質なビデオクリップでの再生が可能(Flashだね)なサイトがあって、ちょっとびっくり。アルバム『19』の主要曲が並んでいる。
・Make You Feel My Love
・Hometown Glory
・Cold Shoulder
・Chasing Pavements(最優秀新人賞曲)
・Daydreamer
「Chasing Pavements」などはユニークなダンスパフォーマンスを取り入れた優れた映像表現になっている。
ミュージシャンのWebサイトも様々に嗜好を懲らしたものがあるが、この手法はシンプルで、かつ訴求力があると思った。

(このビデオクリップはiTSでも取り扱っているので300円で購入可能→こちら

日本の所属サイトでは“スモーキー・ヴォイス”と、その特徴を形容しているが、何ですか、このスモーキー・ヴォイスってのは? 昔ハスキーボイスという形容があったけれど、同じようなもの?
でも20歳とは思えぬブルージーで、ジャージーな内省的雰囲気と、確かな歌唱、ギターテクニック(ギター以外にもいくつかの楽器をこなすという)、そして心揺さぶる音楽世界。
すばらしい新人だね。アメリカからは出てこないようなタイプかも知れない。
第45回グラミー賞では、最優秀新人賞をはじめノミネートされていた8部門全てを受賞した、ノラ・ジョーンズ(Norah Jones、シタール奏者ラヴィ・シャンカールの娘でもある)には受賞数では及ばないものの、2歳若い受賞だし、同じようなジャンルのミュージシャンだが、個人的にはこっちの方が好きだし期待したい。
LIVEスケジュールを見れば、連日予定が入っているのは当然だとしても、業界に消費され尽くされないよう、自制しつつしっかりやって欲しいね。
繁忙の余りストレス抱え、甘いものばっかり食べ過ぎて、これ以上太らないようにね。
■ グラミー受賞を伝えるBBC
■ 日本の公式サイト
Adele Chasing Pavements

半額セールCDから

CD
CDが4枚ほど届いた。
かなり以前からSONY CD Clubという会員に登録していて、既に評価が定着したようなアルバムを購入していた。
これには少し個人的事情がある。若い頃に買い求めたアルバムは、とある事情で全て手元から離れてしまったという状況を修復するためのもの。
しかしここ数年はほとんど注文する対象も見あたらず、いつも「今月は購入しない」にチェックを入れて返送していた。
数日前に届いた案内書に「特別感謝セール」(=半額セール)というチラシが挟まれていたので、何があるのかなとネットから覗けば、数枚興味のあるアルバムが見つかった。
いわば、CDの廉価セールをワゴンから探し出すような趣だね。
そして届いたのが、この4枚。
・シューマン:歌曲集 Dietrich Fischer-Dieskau
・Folklore Best Collection Various
・オキナワ・ベスト・ソング・コレクション
・日本人と木の文化/小原二郎
ははは、皆デジャブなものだ。
でもフィッシャー・ディスカウは持っていなかったし、気分転換には朗々と響くバリトンでドイツの風土を想像するのも悪くないと思ったからね。
フォルクローレはもともと好きで、都心の街頭でのストリート生演奏には聴き惚れることも多く、千円札の投げ銭をして、友人に見咎められるほどだった。
ユパンキは数枚持っているが、ウニャ・ラモスはやっぱりいいね。
シンセによる分厚いサウンドに慣れてしまっているボクたちには懐かしくもあり、知らぬ土地ではあるものの、異郷を想像させるに十分な喚起力というものがそこにはある。

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しずおか100% !

