工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

アル・ゴアのあくなき闘い

アル・ゴア
Apple.Incの米国サイトのTopにはいつもなら話題の新製品がクローズアップされているものだが、今はアルバート・ゴアの講演時のものと思われる画像にシンプルなテキストが置かれている。(Top画像
昨12日、ノルウェーのノーベル賞委員会が2007年ノーベル平和賞を元米副大統領アル・ゴア氏と国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に授与すると発表したことを受けてのものだね。(「ノーベル平和賞はゴア元米副大統領と国連パネルが受賞」AFP BB News
Macユーザーなら周知のことと思うが、アル・ゴア氏は2003年3月からApple.Incの取締役に就任している。
(現在のインターネット網もアル・ゴア氏による「情報スーパーハイウェイ構想」企画が元になったと言うことはよく知られたこと。)
Macユーザーのみならず、世界の多くの人々がアル・ゴア氏の70年代から一貫した地球温暖化防止への精力的なこころみと、これまで少なくとも1,000回を越えたと言われる講演活動などによる普及への高い評価が、この度のノーベル平和賞受賞へと結びついたことに、大きな喜びとともに賛辞を寄せていることだろう。
ところでこうした問題に関心のある人は数日前、英国からの外信が、彼の映画「不都合な真実」には誤りがある、との報を伝えたことに複雑な思いを抱いたに違いないが、その二日後に、この報を吹き飛ばすような吉報が世界を駆けめぐったことをどのように受け止めたのだろうか。(「デイリースポーツ」

地球温暖化を警告したゴア前米副大統領のドキュメンタリー映画「不都合な真実」の内容が「政治的だ」などとして、英国の中等学校で上映しないように保護者が求めた訴訟で、英高等法院は10日、「大筋で正確である」として原告の訴えを退けたものの、映画には9つの「科学的な間違い」があると指摘した。
 BBC放送などによると、判決は同映画の9カ所が科学的な常識として定着していないとして、授業などで上映する際に、教師らが議論となっていることを生徒らに指摘すべきだとした。
 判決は、映画では南極やグリーンランドの氷が解けることにより、近い将来、海面が最大6メートル上昇する可能性があるとされたが、実際には「数千年以上かかる」と指摘した。(共同/毎日jp)


不都合な真実 ECO入門編 地球温暖化の危機昨年、ボクも邦訳された『不都合な真実』を求め、その刺激的な内容とグラフィカルでやや過剰とも言える編集に違和感を覚えつつも、その説得性には降参させられてしまう迫力を感じ、事態の切迫性に思いを強くしたものだった。
ただやはり英高等法院の指摘のように、検証結果の分析にややエキセントリックな表現や誇張もあるような感じを受けたのも事実だ。
世界の科学者の中には地球温暖化懐疑派という人たちも大勢いるが、当然のようにこぞって口を極めてこの受賞に不快感を示しているようだ。(「不都合な真実:ゴア氏映画に科学的間違い…英高等法院」毎日jp
確かに地球温暖化問題とは検証されるべき対象が地球規模、しかも生態系の変化、海水面上昇による侵食といった二次的諸問題へと拡散してしまうということや、また経済活動に大きな焦点が及ぶ事への警戒心から、常に問題が政治的な側面から語られると言った傾向が、本来の科学的実証主義を偏倚させるモメントとして作用することなどで、より問題解決を困難にしているということは否めないだろう。
個人的な問題意識として1つ上げれば、温暖化対策の切り札として二酸化炭素の排出が非常に少ないと言う理由で原発が推進されるのではという懸念がある。
さて、今回の受賞はどうしてもアル・ゴア氏に焦点が当たってしまっているようだが「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)との共同受賞だということを忘れてはいけない。

「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)
国連環境計画と国連の専門機関である世界気象機関が1988年共同で設立。
現在は、地球温暖化に関する最新の知見の評価を行っている。
参照(気象庁

世界の130ヶ国から4,000人の科学者を中心とした研究者が参加する団体だ。もちろん日本人も大勢の科学者が参加している。なにしろ京都議定書がその指標になっているからね。
受賞への懐疑は認めつつも、ノーベル平和賞がそれまでの反戦・平和の運動家、人権活動家という枠組みを超えて、地球平和への貢献の対象として環境活動をもターゲットとしなければならなくなってきたという現実をこそ鋭く見ておきたいと思う。
■ Apple.Incの環境問題への取り組み(「アップルと環境」
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