工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ウォールナット人乾材への憂い

ブラックウォールナット
Top画像はブラックウォールナット材をオイルフィニッシュしたもの
なかなか良い色調だね(ストロボでの撮影)
これは国内の材木会社より仕入れた人工乾燥材。
過去何度か記述してきたが、うちではブラックウォールナットについては基本的には原木丸太を求め、これを任意な厚みに製材し、乾燥管理して使っている。
一方、これだけでは十分に需要に応えられないので、製材品を求めることもある。
画像のものは5/4″板だが、1バンドル購入した中でも30cmを越える比較的品質の良いところ。
普通はこれで十分に満足すべきところだが、残念ながら色調においていささか納得がいかない。
既に気付いた方もいると思うが、辺材が心材よりダークな色調になっている。
この辺材は白太部分のはず。
今年1年を象徴する漢字に“偽”という字が充てられたというので話題になっていたが、ボクが勝手に調色したわけじゃぁ無い。
人乾工程のプロセスで、“調色”された結果である。
このバンドルのものは比較的高品質なものとし評価し求めたの。
無論この品質評価にはブラックウォールナットである以上、色の要素が大きかった。
人乾材としてはかなりのグレードとして評価して求めたものだ。
しかしこの人乾工程のプロセスでの“調色”は何とも憂鬱になってしまうよ。
白いよりも良いじゃないか、と言われれば返す言葉もないが、しかし本来の色調ではないのだよ。
白太は黒くなってありがたいものの、一方心材の本来の魅力的なウォールナット特有のあの複雑で多様な色調はあきらかに損なわれている。
でも何か、これまで経験したものとも少し色調が異なるように感じている。
人乾工程プロセスでの“調色”がヨリ上手になっていると表現したら良いのか。
なかなかナチュラルな感じではある。
ウォールナットはやはりすばらしいよね。
下げたり上げたり、と‥‥。
しかし日本国内で流通している乾燥材のほとんどすべては、この類(たぐい)。
米国市場でもほぼ同様なのだろうと思うよ。

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  •  私のところでも時折、ウォールナット材を使うことがあるのですが、まだ小さくやっていることもあり製材品を必要枚数だけ都度、取り寄せるということをしています。それでは良くないと思うので、いつかはartisanさんのように丸太買いやバンドルで購入すると言うことをしたいとは思っているのですが。
     取り寄せに際しては基本的に材木屋さんにお任せで選んで送ってもらうような事になるのですが、ほとんどに白太が入っており、かつ、スチームで心材の色を変に辺材に滲ませた?もののため、閉口しています。木取りに苦労することが多く、はっきりと白ければまだ作業もしやすいですが、変に色が付いているために見極めがはなはだ面倒です。
     製材品への白太の入り具合、色の滲ませ具合ともに、「昔はここまで酷くなかった、」というような話を聞くこともあり、この先ウォールナットの製材品の品質はどうなっていくのかとても心配ですが、「米国市場でもほぼ同様」ということですと、打つ手無し、丸太買いするしかないと言うことなのでしょうか。
     国内で配布されている米国広葉樹輸出協会のパンフを見ると、ウォールナットの解説として、「辺材の色を濃くするためにスチーム処理を行ってから出荷することもできる。」と書かれており、やれやれという気持ちになります。

  • 木工舎さん、苦労されていらっしゃるようですね。
    “同病相憐れむ”です。
    材木の需給を巡る市況というものがここ数年で大きく変貌しつつあることは徐々に末端の我々にも深刻な問題として影を落としています。
    これが日の出の勢いの中国因子が大きく絡んでくるとなりますと不可逆的なものなのかなと憂鬱になりますね。
    ウォールナットについては色調問題の克服(スチーム処理されない製品ルートの開発)とともに、やはり原木の確保ということになるでしょうか。価格的には将来的に高値安定から、さらなる高騰へという流れの中で、良い情報があれば決断すべきかもしれませんよ。
    一方、木材の用い方も多様に考えていくことが求められているとも言えるのでは。
    例えばキャビネットなどへは、厚突き(0.7mm〜)で突き板を作り、ランバーコアに貼るとか。(ボクは既に試みています)

  • 「調色」とはスチーム処理ということになるのでしょうか?
    スチーム処理っていったい、どんなことをするのしょうね?
    人工乾燥にも色々種類があるようですが人工乾燥のひとつの
    形態なのでしょうか?
    人工乾燥と別々におこなったのでは余計なコストが掛かる
    ことになると思います。
    高い湿度の中で高温にすると心材の色成分が溶け出して
    辺材を着色するということなのでしょうか?
    このブログでも何度も取り上げられたウォールナットの色の
    問題ですが、どうも?がたくさん付いてしまってすっきり
    しませんね。
    通常の人工乾燥による色の変化も同じような原理で
    起こるのかもしれませんが何とかしてほんとうのことを
    知りたいものです。
    どなたか関係者の方でチクッてくれる人はいませんかね。
    今回のartisanさんの記事中4/3”とあるのは3/4”
    (約19ミリ)のことですか?
    理由は良く知りませんが米材のインチ表示は分母が
    4だったような気がするのですが。

  • acanthogobiusさん、誤記指摘感謝です。
    4/3"ではなく、5/4"の間違いですね。
    >「調色」とはスチーム処理
    そのような含意があります。
    現場の詳細を説明するほどのデータは持ち合わせませんが、スチーム処理により、心材の色成分が辺材に移動すると言うことですね。
    ただ今回示した画像のものは、異なる手法なのか、辺材の色調はそうした説明だけで説得させるに十分なものではないようにも思えます。
    なお人工乾燥のシステムには様々な方式がありますが、このスチーム処理というのもその1つで、決して2段階のプロセスを経るというものではないでしょう。

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