工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

BOSCH 12Vコードレス電動カンナへの羨望の眼差し

前回ご案内したBOSCHのエルゴノミク ハンディトリマ・GKF10.8V-8H ですが、バッテリーのLi-Ion化による蓄電量の増大を背景に様々な工具をコードレス化させている時代の1つの表象でしたが、同じ10.8V(12V)シリーズで、BOSCHからはプレナー(電動鉋)がリリースされています。

残念ながら日本国内での販売は無く、海外から取り寄せるしか無いのかなと思ったところ、Amazon Japanでの取り扱いがあるのですね(こちら)。
これはBosch Japanによる正規販売ではなく、輸入業者による国内取り扱いなのでしょう。

国内でも同じBoschの18Vのコードレス鉋を含め、マキタなど、コードレスの電動鉋を製造販売しているところですが、なぜこのBOSCHの10.8Vという非力な機種に興味を持つかと言えば、前回のBOSCHハンディトリマと同じように、刃の短さと小型というユニークさへの関心なのです。

一般には、前述のBosch、マキタも含め、小型の電動鉋のブレードの短いものでも82mmというのが規格になっているようです[1]

これに対しBOSCHのこの機種は56mm、そこに魅力を覚えます。これは一般的な手鉋と変わらぬ程度の刃幅ですね。

鉋イラスト

一般には鉋は可能な限りに幅が広く、長い台を持つ方が平滑に削れ、かつ作業能力的に優れていることは言うまでも無いのですが、大は小を兼ねない場合もあるのです。

この「大は小を兼ねない」ケースは様々でしょうが、私が感心を寄せるのは椅子の座繰りへの活用です。

大小様々な小鉋を駆使した座刳り工程

椅子の座繰りは様々な方法がありまして、数多くの枚数の場合は、型板を作り、ルーターマシンなどで掘ることもしますが、数脚の場合、反り台を持つ電動鉋で粗彫りをすることも多いのですね。

ただ110mmという幅広のため、なだらかな曲面削りは苦手です。
これが56mmという狭い刃幅であればかなりの程度においてこの問題は克服できます。
超硬刃の左右のエッジをR面に切削加工するなどして、ですね。

こんな風に、ですね😓

鉋イラスト

もちろん、この〈GHO 10.8V-20〉は反り台ではなくフラットなベースであるわけですが、何とか強引に反り台として改造することを含め、考えたいのです。

実は、以前、かなり旧い洋書に、私が抱くイメージと同じような作業光景の写真があったのですが、その後必至に海外の電動工具を渉猟するも発見できずにきていました。
今やその長年の恩讐が果たせるかと、やや高揚感に満たされてるという極私的な思いが反映してるというわけです。

この機種、USA Amazonではユーザーレビュー、★★★★★ばかり。
非力さを越える、他の優位性を評価しての購入、投稿なのでしょう。
かなりの人気機種とみました。

また日本のAmazon対象商品頁の〈カスタマー Q&A〉には「替刃ではありません 刃物がダメになると本体ごと買い替えなければならないタイプです。 」などと、訳の分からない回答(Fake?)も掲載されていますが、そんなことありません。
替え刃は勿論あります。商品名は〈PA1208 Blade〉

日本の Boschでは本体の取り扱いも無いところから、替え刃の購入は海外からの輸入になるか、あるいは国内で入手できる同種ブレードで互換性があるものを探し、カットすれば使えるでしょう。

問題は反り台への改造が可能かどうかですが、こればかりはやってみないとわかりませんね。
また閑と懐具合に余裕ができたら、ということで課題の1つとしておきます。

(画像はBosch公式サイトから拝借いたしました。感謝!)

hr

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❖ 脚注
  1. ところで、この52、82、110、136、という刃幅、この数値ステップですが、なぜこのような寸法規格になっているのでしょう?
    卑見では、建築資材の柱などの2.5寸、3寸、3.5寸、4寸、という一般的な規格材を削るに適切な刃幅、という見方もできないわけでは無いですよね? []
                   
    
  • 脚の面取り鑿サライをみていたとは鉋ベテラン
    さすが趣味線の観察力デス。 1992 でしたか?
    小職は、塗料置き場が火が出そうだなと消防視
    次回見学隊は同行者の意見集約をいたしませう
    春、新潟方面の工房現場見学を予定しています。
    大寒お見舞い。ツイターがないabe

    • そうでしたね。1992年

      加工の手法は様々であって良いと思います。
      同じような結果がもたらされるのであれば、Aであれ、Bであっても、そのプロセスは問わない、というのも事実です。

      ただ、そのプロセスの巧緻は目に付きにくいところに痕跡として残され、あるいはその後の仕上げ工程に影響を与えてしまう、というのも真実です。

      さらには先人から継承され続け、またその過程で進化してきた道具は、それもまた木工のエッセンスの1つであり、これを使いこなすことが技術の伝承でもあり、さらなる進化へと向かう発条にもなるでしょう。

      こうした先人が開発への意思を引き継ぎ、後から来る世代に正しく伝えていくというのも、その世代に与えられた使命ですね。

    • 私のTwitterへのコメントですので、その部分を以下に。

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