工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ドレメルの破損

Dremal
昨日、長年使ってきたドレメルが破損。
「DREMEL moto-tool Model 395-3」というありふれた機種。
モーターの回転が軸先へと伝わらなくなってしまった。
最近どうもこうしたトラブルな記事が多いね。
この際、某政党、党首の異名、「壊し屋」の別称でももらおうか。
この「ドレメル」使用頻度はとても低い。
もっぱら家具金物に関わる金工に使ってきただけ。
今回は先に入手した2枚刃の南京鉋を仕込む過程でのこと。
南京鉋は台に過度なストレスを受けるので、使用に供するにあたってはまず何よりもあらかじめ口埋めをするのが最初の仕事となる。
南京鉋に限らずボクたち職業木工家は一般に鉋の刃口を埋めておくことが多い。
通常は白樫、赤樫、あるいは黒檀、紫檀など堅木の木口を用いるが、南京鉋ではさらに形状安定を求め、真鍮板を使うことも屡々。
今回もこれに倣い、いそいそと真鍮板を取り出し加工に入った矢先のことだった。
口埋めは刃口部分だけをやるのが普通だが、南京鉋については上端側も含め2箇所に施すことが多い。
今回はこの2箇所を1枚の真鍮板で作るべくドレメルにご登場願い、中央部に一定の幅のスリットを入れようとした。
ドレメルの先端にダイヤ粒を融着させた円盤状のビットを装着し、加工に入る。
最初は2mmほどの厚さの真鍮板も快適にスリット状に開けることができたのだが、数分して先端のビットは回転が停まってしまった。
モ−ター部は異常なく回転しているようで、どうも伝達機構がやられてしまったような症状。


Dremel 機構
こんなことは初めてであったから、内部へのアクセスも初めて。
2つのサイズのトルクスネジ6本を緩め、ハウジングを開ける。
案の定、モーターと先端チャックに回転運動を伝えるプラスティックの筒状部分がばらんばらん。
こりゃあかんわ。どうも経年使用による劣化というよりも、先端ビットの選択を誤り、過度な摩擦熱を内部へと誘引させてしまったことによるものだろう。耐熱限度を超えた摩擦熱がこの部品を破損させたのだろう。
取説を取り出し、あらためてドレメルの機構を確認(画像)。
「Flex Coupling」という部品だ(画像内:5)。
さてこれはメーカーへの修理依頼かな、と顔が歪んだが、気を取り直しネット上での情報を探す。
‥‥と、ちゃんとドレメル取り扱い店舗が修理を受け付けていることを確認する。
さらに深くサイトを当たれば、この部品も購入できることが判明。
記されていた受付窓口に電話を入れ、症状を検証してもらいながら、部品取り替えで元通り良い回転数が得られることを確認。
さっそく発注したよ。
本体価格+送料等で1,800円ほど。
‥‥ところで何故にこのような大切な機構部分がプラスティックなのかって?
恐らくは回転作業中、多様な先端工具の状況変化の影響から駆動中心部を遮断するための緩衝機構が必要だったのではないか。
(違っていたらゴメンナサイ)
*参照
DREMEL

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • そういう使い方があったんですね。
    私は以前、WOODCRAFTからForedom社のFlexible shaft tool
    を購入しましたが木工では、あまり出番がなく、工房で
    ハンガーにつり下げたままになっています。
    私も南京鉋は真鍮板で口埋めして使っていますが
    この機械を金工で使う手がありました。
    今度は金工用のビットを少し集めて使って
    見ようと思います。

  • 管理人様の木工への愛に包まれた上質な記事を拝読させて戴き、何時も、豊かな気持ちで一日が始まっています。あり・が・と・う・・ございます。
    Lee Valleyが30th Anniversary とかで、Dremel Kit を安価で提供しています。
    http://www.leevalley.com/newsletters/SB/1/3/newsletter.htm

  • acanthogobiusさん、コメントありがとうございます。
    この種の「リューター」の用途は様々でしょうが、確かに木を対象にする場合は限られてしまうかも。
    例えばこのBlogで何度か紹介し、あなたも展示会をご覧になった上條宣子さんなどの仕事は、この「リューター」が縦横無尽に活躍する世界ですね。
    一方、例えば金属の工具(定規類など)への刻印などは簡単にできますし、木と離れた対象で遊ぶのも楽しいものです。

  • 鉋屑さん、早朝からあまりに過分な褒め言葉付きのコメント、日曜朝の寝ぼけ眼を覚醒させるに十分なお得情報とともに感謝します。
    Flex Couplingの発注前でしたら、心動かしたこと間違いないところですね。
    これだけのセットで$109は破格。
    自身の思いはともかくも、このBlog読者には朗報でしょう。
    Lee Valley社へのオーダーが殺到して、週明けのスタッフは一体何事か、と驚かれるかも。
    何事においても上級者と拝察する鉋屑さんのような方のお目覚めをせめて邪魔しないような記事をと、心せねばなりませんね。

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