工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ホゾ取盤の効用

ホゾ取り盤

4軸ホゾ取盤


画像は4軸ホゾ取盤という木工機械。
個人工房でこうした機械を設置しているところは多くないかも知れない。
しかしある程度のボリュームでのキャビネット制作、ドアの制作などにはその能力を使いたいもの。
ぐぁんばる家具屋はもちろん、建具屋には必須の機械というわけだ。

ホゾ建ての無垢の家具を量産するためのもので個人工房には無縁な機械、などといった見識しか無いような御仁には意外かも知れないが、小Lot生産を旨とするところにも有用な使い道があることは知っておきたい。

一般には框組(かまちぐみ)の仕口を加工するためのものとして開発された機械だが、椅子などの、いわゆる曲者(クセモノ)と言われるような複雑なホゾの仕口成形に大いに活躍してくれる。
ボクの導入設置への動機もそうしたところから。

通常ホゾ加工は丸鋸昇降盤を使って行うものだが、椅子などにおいて角度処理が必要であったり、被加工物が円弧状であったりと、異形なものへのホゾ付けは困難を伴う。

こうした時、このホゾ取盤では適切な治具を用いることで、高精度に、安全に、簡単に、高能率に加工を進めることができる。
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クラロウォールナット、素材の力

clarowalnut

clarowalnut Burl杢

かつて若かりし頃の話しで恐縮だが、あるグループ展へ出展した時のこと。
そこは大都会の郊外に位置する個人オーナーのギャラリーで、工芸全般の企画に熱心なところだった。

出展メンバーは、知人の木工家、陶芸家、ステンドグラス作家と、バラエティーに富んだ構成。

会期中、立派な体躯の50年配の来客があり、ある出品物のところに一直線で向かい、しげしげとそれを凝視。
立ち位置を変えたり、下からのぞき込んだりしながら、時にほくそ笑み、時に腕を組み、そしてギャラリー主人とふたこと三言。
そして、会場にいたボクのところに来て曰く。
「これはどのように入手したの?」と、

聞けば、ジョージ・ナカシマの家具のファンで、オフィスにはいくつものコレクションがあるとのこと。
知人からこの会場にクラロウォールナットのテーブルが展示されていることを聞きつけ、やってきたのだという。この材木はどのように入手したのかが気になる様子。

しばし、原木の入手から制作に至る話しやら、ナカシマの話しなどを交わし、帰って行った。
その翌日、このクラロウォールナットのテーブルを購入したいとの連絡が入る。
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年の瀬のWordPress強化あれこれ

年の瀬ですね。
皆さん風邪引いていませんか?
今冬は昨年とは大きく様相が異なるようで、インフルエンザの話しがあまり報じられませんので、安堵している身体弱者も多いのでは。(厚労省流行レベルマップ

本格的には年が明けてからのことでしょうけれども。
昨年の場合はH1N1[1] が世界的に蔓延し、これが通常の季節性インフルエンザを駆逐してしまっていたという経緯でしたが、注意を怠ることなく、「栄養摂取」「暖かくして」「手洗い励行」「咳エチケット」でいきましょう。

先週、近くに住む母親のところに出掛けたところ、体調悪化させて床に着いていた。
聞けばインフルエンザの予防ワクチン注射直後に悪化させたらしい。

強く言い聞かせて来ましたよ。
もう2度とそんなもの受けないようにと。
孫たちと同居しているならいざ知らず、外との過度な接触が無い生活をしている老人には副作用での体調悪化の方がよほど質(たち)が悪い。

皆さんも注意してくださいね。

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❖ 脚注
  1. 2009年春頃から2010年3月にかけ、H1N1亜型というインフルエンザ(流行性感冒)が世界的に流行 []

