工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

曇天が幸いすること

今日は曇天

今日は終日曇りの天気。気温も平年並み、といったところ。
日射しが弱かったのが、むしろ幸いした。

展示会開催も間近だというのに、複数の物件に翻弄され、準備に専念できない状況が続いていたが、昨日から、業務のほとんどをそれに費やす。

造り置いた家具の梱包をいったん解き、状態チェックの後、ワックスを掛ける。
うちでは昔からWATCOのサテンワックスを用いている。
これはつや消しタイプではあるが、柔らかな艶が出、また汚れ止めの効果もある。
つまりワックス成分が撥水効果をもたらす。

WATCOのオイルは乾燥が遅いが、このワックスは早いので、作業性がとても良い。

こうして以前制作したものと対面するのは楽しいものだ。
新しい発見もあったりするしね。
おぅ、コイツ、こんなに綺麗だったんだ、良い杢が出てるね、などと。
そこへ愛おしくワックスを施すわけで、楽しい作業となる。

一方逆に、このディテール、ちょっと何とかならないのかい?
などと冷や汗を掻かせる奴もあるのはご愛敬。

気に入らなければ出品しなきゃいい。赤面させられるだけだからね。

牧野クン

そんな作業中、知人の牧野クンから電話が入る。
「準備はどうですか…」
「そっちはどう?」

そっちとは、実は彼も都内でボクの会期初日と同日から展示会があるからだ。
当方、日本橋に対し、彼は池袋。
山手線では真逆の位置関係になる。

近くでは無くて良かった。
近けりゃ、連日酒盛りになってしまう。
美味い酒ばかりであれば良いが、売り上げが伸びなきゃ、不味い酒になり、
身体壊しちゃう。

大いに売ってください!と、エールを送っておいた。

牧野クンが木工はじめるにあたっては、浅からぬ因縁めいたものもあるので、常々成功していただきたいと考えており、こうして積極的に展示会を展開しているのは喜ばしい。

作業性の良い曇天

冒頭「日射しが弱かったのが幸いした」と書いたが、
これは外のトラック荷台での作業を余儀なくされたことを指している。

狭い工房の中は、出展予定の品々が所狭しと乱雑に置かれ、作業スペースが余裕が無くなってきていた、ということと、
家具の塗面の状態チェックには、中より、外光にあてて確認する方が数倍も良いからだ。
しかし太陽光線が強いと、コントラストが強すぎ、視認作業には良くないし、板にも悪い。

そこへいくと、曇天は申し分無い。
強い影はできず、柔らかい光線で隅々まで見渡せる。

そんな条件下であれば、写真撮影にももってこいなんだね。
今日は忙しくてカメラを構える余裕も無かったけれど。

明日はうってかわって、朝から強い雨が降るらしい。
中に籠もって、悪条件の下でシコシコがんばるしかない。

hr

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  • 無沙汰お許し下さい。
    ワトコ、懐かしいです、白井先生がお好きで使っていたのを思い出しました。

    • たいすけさん、お変わりありませんですか?
      さぞお忙しいのだろうと思いますが、あまり無理なさらないようにしてくださいよ。

      白井晟一先生、ワトコ使っていらっしゃったのですか。
      失礼ながら、何か身近に感じてしまいますね。

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