工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

引き手クローズアップ

引き手画像は午後1時頃のもの。
ピーカンな日射しであるためのハイコントラスト。
昨日と違い風もなくおだやかだ。
数日前にエントリした新しい自作のローズウッド引き手(ハンドル)を引き出しに取りつけての撮影。
箱は学童机の袖に当たるワゴン(部分)材種はくるみ。
ウ〜ム。ま、実用に耐えられるかな。(機能性、強度、デザイン)
引き出し前板の引き手部分は上下に抜いてしまったが、これはワゴンのフロント部分のデザインからそうしたまでで、単独であれば必要なところだけルーターなどで削り出せば良いだろう。
あ、棚口がないけれど、吊り桟方式だからね。
3杯の構成で、下はスライドレール(3段引きでA4ファイル対応)
次の課題は、同系統のデザインで扉の引き手を制作し、これらをセットで使えるようにするということになるかな。
スケールダウンさせ、縦型に格好良くね。

大雪、お見舞い申し上げます。

日本列島、大荒れ。寒冷地では吹雪いているとのニュース。
レーダーを見ると確かに典型的な冬型の荒れた雲の様子が伺える。
南は山口から、北海道まで北日本一帯が雪雲で覆い尽くされている。
当地には今年は雪を降らせてくれないのだろうか
今日は久々に青空で日中は日射しが強く射し込み、工房は温かかった。
朝晩の冷え込みは0度近くまで落ちるけれど。
庭には可憐な水仙も咲いている
日本列島は東西にも長いが、こうしてあらためて気象条件を見れば、日本海側、太平洋側では大違い。
表日本、裏日本という呼称は、いかにも差別的なニュアンスが伴うのでいやなものだけれど、明らかに風土の差異は大きい。
この風土の差異はそこで暮らす人々のエトス(心性)にも大きな影響をもたらすということは否定できないことだろう。
友人は言う。スタッフを雇用するんだったら、日本海側から東北出身の若者が良い、と。
その精神性、肉体的資質を出身地で評価しようというものだが、当たらずも遠からず、かもしれない。
厳しい自然に鍛えられた身体と精神に宿る力は信ずるに足るものと思いたい。
久々に晴れ上がったので、中断していた新たな仕事の木取りを始めた。
ある注文の家具の制作に入るのだが、1台のところ、材種とサイズ、他少し変えて2台を制作する。
これは1台だと、なかなか制作経費が抑えられないための処方。
残る1台を在庫させ、展示会用にとストックさせる。
ただ材種を変えるのは、制作費用の抑制には繋がりにくい。
これまで独立経営して20年、様々な材種を材木市で競り落とし、乾燥、管理してきたが、実はこのやり方には反省多とするところがある。
言うまでもない、様々な材種で様々な家具を制作できる環境にあるということの裏には、とても採算性を悪くして、その実態を見えなくしているという側面がある。
この世界、成功者のスタイルを見れば、共通していることとして単一の材種で制作するというのが重要な要件となっているということは知っておきたい。
明日も晴れるだろう

三題噺

江藤俊哉さんの訃報が飛び込んできた。
日本を代表するバイオリニスト、ということになるのだろうか。
「違いのわかる男」でTVCMに出てダンディーなところを見せていたのは、いつだったか。
1927年生、ということは80歳。
22日、“亡くなっていたことが分かった”という報道なので、死因などその経緯は詳らかにしない。
若ぶるわけではないけれど、江藤さんと言えば桐朋学園の学長であるとか、後進の育成に尽力された、というイメージが強いが、演奏者としての評価はどうだったのだろう。
演奏を2度ほど聴かせていただいたことがある。
ブラームスのバイオリンコンチェルトなどだった。
やはりロマン派の作品が好きだったのかな。
ボクはチャイコフスキー国際コンクールで第1位を勝ちとった諏訪内晶子の演奏が好きだが、彼女も江藤さんに薫陶を受けたのだったね。
ご冥福をお祈りします。

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“手作り家具”と機械設備(その9)

家具工房における機械導入と制作スタイルの狭間で

木材加工機械と一口で言っても様々な機械があり、加工目的によりそれらの機械を選択するということになる。

現代社会で木工をしていくためにはどうしても設置導入しなければならない必須の機械もあれば、これに加えて制作対象による様々な補助的な機械もある。
しかし本項・制作スタイルを考えていく場合、いずれの機械においてもなにがしかの影響を及ぼすということに於いては変わるものではない。

例えば、手押し鉋盤、プレナーが無かったとしたらどうだろう。
製材されてきた板を与えられ、これから全ての工程を手作業で行うということになる。
本稿でも記述してきたように、実は伝統的指物の世界では、戦後しばらくはこうした作業環境が当たり前であっただろうし、あるいはまたこれも述べてきたところだが、わずか20年ほど遡るだけでもそのようなスタイルの木工家が現存していたことを知っている。
いや、どこかに現在も尚そのようなスタイルを堅持して活動している人もいないとは言い切れない。(ここではいわゆる職業木工家を対象としているので誤解の無いよう)
彼らの作業環境の中に手押鉋盤、プレナーが入ってきたとしたら、どのような変化がもたらされるだろうか。

