工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ランバーコア、補記

ランバーコア
ランバーコアというものも様々あるようで、昨日取り上げたものは拡大画像のように、芯材に直接単板を接着したものとなっているが、むしろ一般には単板ではなく、薄い普通合板が接着してあったり、あるいはその上から突き板を接着したものが多いようだ。
よく見かけるシナランバーなどはこれ。
昨日触れた、経年変化による凸凹もこのような普通合板が貼ってあれば、その影響も少なくなると言うもの。
しかしやはりより自然木に近いもの、という要望に応えようとすれば、合板を用いない、ダイレクトな単板接着に魅力があると言えるだろう。
そのためには昨日のタイトルのように、より高品質な芯材を探してこなければらない。
ところでこうした木質合板については、我々高品質な木工家具を制作している立場からどのように捉えるかは、木工に対する考え方でかなり位相が異なっているだろうと思う。
ボクは昨日から記述しているように、むしろ積極的に使っていったほうが良いという考えかたに立つ。
これは本格的に木工に取り組むことになって比較的早い段階でドイツの技法書「Der Mobelba/Fritz Spannagelu」に触れたり、あるいはカール・マルムステンのスタイルを卒業生M氏を通して知ることが大きなきっかけだった。
「Der Mobelba/Fritz Spannagelu」で紹介されている制作概念図などはその多くがランバーコアを用いている。
何でもかんでも無垢でありさえすれば良い、高級だ、なんていうドグマ、嘘っぱちから解き放たれて、いかに高品質な木製家具を作るかは、その素材だけではない、デザイン、精緻な造り、オリジナリティーなど、様々な要素がそれぞれ高いレベルでの調和が取れた状態が重要なのだろう。
したがってそれを叶えるためには、時にはランバーコアでしかできない手法を取ることをためらわない、という柔軟な姿勢を取りたいものだ。
さらには木材資源の供給不足という非可逆的な時代状況を考えれば、ボクが用いる銘木の類は、ばんばか伐採して、ふんだんに用い無垢でござい、とばかりにふんぞり返っている時代は過去のものであり、今後も同様に持続できるなどとはゆめゆめ考えない方が良いのかもしれない。
時にはキャビネットなどには積極的にこのランバーコアなども取り込み、より高品質で、美しいもので世に問いたいものだ。

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