工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

老木の開花

ソメイヨシノ
今朝は時ならぬ豪雨に見舞われた。
一昨日22日、ソメイヨシノが開花したとの発表がなされた静岡だが、近くの河川土手の桜並木はまだ画像のような状態。
巨木の枝々にびっしりと並んだ蕾は、今にも咲き揃いたいとばかりに色づき膨らんでいるが、ほころんでいるのは1本の幹に数枚(数葉?、数個?)ほど。
咲き揃った後の豪雨ではあまりに侘びしいが、この週末ほどに見ごろを迎える桜にとっては、むしろ恵みの雨だったかも知れない。
(画像は雨上がり、正午頃のもの。花びらも濡れそぼって少しだらしないね。コンパクトデジカメにて)
今日は所用を兼ねて、この川を渡った先の床屋に立ち寄り、バリカンを入れてもらった。
この床屋、いわゆる価格破壊のチェーン店。
以前どこかでも書いたように記憶しているが、地域の理髪業組合に加盟しているようなところは利用しなくなって久しい。
「次の方、どうぞ〜」
「ハイ、お願いしま〜す」と鏡を前にして座ったのだが、このスタッフ、いきなり「お客さん、白髪が増えましたね‥‥」と、心配そうに一言。
これには、半分「ムカッ」と来て、あと半分「‥良く以前の状態を記憶していたね」と感嘆。
2つ思いが交叉する。(こうした店舗では一人あたり約20〜30分ほどで済ますので、個々の客のデータなど覚えていられないはず。しかもボクは所用の序でに立ち寄るので、広い地域のいくつかの店舗をアットランダムに訪れているのだし)
この茶髪で髭面のスタッフ、聞いてみれば年齢は36歳。それでいて白髪染めの世話になっているとか。
良かったら染めてみません?と薦められもしたが、
(ウォールナットの白太を人工乾燥過程で黒く染めて偽装させるが如くにかい?、と、言葉を返しても分かってもらえるワケがないので、一人でブツクサ‥)
「あなたのように格好良くなる保証があれば良いけど、この年齢ではね。
‥‥、大体あなたのお父さんぐらいの年だしね、ボクは」
「エッ、見えない、見えない。ウソでしょ」
「嘘言ってどうなるのよ。‥いやむしろボクはいっそのこと、藤本義一のように真っ白に早くなってみたいよ」
などとアホな会話の中で、短い時間ながらもその後は快適に過ごさせてもらい、頭も心も軽くなることができたのだった。
そうか、白髪が増えたか。
あまり鏡で写すこともなくなっているからね、自覚が足りないのはその通りかも知れない。
昨日も、地域の寄り合いで宴を囲んだのだが、同年齢のご近所さんも多く、それぞれの体力と容貌の衰えを相互に確認する場になってしまったしね。
抗えないことと、抗わねばならないことと‥‥、加齢と共に新たな問題に直面させられることも多くなってくるが、しかしまだまだ人生は長い。
河原の老木だって、まだまだ美しい花々を咲かせる精力も魔力も宿り、若い樹では見ることのできない絢爛豪華な花吹雪を見せてくれるのだから。

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  • 慈雨を得て、いっきに開花しますね。老木も若木もそれぞれの時にそれぞれの役割があるように、人にもその年代によって生を受けた者の役割と言うものがあるようです。さしずめ我々、中年期に差し掛かった者としては、志を持った若者に智恵と技術を継承し、社会的責任を果たす、と言う事でしょうか?そういう意味でもまだまだ、これからですね。

  • 追伸です。言葉足らずでした。まだまだこれからなのは私でartysanさんは立派にその責務を果たしていらっしゃるのはブログを読めば周知の事実です。

  • Y.O さん、いつも丁寧なコメントをありがとうございます。
    Y.Oさんは中年期ですか。ライフサイクルにあっては最も成熟した年齢期ですね。
    ボクはさしずめ初老ということになるのでしようか。
    しかしこれがなかなか…、そこまで覚悟ができずに、バタバタとしちゃっている。
    「社会的責任」なるものも全く不十分ですしね。
    まるで達観などとは対極での“あがき”、“焦り”の日々であります。

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