工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

L型ノミの活用

ノミ2

世話になっているギャラリーから額縁(ピクチャーフレーム)制作を頼まれ作っている。
画像は、留めの部分に雇い核として差し入れたビスケットのはみ出した余分を切削しているの図。
以前にも1度このBlogで紹介したことがあったと記憶している(Blogも長年やっていると、記述したことを忘れていく ← 健忘症?)のだが、90度のの形状をしたノミで、角を払っている。
日本ではこのような形状の刃先をしたものが見あたらないので仕方が無く米国通販会社から買い求めた物。
良くこのBlogにコメントをいただくacanthogobiusさんも使っているようだ。
ただはやり鋼が良くない。
いわゆる全鋼(日本のように軟鉄に工具鋼を合わせ鍛鉄したものではない)。
測定したわけではないが、その堅さは中庸だ。
つまりは切れ味も中庸、はは、つまりあまり良い切れ味ではない。
しかもの形状をしているので研ぎも大変さ。
ビスケットの材種はブナだが、わずか15枚ほどの額縁の作業で、5回ほど研がねばならなかった。
切れ味が悪いままだと、せっかく打ち込んだビスケットは切削されることなく、抜け落ちる方向にモメントが掛かるからね。
平出さんあたりがこの形状のノミを新たに開発してくれないものだろうかね。
あるいはボクが知らないだけで、既に国内でも作られているのかも知れない。そんな情報があればこそりと教えていただけるとありがたい。
昔はこの辺りにも野鍛冶がいたので、何度か特殊な刃物を制作してもらったことがあったが、今は亡い。
ところでこうした額縁だが、皆さんはどのようにして留め部分の堅牢性を確保しているのだろう。
ボクは框での家具制作がキホンということもあるが、あまり留めを積極的に活用するということがないためか、さほどのスキルがあるわけでもない。
この度、実は留め専用のエアーツールを求めようと、いろんな情報を集め、また実際に使用している工場を訪問、確認テストし、その上で米国からSENCOのSC1(pdf)というものをプチッしたのであったが、その後1週間ほどして、メーカーが製造していないのでキャンセルしてくれとの、ほとほと落胆させるメールが届いた。
これまでの注いできた努力は一体なんであったのか ??
以前は国内でも出回っていた機種であったが誠に残念である。
玉の形状を見ればお分かりいただけると思うが、締め勾配の形状になっていて、打ち込むことで強く緊結するものである。
悔しいね〜。
これもまた人生か ‥‥。
ノミ3
ノミ1

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • はじめまして。
    ここををはじめ、希望の形状に打ってくれるとことは
    結構あるようです。
    http://www4.ocn.ne.jp/~kanetake/index.html

  • artisanさんのブログに触発されて購入しましたが
    やはり研ぐのが難しそうで出番があまりありません。
    彫刻刀には似たような形の刃があるので作ってもらうことは
    できると思いますね。
    業界にはこんなエアツールがあるのですね。
    製造中止とは残念でした。

  • ↑のURLは三木の高橋さんですね。
    わたしも三茶の土田さんで5厘鑿と鎬を買いました。
    土田さん曰く今一番腕のいい鑿鍛冶だとか。
    でもオーダーしたら¥20000はいきそうですね。

  • しろうと(全然プロじゃん)さん、コメント感謝であります。
    現在、プロとしては恥ずかしいのですが、ハイスの10本セットのノミを常用しています。
    これも角のみサイズに合わせた特注でした。(9.5mm、11mmなどというように)
    しかし刃先形状を指定しての特注はしたことがありません。
    ユマニテさん、どうも。
    刃物のことは、まずあなたに聞かばなりませんでしたね。
    20,000円ですか。通常の倍ですね。
    ところで、高橋和己って名前ですが、「悲の器」のアレ、?
    acanthogobiusさん、エアタッカーですが、まだどこかに同種のものがないのか探しています。
    なお、ちょっと内容のものとはカテゴリーは違いますが、エアツールは様々な面で、電動のものを上回る性能のものがあります(サンダーなどで)。
    研ぎは確かに大変ですね。Lの内側を研がねばなりませんから‥‥。
    ボクはノミの方を固定して、小さな砥石を手に持って研ぐようにしています。

  • senco sc1 ネット上では製造中止の情報は得られない
    ですね。
    amazon com.には「Only 3 left in stock–order soon. 」
    なんて出ていますので、もしかすると在庫限りという
    ことでしょうか?
    玉の供給の問題もあるので機械だけあれば良い、というもの
    でもないですよね。
    メーカーに直接問い合わせるのが確実かもしれませんが。

  • acanthogobiusさん、私に代わって調査していただいたようで申し訳ないですね。
    SENCOの日本に於ける代理店が入手不可能(以前は扱われていた)というのも、製造態勢に変動があるのでしょう。
    米国本国のかつてないほどの住宅不況も影響しているのかな?

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