 F-lab1
地元静岡の若い家具職人たちのグループによる展示会があり、表敬訪問。
《静岡 F-lab「家具」展 vol.2 〜しずおか100% !〜》とタイトルされている。
静岡は国内有数の家具産地。
大小の製造メーカー、関連業種、数多くの職人がいる。
ただボクは修行したのも別のところ、メーカーとの取引は皆無。
したがってこうしたところとはあまり深い付き合いはなく、むしろ疎遠でいるのだが、ただ若い職人の方々とは、講習会、研修会などでご一緒することも少なくなく、細々としたお付き合いがある。
それと、家具製造企業に紹介した木工志向の若い人の数はかなりに登るということもあり、幾人かの経営者とのお付き合いもあったりする。
そんなわけなのだが、頂いたDM案内に付き従い、表敬訪問と相成った。
市内の繁華街に近い一角にあるギャラリー。ここは先にエントリした、大村雪子さんが指導される織り教室の発表会会場と、偶然にも同じだった。
様々な家具、木工品が決して広くはない会場を上手にレイアウトされ展示されていた。
中堅の製造メーカーに勤務する職人、その後独立し、自営している工房の木工家など、様々な属性を持つ7名による出品。
「しずおか100%」と銘打った理由を尋ねると、材種などに現地産のものを取り入れることをコンセプトとしたようだ
静岡は北に中央アルプスを従え、良質な針葉樹、杉、檜を供給している。
これらを積極的に使うという思考に見えるのは、家具材の供給と消費の在り方をもう一度見直そうというものでもあるのだろう。
以前も述べたことだが、昨今の若い木工家に共通して言えることとして、木工というカテゴリーへの過度な思い入れなどは薄く、むしろ軽やかに自身の表現ジャンルとして選択したというようなところがあり、肩の力が抜けていて良い。
若さ故の非洗練さであったり、無謀さであったり、練れていない仕事というものはある種必然であっても、こうして発表の機会を積極的に設け、世に問うという姿勢は好感がもてる。
*《静岡 F-lab「家具」展 vol.2 〜しずおか100% ! 〜 》
・会場:ギャラリー 濱村
     静岡市葵区両替町2丁目3-1
・会期:2009.2.12〜2.17 (10 – 18)
・問い合わせ: エノモト 090-4851-3399 (19 – 22)
 F-lab2

宮本茂紀さんを迎えての椅子の講習会

宮本茂紀

今日は椅子のお勉強。
先にお知らせしたように、株式会社ミネルバの宮本茂紀さんを迎えての椅子の講習会があり、参加させていただいた。
いつであったか忘れてしまったが、昔同じような開催主体による数百名を集める同氏の講演会があった。15年ほども昔のことになるか?
今回は50名ほどの小さな規模でのものであったためか、講師も少しリラックスされた風での展開でもあり、また聴講者にとってもより近しく交流が図れたようで、良い講習会であった。
講習内容は「椅子の考え方・作り方」とタイトルされたもの。
前段はスライド投影でのレクチャー。後段は会場に持ち込んだ椅子の名作、および宮本さんが手がけた椅子の数々を対象としたデザイン、仕口に至るまでの解説。
戦後間もない頃からの新橋付近における宮本さんの修業時代から説きおこされ、その後経済発展とともに椅子を中心として、様々な家具の試作、小ロットでの制作、そして時には玉座を含めた特殊な需要層へ向けた制作、あるいは修理と、そのフィールドは広く、今はまさに戦後家具業界の生き字引として後進指導にあたっているというところまで、その人生を賭けてのもの作りの世界の魅力を縦横に語ってくれるものだった。
個人的に交流があるわけではないものの、著名な人でもあり、また著書にも触れてきているし、あるいは朝日新聞社の「暮らしの中の木の椅子展」の講評の場に選考委員として登壇された場での交流などもあったせいか、場所もわきまえずに親しく語りかけ、また質問の機会を得ることができたのも良かった。
これも実は宮本さんの講演の最後の方に、北海道に建てられた別荘のファサードてっぺんに取り付けられたシマフクロウをスライド投影しながら、ヘーゲルのあの名句「ミネルバの梟」に触れられたことに大いに驚かされたからでもあったのだが‥‥、