COP16から見える時代潮流

議定書延長見送りを評価する日本の経済界

先月末からメキシコ・カンクンで開催されていたCOP16[1] 及び京都議定書第6回締約国会合[2] が11日未明に終了した。
会期は10日までだったけど、「カンクン合意」文書が採択されたのは日付が変わり、午前4時だったという。
最近同じような光景があったな、と思い返せば、先の名古屋での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で我らが松本環境相の採択宣言も会期末を超えた未明のことだった。

国際会議などというのは事務レベルで調整済みのものが本会議にかけられるという了解が全く通用しなくなっているというのが昨今の状況であるらしいね。

会場で賞賛されたのは困難な会議運営を務めた開催国メキシコ外相の手腕についてのみであり、合意内容へは全く良い評価が下されなかったという。
最大の懸案であった「京都議定書」の失効を控えての「延長」問題を含め、全ては棚上げされ、次回南ア・ダーバンへと先送りされた。

この結果にほくそ笑んだのは誰あろう、我らが日本の経済界[3]
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❖ 脚注
  1. 気候変動枠組条約第16回締約国会議 []
  2. COP/MOP6 []
  3. 毎日jp:COP16:経済界は評価 議定書延長見送り []

ワークベンチ、その活用事例

Tail vise

Tail Vise

ワークベンチ、いわゆる作業台に関する記事については過去何度も上げてきているが、体系的な記述での投稿はいまだ取りかかれずにいる。

怠慢との誹りを受けるのは甘受せねばならないけれど、根が無精なせいもあるが、工場でのワークベンチ周りの整理やら、撮影やら、さらには広く資料検索をした上でのテキスト記述やらと、多くのことをクリアさせずには結実しないので踏み切れないというところだね。

現在、Blog移行に伴う作業として、記事のアーカイブを少しづつ整序しつつあるところだが、あらためて思うこととして、1テーマで10回を超える(それぞれ1回の記事も少なくないボリュームで)投稿を重ねるカテゴリーもあったりと、良くもまぁ、ここまでやれたもんだと、我ながら呆れるほどなのだが、また同様のことを行うのかと考えると、さすがに少し腰も引けてくる。

さて、そんなわけで今回もこれまで同様の断片的なものでしかないのだが、ワークベンチの活用法の話しでお付き合い願いたい。

画像複数枚はいずれもワークベンチの作業の一コマ。
汚いワークベンチと見られてしまうかも知れないが、20数年も酷使し、オーナーである自分にとってはいとおしい奴なのでお許しいただきたい。
ただ確かに傷だらけではあるものの、ワークベンチとしての機能は何ら損なわれているわけではないことは言っておこう(苦笑)

今回はいずれもうちのスタッキングスツールの最終仕上げ工程でのもの。
座枠に脚部ほぞを差し込み、クサビ止めし、乾燥後の仕上げ削りなどをしているところである。
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iWood4 という工芸品 Vol.2

iwood4

iWood 4 ブラックウォールナット材


デジタルガジェットを自然素材の木材加工品でパッケージする、という行動形態はどのように解釈すべきなのか。
デジタル機器を手にした時の冷たさ、よそよそしさ、親しみの無さ、マシン然とした佇まいへの違和感。
これらを中和し、人と親和性のあるものに装う、といった人間特有の受容のあり方を見ることができるよね。

ただAppleユーザーの少なくない人々が、その美しいデザインと佇まいに魂を奪われてしまっていることからすれば、そのような行為は理解しがたい逸脱かな。ははは。

数日前、ローズゴールド製フレームに約500個、合計100カラット超のダイヤモンドが貼り込まれたiPhone 4のケースが500万ポンド(約6億6,320万円)で発売されたと言うが(こちら)、Top画像はそれではなくiPhone 4対応の新しい〈iWood〉の方。
オランダはminiot社製造によるものだね。

ボクもAppleユーザーの端っこにぶら下がり、iPhoneを愛玩する一人ではあるのだが、外観を隠すという掟破りをしたのには理由があるんだ。
この〈iWood〉があまりにも美しく、工芸的クォリティーを獲得している事へのリスペクトゆえの事として許してもらうほかない。
さほどカネには執着心がないので、ダイヤがちりばめられた「iPhone 4 Diamond Rose」よりもスタイリッシュと見ているからね(やや強がりかな)。

