工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

框組、帆立内部

当地は今日も断続的に強い雨に見舞われたけれど、九州、熊本、大分地方へは、「これまで経験したことのない雨」との警戒が呼びかけられ、事実、犠牲者を出すほどの被害があった。
個人的には縁者、知人はいないとはいえ、お見舞いを申し述べたい。
梅雨末期、こうして毎年繰り返されるのを見ていると、防災面での予防措置の欠陥は無かったのか、検証と対策を願うばかりだ。

さて今日は、前回エントリした飾り棚の組み立て途上の画像を明かしちゃおう。
何だ、ヘマやってるじゃん、などとの見立てもできようし、あるいは、なるほど、こうした框モノ、プロはこんな方法でやっているのか、といった見方もできよう。


框の帆立1枚だけだが、そこからは、ホゾの建て方、天板、地板の納まりなど、家具職人の目から見れば、いくつものエッセンスが見て取れるはず。

ただこの場合、前回記したように、柱は45度に捻っているので、そこを意識しながら読み取っていただきたい。

なお、鏡板(羽目板)は1度オイルを塗布してあるので、色調のコントラストがきつい。
ハロゲンランプ下での撮影で、全体的に黄みがかっているのはご愛敬。

下は、この帆立を組んでいるの図である。
45度捻り柱なので、きちっと平面を出すのが難しかった。
この場合はかなり特殊な構造だったが、一般に平面を出すためには、もちろん高い精度の加工が基本とはいえ、組む過程で捻れたりしがちだ。
しかしこれを抑え、しっかりとカネを出し、平面を然るべく維持するためには、こうしたハタガネのかけ方1つでどのようにもなる。
(ということは、ハタガネの使用法を誤ると、正しく組めない)

訓練校を出たばかりの若い徒は、そうしたことを理解していない人がほとんど。
ここでしっかりと平面を出し、カネを出しておかないと、全体の組み立て前のメチ払いに苦労するし、例え何とか組み上がったとしても、扉の仕込み、抽斗の仕込みに苦労し、結果良いものはできない。


hr

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