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アジャストカッター

カッター
画像は座卓脚部の加工途上のものと、これに用いたカッターブロック。
畳ズリと2本の脚の接合部。
今日はカッターについてのお話しを少し‥。
この接合部は幅90mm、深さ15mmで底を除き三方を欠き取る。
ここで用いるのは、アジャストカッター。
この場合21〜41mmまで、0.1mmステップで切削幅が変えられる、超硬チップのカッターブロックを選択し、31mmほどの切削幅に設定する。
アジャストカッター最大の切削幅41mmを大きく越える部位なので、あえてこのカッターを使わなければならない加工ではないのだが、うちの固定幅のカッターは15mmが最大。
したがってこのような大きな幅の場合においても41mmまでの一発切削が可能なアジャストカッターに依存する。
まずは両サイドで寸法合わせし、残るところをもう1回、トータル3回の切削操作で美しく平滑に切削できちゃう(このカッターには毛引刃が付いているので、数カ所、この痕跡が残るが、組み上げれば完全に隠れるので影響はない)
このアジャストカッターだが、うちでは以下の4組みを用意している。
・3〜5.5 mm
・6〜11 mm
・11〜21 mm
・21〜41 mm
片側に4枚のカッターチップ(カーバイドチップ)、および同数の毛引き刃が付く。
これが左右2枚あり、その間を0.1mm〜のスペーサー(間座)で幅を調整し、重ね合わせる。

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椿三題

工房裏手にあるあまり人に愛でられることのない椿 三題。

椿a

落ざまに 水こぼしけり 花椿    松尾芭蕉

花器:灰秞一輪挿 小川幸彦

椿b

あしひきの 山つばき咲く 八峯越え 鹿待つ君の いはひ妻かも    万葉集

椿c

春の兆しとニュース3題

今日は暖かかった。工房内の室温も15℃ほどまで上昇したようだ。
上着を脱ぎ捨て、その下のネルのシャツも邪魔になり‥‥、
梓川に飛来してきているコハクチョウの北帰行がはじまったというニュースもあった。
さて今日は週末と言うことで、気になったニュースから3題。
フランス、チャンネル2で生後半年のシャム双生児(結合双生児)の分離手術に成功したとの映像がきていた。(NHK BS1で随時放送)
胸と腹部が接合しているのが痛々しい。内臓は肝臓を共有していた。
分離手術は見事に成功。すばらしいニュースだね。
共有していたのが肝臓で良かった。肝臓は2つあるから。
天地創造の神がこの地球上に人類を産み出すとき、この双子のことを考えてそうした粋な計らいをしたわけでもなかろうが、この臓器をそれぞれに分けることで成功したものだ。
チャンネル2では、この2人の子は今後生体としての経過観察の重要性もさることながら、心理的なケアが十分なされねばならないということだったが、全くその通りだろう。
双子であることの違いは無いとはいえ、麻酔から覚めれば事情が全く理解できない乳幼児にとっても否応なく自覚を迫られることになり、これまでの結合状態から離されることでの不安感、疎外感、小さな胸に去来する想像を超える葛藤が待ちかまえているだろう。
そうした希有の体験を越えて、それぞれがどのような人生を歩んでいくのかは興味が尽きないが、しかしメディアの興味本位なパパラッチ取材は止めてもらいたい。そっと静かに見守ることだ。
* france2 対象サイト
*Google翻訳はこちら