多くの人は「こりゃ便利だ、今まで何をやってきたんだろう‥」と文明の進化というものに喜び、この生産性の飛躍的な向上を無条件に享受してくれるだろう。
しかし一方では、自覚的であるか、そうでないかは別にしても、木と作業者との関係性というものの変容にいずれ気付かされ、生産性の向上の裏に失われていくものを懐かしむということもあるかもしれない。

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「Secretary」あるいはビューローへ

鍵
ここ数日デスクワークが続き、なかなか集中的に作業に入れない日が続いている。
ボクがこのようなもの作りの世界に飛び込んだというのも、事務作業が向いていないという自覚があったからで、少々手先が器用だ、もの作りが好きだ、ということよりも実は大きなインセンティヴだったのかも知れない。
そんな訳で今日もドラフターに向かったり、Macに向かったりと部屋で過ごす時間の方が多い日は身体が優れない。
やはり工房に入り浸って、機械加工やら、鉋掛けで汗を流す方が身体には良いようだ。
適度に身体を動かし、少しばかり頭も回転させ‥‥と、この木工稼業というのも仕事としてはまさに天職だな、とひとりほくそ笑むのだが‥‥。
そうした仕事を充実させるためにも逃げてばかりいられないのがデスクワークであることも確か。
今日はある大手出版社発行の雑誌メディアからの投稿依頼の原稿を作ったり、ボクが制作する家具のラインナップの中では高級な部類に属する「Secretary」(ライティングビューロー)の制作依頼に関する設計見積もりをしたりと勤しんだ。

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頂いて悩ましいギフト商品(洗剤は困ります)

石鹸シリーズ
今日、大手百貨店から宅配便が届いた。ちょっと困っちゃった。
送付元へのある提供へのいわゆる“お返し”なのであるが、喜んで頂戴すべきことながら、反面困惑しちゃってる。
届いたのは「洗剤」の大きなセットの梱包。
うちでは洗剤は一切使用しない。
部屋周りの掃除、キッチンの洗浄も、洗濯も石鹸。
シャンプーも歯磨きも石鹸。
カビにも、洗剤メーカーなどの商品で洗浄するのではなく、重曹、アルコールなどですっきりさせる。
シャンプーも石鹸で済ますと泡立ちも良く、髪はつやつやリフレッシュ。
食器洗いも石鹸でやることで、洗浄力は抜群で、手荒れも起こらない。肌はいつもすべすべ。
つまり洗剤を使わないというのは環境へのインパクトを減らし、河川の汚染源から少しでも遠ざかるという考えに従った対応であることは言うまでもないことだが、何も背伸びして、無理してやっているというよりも、石鹸が持つ洗浄力と、人体への影響の少なさから、その快適さを選んだ結果にすぎない。

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『芹沢けい介の生活デザイン』(芹沢けい介美術館企画)

芹沢美術館パンフ

芹沢銈輔美術館から、春の企画もののポスター、パンフレットが送られてきたので、ご案内します。
■ 『芹沢銈輔の生活デザイン』
■ 会期:08年1月26日(土)〜 5月18日(日)
 静岡市立芹沢けい介美術館
静岡市駿河区登呂5-10-5  Tel:054-282-5522
芹沢は染織に留まらず「型絵染」(布の代わりに紙を型紙で染めたもの。この呼称は人間国宝[重要無形文化財保持者]に認定された際に作られた用語)と呼ばれる技法で、生活用品から、本の装丁、包装紙まで多様なジャンルでのデザイナー、作家としてあふれんばかりの才能を開花させ総合的な美術家として活躍した。
活躍した時代はいわゆる大戦間(第一次世界大戦、第二次世界大戦の間を指す)から戦後にわたってのものだったが、日本がまだ貧しい時代にまさに人々の暮らしの中に美を取り入れようと奮闘した人生であったことを見れば、民藝運動の核心を生き抜いた染色工芸家と言って良いだろう。
今回の企画もそうした芹沢の業績を総合的に展示しようというものであるらしい。
約300点を展示するというので楽しみだ。
現在でも才能豊かな工芸家が、デザイナー的なスタンスで多様な活動をすることも決して珍しいことではないが、しかし芹沢ほどの多様さと豊穣さを見せてくれた工芸家も希有と言って良いだろう。
無論これは現代のような大衆化社会とは異なる、一部教養人、エリートによる作家活動としての特異な展開と見ることもできるし、そうした意味では幸せな時代であったと言えるかも知れない。
その時代の工芸界、デザイン界における波及力、影響力は信じられないほどのものがある。

