工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木工機械の刃物について

手押し鉋
写真は手押し鉋盤と、その刃物。
今日は新たな作業に入る前に、機械刃物を交換した。
さて木工機械の刃物の材質についてはいわゆる工具鋼といわれるものが用いられるが、これも様々な材種があることは良く知られている。
刃物としての条件は以下のようだろう。

  1. 靱性が高い(粘りがある)
  2. 高い摩擦熱に耐えられる
  3. 硬度がある
  4. 刃先が鋭利に研ぎ上がる

現在では木工機械の刃物は「高速度鋼(JIS記号=SKH○)」と、「超硬合金(JIS記号=G2、D1、D4など)」の2つがほとんどだろう。
鉋、ノミなどに用いられている「炭素工具鋼」は硬度における耐熱性が低く、高速回転する機械用刃物としては不適だ。
対し、高速度鋼は高温(600℃位まで)になっても軟化しないので機械用刃物として用いられてきた。
さらに「超硬合金」の耐熱性はとても優秀であるため高速での切削加工が可能になり、「高速度鋼」にとって変わられつつある。


しかし、「手押し鉋盤」、「自動一面鉋盤」などのナイフ カッターでは、まだまだ「高速度鋼」を用いているところが多いと思われる。
これには「高速度鋼」にもいくつかの優位性があるからだ。

  1. 甘切れがする(良く切れる)
  2. 研磨も木工職人が出来る
  3. 価格が安い

と言ったことが挙げられよう。
確かに自分も開業して暫くは「高速度鋼」の刃物を用いていた。
しかし現在は「超硬」に切り替えている。
【その理由】

  1. 圧倒的に刃持ちが良い(「高速度鋼」と比し3〜5倍という体感)
  2. 切れ味がさほど悪いとは感じられない
  3. 初期投資、研磨経費は確かに高いが(2.5倍ほどか)、それを相殺し、なお上回るメリットがある

「高速度鋼」の頃は、硬い材種(樺など)を削ると、直ぐ切れが停まったり、刃こぼれが付きやすかったものだが、「超硬刃」はこうした点に於いて圧倒的な強さを見せてくれる。
結論 ! 中古機械を導入するときも、「超硬刃」がオマケに付いていることを確かめよう(笑)

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