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L型ノミの活用

ノミ2

世話になっているギャラリーから額縁(ピクチャーフレーム)制作を頼まれ作っている。
画像は、留めの部分に雇い核として差し入れたビスケットのはみ出した余分を切削しているの図。
以前にも1度このBlogで紹介したことがあったと記憶している(Blogも長年やっていると、記述したことを忘れていく ← 健忘症?)のだが、90度のの形状をしたノミで、角を払っている。
日本ではこのような形状の刃先をしたものが見あたらないので仕方が無く米国通販会社から買い求めた物。
良くこのBlogにコメントをいただくacanthogobiusさんも使っているようだ。
ただはやり鋼が良くない。
いわゆる全鋼(日本のように軟鉄に工具鋼を合わせ鍛鉄したものではない)。
測定したわけではないが、その堅さは中庸だ。
つまりは切れ味も中庸、はは、つまりあまり良い切れ味ではない。
しかもの形状をしているので研ぎも大変さ。
ビスケットの材種はブナだが、わずか15枚ほどの額縁の作業で、5回ほど研がねばならなかった。
切れ味が悪いままだと、せっかく打ち込んだビスケットは切削されることなく、抜け落ちる方向にモメントが掛かるからね。
平出さんあたりがこの形状のノミを新たに開発してくれないものだろうかね。
あるいはボクが知らないだけで、既に国内でも作られているのかも知れない。そんな情報があればこそりと教えていただけるとありがたい。
昔はこの辺りにも野鍛冶がいたので、何度か特殊な刃物を制作してもらったことがあったが、今は亡い。
ところでこうした額縁だが、皆さんはどのようにして留め部分の堅牢性を確保しているのだろう。
ボクは框での家具制作がキホンということもあるが、あまり留めを積極的に活用するということがないためか、さほどのスキルがあるわけでもない。
この度、実は留め専用のエアーツールを求めようと、いろんな情報を集め、また実際に使用している工場を訪問、確認テストし、その上で米国からSENCOのSC1(pdf)というものをプチッしたのであったが、その後1週間ほどして、メーカーが製造していないのでキャンセルしてくれとの、ほとほと落胆させるメールが届いた。
これまでの注いできた努力は一体なんであったのか ??
以前は国内でも出回っていた機種であったが誠に残念である。
玉の形状を見ればお分かりいただけると思うが、締め勾配の形状になっていて、打ち込むことで強く緊結するものである。
悔しいね〜。
これもまた人生か ‥‥。
ノミ3
ノミ1

異才の作家から春をいただく

作品1
静岡市内で開かれていた、創作機織り教室の作品発表会を表敬訪問。
知人(友人の友人つながり)の工芸家・大村雪子さんが指導されている教室。
週初めで、また展示会最終日と言うのに、おおぜいの観覧者が押しかけていた。
タペストリー、ストール、マット、バッグ、様々な形のものが、床から、壁から、所狭しに色とりどりに並べられた空間は、春を先取りしたかのように華やかな雰囲気に彩られていた。
それぞれの作品のテイストも様々だが、やはり中でも目を引くのはバラエティーに富んだ色彩。そして様々な大きさの毛玉を幾何学的に配置した抽象絵画のようなタペストリー、あるいは白地に、いくつもの色彩の様々な形状のフェルトを折り重ねた、夢の世界のようなラグ。
この創作機織り教室は「ケアハウス・シンフォニー」という障害者福祉施設でのもの。
大村さんにとってはご自身の作品制作活動から少し離れて、こうした障害を抱えた生徒さんを相手とした教室の時間を共有すると言うことは、なかなか大変なものであるに違いない。
コミュニケーションを取ることの困難さもあるかもしれないし、あるいは指導する立場において健常者とは異なる難しさもあることだろう。
それらはまたご自身の作家活動において何某かの影響を与えずにはおかないものかもしれない。
しかしそうした若い彼らとの時間の共有、あるいは指導と被指導の間に交わされる交歓というものは、発想の豊かさへの気づきであるとか、あるいは厳しかろう制作活動への勇気へと繋がるものもあるだろうから、工芸作家という立場からも意味のある活動であろう。
大村さんと、若い六人の新進作家に、感謝したい。ありがとう。
*「障害者」という呼称について
お気づきの方も多いと思うが、昨今この「障害者」という呼称へは様々な批評とともに、いくつもの言い換えが提起されているようで、しかし定まったものとはなっていない。
言葉というものは、その時代における精神、社会規範などによって産む出されるもので、その時代の写し絵でもある。
しかし例え言い換えたとしても、「障害者」が置かれた様々な「障害」が克服されるものではないばかりか、時にはそうした差別的な実態を覆い隠すものにさえなりうるという、難しく困難な状況があると思われる。
そもそも「障害者」という概念は「健常者」たちが支配する世界から透視した身体的、精神的に異なる他者として措定されるものであり、したがってこれは近代社会における限定的なものでしかないという理解が必要なのだと思う。
大切なのは彼ら、彼女らを社会的に包摂することで、我々もまた豊かで、バランスの取れた社会生活を営むことが出来るということを積極的に捉えることの重要性であろう。
作品2