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〔MacBook Air〕Remote Discが分からん

MacBook Air
新型MacBook Airはコンピューターの世界に衝撃をもたらしているようだ。
ジョブズ氏がにこやかに封筒から指先でつまみ出した、MacBook Air誕生のあのシーンは、確かに少し鼓動に変調をきたすほどだったよ。
これはMacworld 08でのSteve Jobs氏基調講演のそのシーン

(全編はこちらから)
さて、鼓動も落ち着いた頃となってやはり気になることはインターフェイスの制約。
Firewire(IEEE1394とか言う奴だね)ポートが無い。USBポートはたった1個だけ。
光学ドライバ断念は許せる。しかしFirewireポートの非搭載は、いささか飛躍に過ぎるのでは?
Appleさん、これは極薄を極限的に追求した結果の代償ということなのだろうかね。

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木製のハンドル(偽金具ではありません)

木のハンドル
家具をデザイン制作していて良く悩むのが引き手などの金具類であると言うことについては過去何度か触れてきたように思うが、その1つの打開策として、既製のものを用いるのではなく自作するということも良く行われる手法。

無論、金工で行うというのが正攻法であり、本来そうすべきものと考えているが、うちにはそのような設備もノウハウも無いので、自作となればやはり得意な木製ということになる。

木製とは言っても、やはり重厚感をねらって良質なローズウッド(インディアンローズウッド)を用いることが多い。
これまでも引き手(ハンドル)の他にも、つまみ、木の丁番、といろいろなものを自作してきたが、素人目には金属と較べ、その堅牢性に疑念を持たれることもあるだろうが、決して必ずしもそう言うものでもないようだ。
むしろ当然にももともと木との親和性は高く、金属のように錆びて機能不全に陥るということもない。
金属と木部の接触部はどうしても腐食しがちなもの。

因みに木の丁番(例えばこれ)は独立初期に自家消費として耐久性を継続検証しているが、20年経過した今も全く問題なく快調に機能している。

このような機能部品の制作はやっかいなものと忌避したがるものだが、いやむしろ木製のハンドル、丁番作りなどは、どちらかと言えば構築的な家具制作とは異なり、彫刻的なおもしろさがあるので、浮かんだデザインイメージを自前の限られた機械、限られた刃物を縦横に使いこなし、どのようなプロセスで完成させるのかといった事などを考えるのは、実はとても楽しく愉快なものなのだね。

さて今回も新たなデザインで試作してみたが、何とか実用になりそうだ。
木製とは言っても1個1個手で削り出すという訳にはいかないから、ある程度のロットでまとめて作る。
これは生産性を考えてのもと言うよりも、品質の安定化と仕様を満たすための必然的な考え方だ。

木のハンドル2Top画像の新たな試作のものも丸鋸昇降盤とルーターマシーンの2つの機械を使って簡単に作ってみた。
右は、これまで開発され、継続して使用してきている引き手の一部。
(これらはオリジナルなものですので、コピーはなさらないよう願いますね)

良い家具造りをする他の木工家のこうした自作の引き手などを眺めてみれば、やはりデザインセンスとアイディアの豊かさを感じさせてくれる。
木工家具の全体からすればほんのディーテールの1つかもしれないが、意外とこのような小さなものでも、イメージ豊かにその作品性を決定づけたりすることもあるもので、手抜きは許されないものの1つだね。

頭脳を柔軟にさせ、これに技能と経験を付加させれば、つまらない既製のものよりもはるかにクールなものが出来るものだ。

MacBook Air って?

Apple Store(Japan)
《MacBook Air》、ついに姿を表した。ムムム‥‥。
新しいMacbookは世界で一番薄いアルミ合金の駆体に包まれてやってきた。
〔Macworld Expo 2008〕会場には「Thinnovation」という大きなバナーが掲げてあるようだ(こちら)。(「Thinnovation」=薄さの技術革新、という造語だね)
「There’s something in the air」と、前々日に謎めいたメッセージが予告した「Air」とは一体何を意味するのかと喧しかったが、ふたを開けてみれば、ただシンプルに“薄くて”、“軽い”MacBookのことだったんだ。
ジョブズ氏の基調講演、聞き入ってしまったが、最後のコーナー、このMacBook Airに手を掛けた瞬間、目を疑ったね。
デスクの上には薄いA4封筒が1つ置かれているだけ。
これをおもむろに開封してでてきたのが MacBook Airだった。
薄いマガジン1冊が入るぐらいの奴だよ。
(Apple社サイトTopページにある奴だね)
Appleサイト、関連ページ(こちら)には、浮いちゃってる画像があるけれど、オウム真理教の松本智津夫被告ではあるまいし、空中浮遊する訳ではないよね。
羽のように軽くちゃ飛んでっちゃうからね。

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