工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

塗師屋Aさんの習作

升
画像の升、この仕口は何というのだろうか。
捻り天秤?
過日、MacBook Airでの公衆無線LAN接続の記事で触れた、塗装依託の引き上げに出掛けたときの撮影。
そう、塗師屋、Aさんの習作。
ここの市が運営する伝統工芸の伝習のためのワークショップに参加してのものだとのこと。
彼は塗師屋としてはここ静岡という産地でも指折りの優れた職人さんだ。
難しい塗装の仕事はもっぱらこのAさんに託す。
また塗装においての見識に留まらず、家具制作全般にも旺盛な関心を示し、積極的に行動する人でもある。
このワークショップでは、失われようとしている木工技法を伝えるため、元宮大工の棟梁を講師とし、家具制作に従事する職人を対象として研修を行ったようだ。
何故かこの塗師屋も手鋸と鉋を抱え参加したのだという。
その成果がこの画像のもの。
升2習作ではあるが、決めるべきところはビシッと決めているし、なかなかの出来映えだ。
楽しんでやっているというのが彷彿とさせるようなものだね。
塗師屋にしておくのがもったいない‥‥。
おっと失礼。(塗装を甘く見ちゃいけません)
ところで地板の両木口はどうなっているのかって?
これだから、木工の仕口の遊び心はいいよね。
ボクも訓練校に在籍していた頃は、与えられた課題をさっさとかたづけて、こうした高度の仕口にチャレンジしていたのが懐かしく思い出される。
‥‥つまり、今はほとんどやらない、ということになるかな(苦笑)。
今度は習作ではなく、作品を作ってもらいましょう。
聞いていますか、Aさん。

宮保鶏丁

鶏料理
ボクは時折、木工家ではなく調理人になっていたら大成したかも知れない、などと家人には変な自慢をすることがあるが、どっちも似たようなところでしょ、と軽く鼻であしらわれてしまう。
‥‥つまらない話しはさておき、週末恒例の買い出しで生の落花生が手に入った。
この品種では中国産というのが市場での一般的な認識であると思われるところ、何とそれはオーストラリア産と記されていた。
中国産であったら手を出したかどうか、というのはビミョウなところだが、農薬入り餃子事件の膠着状態は如何ともし難いですな。
またさらには何でもかんでも中国のものは悪と言ったようなメディアなどの潮流は全く同意できないし、不快でさえある。
これまでお前さんたちの胃袋をさんざ満たしてくれたのじゃなかったのかい?
冒頭から少し本件とかけ離れていく気配であるが、
今日はピーナッツと鳥肉の炒め物だ。〈中国名:宮保鶏丁(ゴンバオジーディン)〉
落花生

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反張は炎の力で

炎扉の鏡板として5分厚のウォールナットを木取ったのだが、ややプロペラに反り返っていた。
そのままの状態で平面を出せば、歩留まりは悪くなり、所定の厚みは望めない。
こういう時はどうするかと言えば、状態にもよるが、最も良い方法は炭火などで加熱した後にテコを使い湾曲させる方法が良いようだ。
これは木の組成の特性を利用するものだ。
含水率12〜18%のいわゆる乾燥材でも、まだまだ内部には水分が残っているもの。いわゆる結合水というものだ。
反りの最大のところを中心に万遍なく直火で加熱し、軟化させ、テコを利用して反りと反対側に曲げてやれば、大体において戻すことができるものだ。
コツはいくつかあるが、

  • 過度に加熱させることは良くない(焦げるほどには過熱させない)
     過ぎたるは、木の細胞組織の特性である可塑性を無くし、過度に硬化させてしまう。
  • かといってあまり火が弱いと良い結果は産まれない
  • 材の厚みにもよるが、高熱で焦げる寸前ほどまで万遍なく手早く加熱し、強制湾曲の操作も強い力で一気にやることが重要。
    だらだらとやっていては戻らない。
  • 戻した後、しばらくシーズニングの時間を置いてから加工に入る。

うちでは元々良質な材木を用いることが多いが、薄く製材したものなどでは乾燥後の在庫管理が悪かったりすると、思わぬ反張で苦労させられることもある。

因みに今回の板は、いわゆる突き尻(ツキジリ)と言われるものの再製材品。
「突き尻」はその目的からして、元々良質な材木であることが多く、我々にとっては廉価で良質なものを手にすることのできる裏技の1つだ。

