工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ランバーコアは良い品質のものを

ランバーコア1
ランバーコアは木質材として分類すると、JAS規格では〔心材特殊合板〕と称されようなのだが、一般的なイメージにおける合板という概念とは大きくその構造も、品質も異なるように思う。
数cm幅の挽き材を繊維方向に並行に並べ、集成接合させた、いわゆる集成材というものを芯材として、ここに両面から単板を練った(貼った)材料のことをランバーコアという。
以前、まとまった量で突き板を取るために製材されたブラックウォールナットのフリッチ材を入手したことがあった。
この中で良質で、スライサーで突いて柾目として取れるものを全て突き板にした。
近隣に専門業者があったので、ここで最高の厚さを、と依頼したのが0.8mmだった。
希望としては1mmぐらいは欲しいと思ったが、出来ないものは仕方がない。
一般に広葉樹の合板のフェィス(単板)は0.15〜0.2mmほど。
この厚みであれば合板として十分だ。
ただ合板として十分なものとは言っても、しょせん合板。
合板という近代的テクノロジーの良さも、しょせん合板としての嘘っぽさもそのまま兼ね備えている。
だがこれが0.8mmのフェィスを持ったランバーコアだと、表面の質感は無垢のそれとほとんど変わらない。
したがって一般の合板にはとてもオイルフィニッシュなど望むべくもないが、この厚いフェィスであれば十分にオイルフィニッシュの良さを引き出すことができる。
しかも積層合板とは異なり、釘も木ねじも、あるいは枘穴も穿つことが可能。(芯材の品質にも依るだろうがね)


というワケでかなりの枚数のランバーコア材を確保したのだったが、これが5年ほど昔のこと。
まだたっぷりと在庫しているので、必要に応じて使っているのだが、少し問題が出てきている。
集成材部分の変形が出てきているのだ。
この集成材は練り加工をしてくれる業者が取り寄せたものだったが、どうも乾燥度の品質に問題があったのであろう。
米国のスプルー材。
以前、北海道のエジマツの集成材を使って、掘りごたつ用の座卓を制作したことがあったが、あれは最高だった。(炬燵であるために、熱対策として無垢の天板は使えないからね)
今ではこうしたものも入手が難しいのだろうか。
rannba-koa画像は芯材の暴れで凹凸が出てきているところを手鉋で修正しているの図である。
ボクたちは横摺りと言っているが、繊維と直交する方向で鉋を掛ける。
通常の0.15〜0.2mmではとても無理な作業だが、この0.8mmという厚みはかなりの削り代がある。
その後普通に繊維方向に仕上げ削りすれば無垢板を仕上げしたのと変わらない質感が表れる。
したがってこの凸凹も完璧に修正できた。
画像下は削った1枚の板と、この大きさの板5枚を削っできた鉋屑。ワォ !

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