CLARO李朝棚
CLAROウォールナットとブラックウォールナットを用いた二層の李朝棚。
数回前の記事で少し詳しく紹介したので繰り返しは避けたいと思うが、収まるべきところに鎮座し、使い手の手づから器を納めることで、本来の輝きを発してくれる。
解説は最小に留め、今日は画像中心でいこう。
二層、三枚扉という構成だが、左右はPヒンジで収まる開き扉で、中は引き戸という一風変わった構成。
それぞれ単独で機能し、また中央の引き戸は左の扉裏側に収納され、そのまま収納された状態で開くことで、フルオープン状態にもなる。
この辺りの納まりに関わる精度は少し高度なものが要求されるが、いわばそこが1つのキモでもあり、チャレンジングなものとなった。
下段の戸板に見られる白太も、それ単独ではやや違和感が残ったものの、こうして6枚で納まれば、風景として馴染むから不思議なものだ。
自然木、CLAROが持つ美質と言い換えてしまおう。
CLAROという稀少材を活かすというのは、制作者の緊張を過度に強いるという側面もあるが、こうしてやり終えた充実感もまた大きい。
acanthogobius
2011-9-2(金) 20:38
黒田辰秋の作品は4枚扉ですが、システムはだいたい同じでしょうか。
クラロウォールナットのこれだけ立派な作品が収まる空間はなかなか難しいと思いますが、ゾウさんは誰か著名な作家によるものなのでしょうか?
この辺はまるで無知なもので、ごめんなさい。
artisan
2011-9-2(金) 21:44
この象、河嶋淳司という著名な人の「家族象」というものですね。リトグラフです。
伊藤若冲をはじめとして、古来から日本画の対象として象が描かれてきていますが、このM邸のご主人はご家族の団らんの場としてのリビングに、この「家族象」を家族の紐帯の象徴として置かれたのかも知れませんね。
河嶋淳司さんは50代現役バリバリの画家ですが、様々な動物を、様々に印象的な筆致で描いています。
仰る通り、黒田御大へのオマージュのようなものかもしれません。
こうしたものを制作するきっかけになったのは「人間国宝シリーズ」の写真からでしたが、現物を拝観した際にその機能の様子を学芸員に請い、見せてもらったのでしたが、ほぼ同じような機構をしていましたね。