工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

DOMINO 活用でらくらく2枚ホゾ

角ノミ盤を補うDOMINO

DOMINO活用でのホゾ加工

DOMINO活用でのホゾ加工

震災復興の態様の数々、フクシマを巡る「衆院東日本大震災復興特別委員会」の議論、気懸かりのことばかりだが、日常の業務は業務として進捗していく。

あるキャビネットの中仕切り板の接合をどうするのか。

うちの場合、キャビネットの構造は框組み(かまちぐみ)が多いのだが、今回は板で指す構造。
無垢の中仕切り板を天と地、前後それぞれ2枚ホゾで指す。

このホゾ穴は角ノミで穿つのが望ましいのだが、板指しの場合は角ノミ盤の懐の制約上、できない相談。

こうしたケースで威力を発揮するのがFestool社の「Domino」だ。
好きなところに、好きなだけホゾ穴(様のもの)を穿つことができちゃう。

あえて問題を挙げるとすれば、角ノミのようにホゾ穴が角にはならず、ボーリングでのスライド加工になるので、末端が半円となること。

ま、これはホゾの方をテキトーに丸くしてやれば良いだろうし、逆にDomino穴を四角く補正すればなお OK ! ‥‥完璧だ。
つまり、Domino標準の平ダボを使うのではなく、板そのものからホゾを作るという前提なので、そのような方法を取る。

ただ“テキトー”が許されるとはいっても、板厚方向では寸法精度をしっかりと確保するということが条件になるだろうし、また前後のそれぞれ2枚のホゾを除く中央部には、小穴を突き、ここに大入れでメチボソを埋め込む、という方法で接合度、および、位置精度を確保することも欠かせない条件となる。

人によっては、前後に2枚ホゾでは済ませず、全ての領域にホゾを設けるという律儀な人も少なくないと見るが、中仕切りという構造上の位置づけからすれば、一般にはそこまでは求められないと考えている。(違いますかね?)
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フクシマ状況下の「流言飛語」「風評被害」

ボクは「風評被害」の加害者?

週末恒例の鮮食買い出しの店頭の棚には福島県産の野菜が、
「つながろうニッポン」のキャッチコピーとともに。

一瞬、手が伸びたものの、結局その手は引っ込められ、買い物かごには入らなかった。
こうした消費者の作法が「風評被害」と指さされることになるわけか。

さらに言えば、これから記述する内容はもしかしたら「流言飛語」に類するものとして指弾されてしまうかもしれない。

4月6日、総務省から1つの文書が出された。
「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」というもの。

 本日、「被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチーム」において、「被災地等における安全・安心の確保対策」が決定されました。
 同対策においては、東日本大震災後、地震等に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布している状況に鑑み、インターネット上の流言飛語について関係省庁が連携し、サイト管理者等に対して、法令や公序良俗に反する情報の自主的な削除を含め、適切な対応をとることを要請し、正確な情報が利用者に提供されるよう努めることとされています。
 同対策を踏まえ、総務省では、社団法人電気通信事業者協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会及び社団法人日本ケーブルテレビ連盟に対して、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について、各団体所属の電気通信事業者等が表現の自由に配慮しつつ適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じることを要請しました。 

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5年ぶりの帰還(破損修理)

Lam03

Lam03



ダイニングチェアとして使われていたという、〈アームチェアLam03〉が我が工房に戻ってきた。
どのような顔つきで帰ってくるのか、生みの親としての心配もあったわけだが、意外に良い顔つきで戻ってきてくれた。

使い込まれた風格を纏いながらも、懸念された経年使用による色調の衰えは見られず、美しいウォールナットの輝きを放っている。

小さな子どもがシールを好むという児童心理は良くは判らないが、その子なりの美意識であろうか、笠木裏の中央に少女漫画の1シーンらしきかわいいシールがペタッ。

この椅子のオーナー、かなりの巨躯をもつ男性だが、経年使用によるホゾの緩みなどの劣化は見られない。
この椅子の構造は、どちらかと言えば繊細な作りの部類に入ると思うが、自信が付く。