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映画 〈玄 牝〉

タイトルは「げんぴん」と読む。老子の『道徳経』から引いているとのこと。
産む性としての女性の人生最大のイベントである出産を「自然分娩」で実践する吉村医院と吉村正先生を追ったドキュメンタリー映画である。

この世界では著名なドクターでもあり、多くの書も出版されており、このBlog女性読者にも知っている人も多いのではと思う。

監督・撮影はカンヌ国際映画祭で『萌の朱雀』により新人賞を受賞した河瀬直美。
(彼女自身、1子をもうけ、次の出産には吉村医院で産みたいとインタビューで応えている)
いつものように、じっくりと被写体と言葉を交わしながら、16mmキャメラを回す。

オープニングは岡崎市郊外に建つ移築再建された古民家を取り囲む鬱蒼とした木々の葉っぱが風にはためき、パンしていきなり出産シーン。
妊婦がいきみ、そして生まれたての赤ん坊は小さな鳴き声を上げ、母親の胸へと助産婦が誘う。
にっこり笑顔で迎える母親。
その静かな営みは生後数週間後の母子を視ているかのような錯覚にとらわれる。
壮絶な修羅場のごとくの出産とは対極の、自然のあるがままのゆったりとした流れの中に、新たな生の誕生がある、この不思議。
その後にへその緒が断ち切られるシーンがつづき、出産したばかりだったのだ、とあらためて気づかされる。

(Top画像は映画パンフレットだが、この赤ん坊の聖なる笑顔は産後直後のものだということに、「自然分娩」の本質が表されているように思える)
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高山から学ぶ

steam wood

曲げ木へ



うちのようなWorkshop的なスタイルでの家具制作を旨とする者にとって、いわゆる産業としてのスケールとクォリティーを獲得している家具関連製造現場を参照するというのは悪いことではない。
制作する対象が例え同じようなものであったとしても、その制作スタイルもプロセスも技法も、様々に異なってくるのだが、しかしボクたちにとってはそれらから多くの示唆を受け、学ぶことも多い。

昨日は縁あって飛騨の家具産業のその一端を垣間見る機会があり参加。
高山市内の大手の家具製造会社、および成形合板、曲げ木加工などを主要業務とする複数の工場を訪問、見学の労を執っていただいた。

高山市内には関連する業界に所属する知人も幾人かいるのだが、こうした産業規模で営むところへの訪問はショールームへの立ち入りを除けばこれまでなかっただけに興味深く拝見させていただく。

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We can Imagine

Imagine there’s no countries …

imagine life in peace …

Imagine no possessions …

Imagine all the people sharing all the world…

I hope someday you’ll join us and the world will be as one …

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=IxLnIRVVwIM[/youtube]


大雪の夜(昔の記事を読み返しながら…)

今日は二十四節気・大雪だそうだ。ということは次は「冬至」。
雪こそ無いものの、肌寒い1日だった。

そして明日はジョン・レノンが凶弾に斃れ30年目の日か。

さて、以前も触れたことだが、Blog移行は何とか首尾良くできたものの、いくつかの不具合も残っている。
WordPress固有の問題でもあるようなのだが、記事の文章が改行がされないというのは放置できない。
だらだらと読みにくいったらありゃしない。
この修正には、個別記事を1つづつ展開し、必要なところへ br タグあるいは p タグを入れてやらないとダメ。

だが1,000を超える記事を全て行う勇気も時間もボクにはない。
しかしそうは言っても、過去記事を移行させるために払った労苦がアクセスしてくださる読者への感謝と運営者責任のためのものであったとすれば、主要な記事だけでも修正を施す責任もあるだろうと、重い腰を上げつつ修正に取りかかっているところ。

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