こうした加熱での強制的な曲げ木も駆使することで、限られた資産を有効に使うということもボクたちの大切なテクニックと言えるだろう。
画像だが、セルフタイマーでの撮影とはいえ、絞り優先での設定であったため、5秒もの露光だったようだ。
炎の上にかろうじて水平方向に影のように見えるのが反った板。
いずれまた機会があればちゃんと撮影し直そう。 (-。-;)

簡易水道と美味しい水

水仙

画像は近くの畑の畦道に春爛漫を知らせる水仙+ボケ。
毎月第3日曜日はこの地域が共同で管理運営している簡易水道のポンプ小屋のタンク水抜き作業に出動。
今年度の当番として、最後のお務めを果たす。
当地は第1級河川「大井川」に近接していているのだが、この辺り一帯大昔は河川敷であったようだ。(というよりも、過去何度も氾濫し、水没した痕跡ということもできるのだろう)
それが証拠には地下深く良質の川原石が産出される。
あるいは、近隣が地震で揺れても、全く動じない岩盤の堅さ、土壌の堅固さがある。
またこの大井川の伏流水は豊かに地下水として流れ、簡易水道はこれを利用している。
もちろん市が供給する水道も張り巡らされているが、この簡易水道は滅菌も含め全く無処理ということもありとても美味しいので、全ての用水をこちらで賄っている。
またこの辺りは全国最大の茶産地であるが、お茶が美味しいのは茶葉ももちろんのこと、やはり何よりも水質にある。
この条件を、食品製造メーカー他、水を大量に消費する工場が放っておくはずがない。
ネスレ、紀文、クノール、日清食品、富士フイルム、SONY、科研化学、持田製薬、第1製薬などと、大工場が沿線一帯にひしめいている。
日本列島は古来より水が豊富なところだった。しかし最近では水はコンビニで買うもの、といった変容ぶり。
ボクもホテルでの宿泊の際には2Lのボトルを買うこともあるが、普段は当然にもどっぷりと簡易水道の世話になっている。
この地に引っ越ししてきたときはこの組合に加入するにあたってかなり多額の入会金を取られて、当時は不動産契約事項には盛られていなかったこともありそのことへの反発も強くあったが、こうして当番としてお世話させていただき、また美味しい水を頂き、感謝してますよ。
画像は水道ポンプ小屋の脇の点景。
今日は4月下旬頃の陽気だった。

ピカピカの新入生に

学習机
しばらくするとピカピカの新入生が夢と希望に胸膨らませて登校する姿も見られる。
この彼らの小さな夢と希望というものは実は今を生きるオトナ世界にあっても薄汚くなってしまっているとはいえ、同じものであることだろう。
人生などというものは、次の世代に如何に人間社会の豊かさと可能性というものを伝えていくのか、ということに尽きるのではないかと考えることがある。
無辜の清新な心と感受性を育て、羽ばたかせるのがオトナ社会の義務というものだ。
しかし現実は愚かなオトナたちの世界を見せてしまっていると言った方が正しいのかも知れない。
でもいくらかの経験と知識で、学習に挑む環境は与えることはできる。
画像は今日配送手配した学習机。
依頼されたのは昨秋。オイルフィニッシュという要望であはあったが、早めに完成させオイル臭を抜いてきたので、安心して使ってもらえるだろう。
クルミ。
無垢板の天板は左右の幕板に蟻桟で堅固に接合され、前後2枚の脚で畳ズリに繋がる。
抽斗は吊り桟とすることで棚口を不要とさせ、下部空間をより確保させる。
要諦は、傾斜させた幕板、板脚の面腰仕口による接合部か。
抽斗ワゴンをオプションとする。
下部抽斗はA4ファイル対応。
抽手、ハンドルはローズウッドで自作のもの。
学習机ボクの小学生の頃は何で勉強したのだろうか。
りんご箱?いや、確か母親が繕い物をする脇で、同じちゃぶ台を囲んでの楽しい勉学だったと思う。
そこはTVも無ければ、ゲームなども無い世界。
今の子たちは、オトナ社会が造り上げた様々な虚飾に満ちた欲望の世界を生きぬかねばならず、真っ当に育つには多くの困難が待ちかまえているから大変だ。
せめて心あるオトナたちで、豊かさと可能性に満ちた“世界”というものを指し示してやりたいものだね。
*撮影は散らかった工房内でのスナップだったので、背景を差し替えている(クリック拡大)

McDoでMac(BBモバイルの快適さは)

