工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

雨を突いて。

結局今日も終日しょぼしょぼと、しょぼい雨が降り続いた。
んな事情もあって、半日工房を閉め業者周りに走り回る。
1月も終わろうとしているにもかかわらず、年始回りもしていないところばかり。
〈金具屋〉
スガツネもいろいろと新しい機能金具を開発しているようで、たまにはこうして訪ねてみないと開発メーカーへの敬意を示すチャンスさえも遠ざけられてしまう。
日本の金具メーカーの開発戦略も、大凡ドイツの後追い的な姿勢が見え隠れするとは言うものの、そこは日本の技術陣の優秀さで独自に換骨奪胎したようなハイセンスで良質なものを作ってくれれば良いというものだ。
〈機械屋〉
国内家具産業の低迷は木工関連の機械屋を窮地に陥れているかと言えば必ずしもそうではないのかもしれない。
偏に中国因子だ。
家具工場から撤収された機械はお色直しされ、中国大陸へと向かう船に積み込まれる。
そうした販路をいち早く開発した業者は潤っている。
商人(あきんど)はどんなご時世になっても、しぶとく、力強く生き抜いていこうとするものだ。
〈職人さん〉
問屋がとても採算が取れないような話ばかりもってきていやんなっちゃうと訴える。
─ そりゃ、●▼さんも悪い。安くやってくれると思われちゃってるんだもん。
自分の首を絞めることになるような安請け合いは絶対しないと、自分に言い聞かせなきゃ。
─ そんな事言うけどスギヤマ君。背に腹は代えられない時だってあるからね。
しかし今回は◆■家具(市内の量産フラッシュメーカー)と同じ3mもののボードを1本だけで良いから総無垢でやってくれって言うんだ。それが◆■家具の出し値と同じ価格でって言うんだぜ。
─ もう、開いた口が開かない、とはこのことだ。
そんな道理が判らん問屋などケリいれてやんなよ。
産地の職人の嘆きは深い。価格の叩き合いで自分たちを追い立てる。
〈突板業者〉
ここは米材など外国産材を得意とするところ。
今日はライティングビューローの机面に用いる杢の相談。
多くの挽き板業者が米材を中国大陸での調達を当たり前のようにしている現在、なお米本国との直接取引で良材を仕入れている。
こうした業者は家具産地、静岡だからたくさんある。
しかし家具業界を相手にしているようでは発展性は見込める訳もなく、建築産業へと大きくシフトチェンジしていることは云うまでもないことだが、ここでは高級車のダッシュボードなどへの供給も含め多様な展開を得意とし、そうした企業努力で景気は良いように伺える。
予定通りウォールナットバール杢を使うことにする。
仕上がりの結果が楽しみだ。

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