っと、戻ってきたのにはワケがあった。
破損しちゃってるんだ。
背部からアームに掛けてひどくぶつけたそうで、クラックが入っている(画像3枚目 指先)。

さて、どうしたものか。

〈修復方法〉
その1:破損部分に雇い核を入れて再接合
その2:破損部分に2本のダボを活けて再接合
その3:上部を全取り替え

オーナーと相談しての判断になるね。
その1、その2であればサービスの範囲内で可能だが全取り替えとなると、ちょっとやっかい。

でもうれしいね。こうして美しく使ってもらっているというのは‥‥、
修復にも身が入るというもの。

ぞんざいな扱いだと、それなりに‥‥、ということはありませんのでご安心を。

修復が終わり返すときには、再塗装しブラッシュアップして送り出してやろう。
このシールを貼った小さな子が成長し、その子がオーナーに代替わりしてもなお、丁寧に使い続けてくれることを願ってね。

hr

スイス、脱原発へ(ドイツに続くフクシマの余波)

欧州各国の脱原発へのシフトチェンジ

今朝飛び込んできたホットなニュース。
■スイス、脱原発へ(WSJ
■ テレ朝(スイス「脱原発」宣言 2034年までに廃炉

スイスでは現在5基の原子炉で全発電量の40%を供給。
「福島原発でのメルトダウンはどこでも発生する恐れがあるとの抗議活動を背景に、‥‥[1] 」、新規建設は行わず、老朽化した原子炉の廃炉を徐々に進め、2040年頃までに完全な脱原発を果たすというもの。
今回は閣議決定ということで、今後、議会の審議、さらには、国民投票を経てのものとなるだろうとのこと。

フクシマクライシスを受け、いち早く脱原発へと大きくシフトチェンジを宣言したドイツに続き、2国目ということになる。

フクシマ、3.11という事象が、遠く欧州へとこれほどまでに衝撃を与えているということにあらためて驚く。

翻ってわが日本はと言えば、G8出席のためにパリを訪れている管首相の言は以下のよう。

「総電力に占める自然エネルギーの比率を2020年代に少なくとも20%に拡大。
‥‥
エネルギー消費を無制限に増やすことが適切か自問する必要があるとし、現在総電力の約30%を占める原発の比率を2030年までに50%以上にするとした「エネルギー基本計画」について、改めて見直す
‥‥
太陽電池の発電コストを2020年までに現在の3分の1に、2030年までに6分の1に引き下げると表明。さらに、同年までに1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置する構想も示した
(経済開発機構・OECDでの講演から REUTERS

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❖ 脚注
  1. スイスで大規模な反原発デモ []

〈2011アメリカ広葉樹アーキテクトセミナー in 浜松〉(ご案内)

題記、セミナーにつきご案内いたします。

親しくしていただいている海老名の戸山家具・戸山社長よりご連絡いただき、その後「アメリカ広葉樹輸出協会」辻さんから資料も届きました。

以下のようにご案内いたします。

私もかねてより米国産広葉樹を活用させていただいておりますし、会場も浜松ですので参加させていただきましょうか。

講師も中村好文さん、長澤良一さん、そしてAHECのJohn Brownさん、と、期待できますね。
アメリカの材木屋さんが「持続可能性と環境への対応」というので、ちょっと意外感もありますしね。

