工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

雨中の納品行

梅雨前線がもたらす雨は各地に大きな被害を与え続けているようだ。
この梅雨前線が日本列島を縦断しているど真ん中、今日は早朝から片道200Kmほどの横浜方面へ納品行。
工房を立つときは昨夜から止んでいた雨も再び降り始めていた。
しょぼしょぼした雨脚かと思えば、いきなりシャワーのような豪雨といったように定まらぬ勢い。
横浜での荷降ろし時間帯には障害になるほどの降雨は無いだろうとの昨夜来の判断も少し揺らぎ始めたものの、構わず東名を東へ。
以前より納品スケジュールを顧客と調整してきた結果、この日が良いだろうとのことで進めていた。
幸いにして駿河湾沖に眺望できる伊豆の山々は明るく照らし出されていて、胸を撫で下ろしつつもフルスロットルでトラックを走らせた。
途中、海老名SSで無線LANフリースポットを活用しMacをネット接続し、リアルタイムレーダーで確認すれば、伊豆半島にまで次の厚い雲が追いかけてきている。
求めたコーヒーも紙コップのラインが半分ほど口にしただけで、あわただしく再び運転席へ。
結果、横浜の顧客宅でのワードローブを含むいくつかの家具を降ろし、設置が終わった頃合いに雨が落ちてきた。
100Kgほどにもなる大型のワードローブは、ただそれだけで搬入は困難を強いられる。ましてや雨ともなると絶望的だろう。
顧客宅の床の間を飾る、古伊万里、掛け軸、木工藝の品々を愛で、オーナーとの暫しの歓談と昼食をご馳走になり、雨の中へと辞する。
普段の行いは決して良いものとは思えないのになと、妙な自覚をしているものの、家具屋の願いを聞き入れてくれたお天道様には感謝しよう。
帰路がどしゃ降りの大雨の中の走行であったとしても赦してやろう。
帰路、顧客宅の近隣に進出してきていたIKEAに立ち寄って見た。
視察というか、一度は訪ねておかねばならないところだろうからね。
聞きしに勝る大規模店舗であり、日曜という条件でもあったので、わずかに1時間ちょっとの視察であったがとても疲れた。
子連れの20〜30代のファミリーが多く、この渋滞をかきわけ歩くのが疲れてしまったということと、やはり見るべき対象の商品は残念なことにほとんど無かったということに尽きる。
しかしこれは木工家具としての品質という1つの座標軸から見た評価ではあっても、マーケティング、プレゼンテーション、販売システム、そして何よりも徹底した価格訴求へのあくなき追求という側面からは口あんぐりのもので、とても強い印象を与えてくれた。

《関連すると思われる記事》

                   
    

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.