工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

顧客から教えられること

ソファ&センターテーブル
家具つくりの仕事というものは制作依頼があってから、制作し終わり、納品するまでの一連の工程を指すものと考えられるし、確かに消費財として位置づけられるものであればそのような捉え方も決して間違いではないかも知れない。
今日は以前より新居の調度品を作らせていただいているI邸への第2期の納品。
リビングのソファ、およびセンターテーブル、そして日本間の座卓など。
I邸主婦からは過分な評価を受け大層喜んでいただけたが、制作者への信頼を元に様々な調度品をこのように使っていただくと言うことは、当然にも制作者の責任というものがそこに発生する。
家具調度品というものは耐久消費財としてカテゴライズされるものだが、いわばこれが置かれた住宅とともに、ご家族の皆の住まう生活の中に入り込み、何某かの波紋をもたらし、あるいは異化し、生き方におけるクォリティーにも関わる影響を与えるものとなることもあるだろう。
そうであればやはりこのカスタマー(顧客)と制作者の関係というものもそこで使われ続ける家具の生命とともに継続するということにもなるだろう。
これが単一の家具に留まらず、主たる部分を専有することにもなればなおさらのこと。
搬入設置し、梱包材などの片付けを終え、自家栽培のスイカとトマトジュースでもてなしを受けながら、流した汗を納めつつの歓談の中での家具への慈しみを語るI邸主婦の言葉を受けている時、ふと上のような思いが脳裏をよぎり、身体を硬くしてしまうのだった。
ソファ

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