参加申し込みは、下記PDFファイルをダウンロード、2ページ目に記入の上、FAXにて

2011アメリカ広葉樹アーキテクトセミナー in 浜松

  • 会期:2011年6月8日
         13:30~18:30(開場13:00)
        ▼セミナー   :13:30~17:00
        ▼レセプション :17:00~18:30
  • 会場:オークラ アクトシティ ホテル浜松 3階 チェルシー2 (JR浜松駅北隣接)こちら ━▶▶▶▶
  • 講師:
    • 中村 好文氏 「木の仕事」日本大学生産工学部教授/レミングハウス
    • 長澤 良一氏 「建築現場における広葉樹内装材の塗装」木材塗装研究会
    • John Brown氏 「アメリカ広葉樹の合法性、持続可能性と環境への対応」アメリカ広葉樹輸出協会会長
  • 後援:(社)日本建築家協会(JIA)東海支部 静岡地域 西部地区会・米国農務省 海外農務局・米国大使館 農務部
  • 主催:アメリカ広葉樹輸出協会(AHEC)
  • 問い合わせ、申込先:アメリカ総領事館内
    TEL:06-6315-5101 FAX:06-6315-5103

■ ファイル、ダウンロード(アイコン クリックでダウンロード)
セミナー案内状(2.7MB)adobe readerアイコン

Macの省電力はスリープでの運用を

電力供給の危うさとMac運用

フクシマ状況下、今季夏場の電力供給の危うさが取りざたされている。
実はそんなにも心配することなく、大丈夫なんだよ、との専門家の見立てもあったりと、様々な見解がある。
個人的な関心としては、この際、省電力について考えてみることは、これまでの放漫な電力消費のあり方を見据え、今後のライフスタイルを構想するという意味において有用だろうと思っている。

今日、NHKラジオの夕方のニュース枠で、同問題が取り上げられていた。
〈私も一言!夕方ニュース〉という番組。

以前も紹介したところだが、うちでは日中は iPhone 3Gをオーディオに繋ぎ、AccuRadioを流していることが多いが、夕刻はこの〈私も一言!夕方ニュース〉に切り替えることが多い。

その日のニュースを報じるのはもちろんだが、1時間50分枠の2/3ほどを使い、1日、1テーマで専門家をゲストに招き、視聴者からの「みんなの一言」、「夕方アンケート」など、参加型、双方向という新しいコンセプトでのニュース番組だ。

1つのテーマをかなり深く掘り下げて興味深く議論されるので、木工の手も止まってしまうのがたまにきず。
以前、何度かこの番組に電話、およびメール読み上げで参加したこともあった。

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子供の成長とともに随伴する机、そして配慮の足りないBlogger

Blog記事は時として配慮が足りずに大事な顧客を泣かせてしまうということもある。

盛岡の小さな顧客への納品に関わる記事に貼付けた画像が問題だった。(こちら
後日、この小さな顧客のお父さまから明かされたエピソードの1つとして知った。

小学1年生の新入学に合わせて制作依頼された机、ほかの画像。
この机の画像が一枚だけであったことが悲しませた原因。

どういうことかというと、この時は2つの子ども部屋に2つの机他を納品設置させていただいた。
つまり彼らは双子であるのだが、Blogには片方の部屋だけを掲載し、掲載されなかった他方の小さなオーナーの心を傷つけてしまったということである。

罪なことをしてしまったと思う。痛く反省している。

遅れ馳せながら、ではあるが、あらためて掲載させていただこう。
このような事態は簡単に取り返しがつくというものではないのだが、せめてもの償いとして‥‥。



ごめんなさいね。その前の記事に紹介させてもらったお手紙は仲良く併記させてもらったのに、オジサンの配慮が足りなかったね。
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駿河湾、5月の海の美しさと、放射能漏洩への懸念

昨日は好天に恵まれ海に出た。
この辺りでは昔から良く知られた海水浴場、静波。
夏ともなれば関東圏、中部圏域から多くのカッパ達で賑わう。

静波は海水浴場ではあるが、オフシーズンといえば、もっぱらサーフィンの良いポイントだ。
昨日は大会が開かれ、うちのHくんもエントリーしているというので、カメラを担いで出掛けたというわけだ。

ただ昨日は、ちょっと気分が違った。
海への誘い(いざない)が作用するハイな気分だけではない。ここから海岸沿いを南に走ること15Km地点。そこにあるのが中部電力・浜岡原子力発電所である。

