工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

《180°SOUTH》を楽しむ

GWですが、皆さんは良い旅をしていますか?

“どこか知らない遠くへ行ってみたい‥‥”というのは、人間の根源的な欲望の1つかもしれない。

未知の土地への旅は発見と感動をもたらし、人を豊かに鍛えてくれる。

数多くはないものの、ボクもこれまでいくつかの旅をしてきたが、南米の果て、パタゴニアに行ってみたいと思わされる映画がこの《180°SOUTH/ワンエイティ・サウス》

patagonia〉の創業者イヴォン・シュイナードと〈THE NORTH FACE〉の創業者ダグ・トンプキンス、二人の運命を変えた伝説の旅の映画。
もちろんただのロードムービーなどではなく、自然の厳しさを前にしてのチャレンジングな旅と、この体験を元にした二人のその後の人生を追体験するものとなっている。

〔STORY〕
1968年のある日、友人のダグ・トンプキンスが南米パタゴニアの山に登らないかとイヴォンを誘った。
2週間後、サーフボードや登山道具、旅を記録するための16ミリのカメラを中古のヴァンに載せ、2人は南米を目指して旅立った。
‥‥‥‥
それから40年近くの時が流れ、ジェフ・ジョンソンというアメリカの青年が、パタゴニア行きの旅に出ようとしていた。
彼はイヴォンとダグによる旅の記録映像を偶然見て衝撃を受け、自分も彼らの旅を追体験しようと考えたのだ。
‥‥‥‥
メキシコを出発してから124日目。ついにパタゴニアへ到着。
イヴォンが彼らを迎えてくれた。
天候がよくなるのを待ちながら、パタゴニアの高峰コルコバド山登頂を目指す。
‥‥‥‥(公式Webサイトから引用)


ヨットの船旅は過酷で、マストがへし折れ、このままではチリへは航行不能。
近くのイースター島で修復と休養を取ることになるが、この小さな島に残る自然の豊かさとともに、モアイ像建造の終息に纏わる話しもまた示唆的であり、何よりサーフィンに興ずる彼らの姿はとても美しい(監督・脚本の、クリス・マロイ、プロデューサーのティム・リンチはサーフ映画を専門とするクルー。カメラのダニー・モダーはジュリア・ロバーツの夫)

パタゴニアの高峰コルコバド山登頂をめざすシーンは、そのパノラマの壮大さ、登山クルーの挑戦者魂とともに印象的だ。

〈patagonia〉については説明は不要だろうが、フリースという素材をいち早く商品化したメーカーとして知られているよね。
また廉価フリースで有名になりはしたが、1シーズンで風合いも何もかも劣化するようなどこそこのメーカーのものとは違い、品質保証で堅牢だし、また修理もOK ! 、デザインもクールだ。
また「1% for the Planet」という取り組みをはじめ、環境保護へのアクションでも先進的な企業として良く知られている。

一方の〈THE NORTH FACE〉については、ボクはほとんど認識が無く無知だった。
このメーカーの数枚のジャケットを持っていて、この映画の時も着込んでいき、料金支払いの際に、タグを見せて負けてもらった(映画館のサービス)のだけれど(笑)
〈patagonia〉のものも数枚持っているが、残念ながら春先に着込むウェアは持たず。

この映画を観ようと思い立ったのは、うちのHくんがサーファー仲間からとても良い映画だった、という評価を伝え聞いてのものだったが、サーファーならずとも自然を愛する多くの人に、環境への眼差しを持つ多くの人に、そしてフクシマ原発への懸念を持つ多くの人に、ぜひご覧いただきたい。

ボク個人としては〈patagonia〉イヴォン・シュイナードの語り、姿、創業のストーリーなどへの興味からであったが、その映像の美しさ、サーフィンというアメリカ文化の背景、そして相棒のダグ・トンプキンスがパタゴニアの自然破壊を食い止めるために、莫大な資金を投じてトラストを設立、専念していることなどに圧倒されてしまった。

こうした、ある種の人類的課題へのチャレンジというものは、政府レベル、あるいは大きな組織を背景としたものではなく、実は個人の信念と、熱意によってはじめて為し得ているという事実をもっと知るべきだろうと思う。

“人は皆、後戻りできないと言うが、目の前が崖なら―― そのまま突き進むか、まわれ右をして前に進むか、どっちがいいと思う?”
と笑みを浮かべながら、おだやかに語るダグ・トンプキンスの言葉は、今のフクシマをめぐる現状を鋭く突くものとして、ボクのモヤモヤを晴らしてくれる暖かいエールだったことも明かしておこう。


【参照】
USA公式サイト
Patagonia, Inc
THE NORTH FACE
■ 高画質でのTralerダウンロードはこちら

下画像はパタゴニアの高峰コルコバド山


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