5月6日、菅総理が中部電力に対し全原子炉の運転停止を海江田経産大臣を通じて要請。これに対し中部電力は5月9日「現在運転中の4号機、5号機を停止する決定」。

そして13日、4号機を停止。
続いて翌14日、5号機を停止。

こうした、いわばハピーなニュースが流れる中の翌15日のサーフィン大会だったというわけだ。
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ちょこっとハイスツール、やや高Version

Hi Stool 2type

Hi Stool 2type

家具の寸法バランス、というものはなかなか微妙だね。

家具制作に携わって間もない頃の話になるが、和家具設計に関わり、指物職人にアドバイスをもらったことがあった。
いくつかのポイントの中で印象的だった話しの1つが寸法とバランス。

寸法、つまり見付け、見込み、その厚みを含む寸法。
それに寸法バランスのことだね。

精緻な作りではあるのだが、なぜか収まりが悪い、視覚的に落ち着きがない、といったことも起きる。
つまり、部位寸法と、それらで構成されるバランスが視覚的に快く無い、ということだね。

帆立の見付けの厚みが8分、棚板は6分、棚板の間は7寸〜8寸、台輪は1.8寸‥‥なんてね。

こうしたことは人間生活の諸空間において、知らず知らずのうちに意識下において美しいと感じ取る基準のようなものが備わっていて、そこで対象物を前にするとき、そうした深層から呼び出された美意識をはかりとして、参照し、美醜の判断を下すというわけだ。

うちのスツールの定番「ちょこっとハイスツール」だが、今回、かなり高い座のものを受注し、制作した。
ご覧の画像、手前が標準的な高さのハイスツール。奥が今回拵えたスーパー(?)ハイスツール。
脚部の高さを違えただけで、座は同一のもの。
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東日本大震災・災害ボランティア活動日録(余録)

災害ボランティア活動日録を終えて

これまで10回にわたり、石巻での緊急災害ボランティア活動・日録を綴ってきた。
3.11から2ヶ月も経過した頃にやっと終えるという、実にのろまな更新だった。

記述してきた日録だが、これらはいずれも現地の状況を総覧するものではあり得ず、ボクたちが辿ってきた、点、あるいは線としての極私的で断片的な記録でしかない。

また数枚の画像も添付してきたが、壊滅的という表現に何のためらいもない、この世のものとも思えぬ過酷な状況というものは、数葉の写真で伝えきれているわけでもない。
むしろ、その程度だったの、との受容のされかたの方こそ怖れる。
探せば他にもいくらでもネタ的な被写体もあっただろうが、残念ながら取材が主たる目的でもなく、ボランティア活動への往復の途上などで車上から捉えた断片でしかない。

しかし1枚の写真よりも、一編の優れたルポよりも、この目で捉えた被災地の生々しい現況ほど真に迫り来るものはなかった。
メディアが伝えるものは、やはりいつも媒介としての限界があり、自らの足で、自らの目で、あるいは自らヘドロに触れることでしか近接できないこともある。

とりわけ、被災者の壮絶な体験、極限的な哀しみと苦悩、これらは被災地に降り立ち、彼らに接してはじめて見えてくる。
数10万人の被災者、ひとり一人が体験した物語、抱え込んでしまった物語というものは、やはり個別具体的であり、例えば泥搔き作業を共有しなければ、その一端に触れることもできないというのも事実なのだ。

ボランティアに対しては偽善であるとか、自己満足であるとか、様々な視座からの評価があり得て良いと思う。とりあえずはあえて抗弁すまいと思う。

しかし、以下のことははっきりとさせておこう。
被災地が被った受難、一人ひとりにとっては全く瑕疵の覚えなど無い、この我らが生きる星、地球の震えによって一瞬のうちに生命を奪われ、あるいは紙一重で救われた人であっても、その後の人生設計に大きな困難を抱えてしまうという壮絶な受難。
これらは個としての受難であるにとどまらず、その地域的広域性からして、さらにはいつ終息を迎えるとも全く予測の付かない、まさに無限的で大規模な共同体総体への受難であることが明らか。
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