McDoでMac
今朝早く懇意にしていただいている静岡市内の塗装屋さんへ塗装が仕上がったというので引き上げに出掛けたのだが、ちょっと開業前にこの塗装屋さんの近くの24時間営業のマクドナルドに立ち寄り、BBモバイルを初体験。
初体験というのは少し正しくないかな。
以前はこのSoftBank Telecomは全国のスターバックスコーヒー店でBBモバイル環境を無料で提供していた。
しかしこれは試験的なものであり、残念ながら数年間で停止されたが、その間何度か利用させてもらった。
いつの頃からかは知らないが、同じBBモバイルが銀座ルノアール各店舗、いくつかのホテル、およびマクドナルド各店舗で有料提供していることを知り接続を試みた。
この初体験を前に、現在国内で提供されている公衆無線LANの現況について少し調べてみたが、様々な通信会社が積極的に展開していることがわかった。
これはコンピューターでのモバイル利用者の増加もあろうが、むしろiPod Touchのようなネット接続の可能なガジェットの普及が促進のエンジンになっているのだろうと考えられる。
ところでご存知のようにモバイルでのインターネットアクセス環境は、こうした公衆無線LAN環境以外に、PHS、あるいは携帯電話各社のデータ通信などでかなり以前より展開されている。

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Macユーザーの確定申告は

開花
数年前から国税庁は「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」というものを推進している。
申告書類作成のウィザードとともに、Web上から申告、申請ができるという便利なシステムではある。
ただここには利用が促進されない問題も孕んでいる(後述)。
実は昨年まではこの「e-Tax」システムはMac OSには対応していなかった。
確か数年前、公的機関がそうしたWinしか対応しないようなシステムを運用することには問題がありはしないのか、という抗議をこの窓口にしたことがあったものだ。
しかし、ありがたいことに、この「e-Tax」では申告そのものはできなくても、書類作成のサポート、ウィザードは提供されていて、これはMac OS Safari環境でも享受できる。(確定申告書等作成コーナー
無論ボクは数年前からこれを活用し、プリントアウト(PDF)し、これに捺印し、送付していた。
昨夜、本年度分についてもこのシステムを利用し、本日投函したところだが、実は「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」そのものもMac OS対応になっていることが分かった。
少しは国税庁もコンピューター世界の様々な環境にも対応させようという、“真っ当な”思考に近づいてきたと言えるのかもしれない。 拍手 !!

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“手作り家具”と機械設備(番外編 その4)

超仕上鉋盤a

超仕上鉋盤という機械がある。

このシリーズの(その16)で簡単に取り上げた機種だが、今日はこの刃の交換を行ったついでに撮影したので、あらためてこの機械について少し詳しく記述してみたい。

“手作り家具”に機械の鉋かい?、と訝る向きもあるやも知れない。
その懸念を払拭することができるかどうかは読者に委ねるとして、手鉋、超仕上鉋盤、横型ベルトサンダーなどそれぞれに使いこなしてきた者として、この機械の特徴と使用するに当たっての留意点を述べていこう。

木工に従事する人は、使用経験の無い人でもその機構については知っているものと思う。
手鉋をひっくりかえしたような定盤の上に分厚いゴムのローラーが動力回転し、その間を被加工材が送材されていく、というものだ。

つまりは原理的には手鉋と同じような機構をしたところに動力の力を借りて、圧着されつつ押し通されるのであるから、その結果は手鉋と同様、一定の厚みを持った鉋屑が排出されるということになる。

普段ボクらが使う手鉋の刃口は1.8寸(スンパチと呼称する)というのが基本だろうと思うが、うちの“超仕上鉋盤”の場合、250mmほどもある。この種の機械での最大の刃幅がどの程度あるのかは詳しくは知らないが、600mmの幅を持つ“超仕上鉋盤”で削ってもらったこともあるが、それはそれは素晴らしい機械だった。

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鍵取り付けは楽しからずや

鍵1
家具に錠前を施すと言うことは、必ずしも一般的なものではないかも知れないが、机、飾り棚、など、いくつかのカテゴリーにおいては必須のアイテムになる。
そこで悩むのがハードウェアだが、これまではスガツネのラインナップからいくつかのパターンを活用したり、HÄFELEのものを活用したりと、ケーズバイケースで臨んできた。
鍵というのも様々なタイプがあるが、解錠セキュリティーにおいて堅牢なものはシリンダー錠ということになる。
スガツネにもこのシリンダー錠は用意されていると言うものの、彫り込みタイプのものは無い。
彫り込みタイプということは錠前本体と、シリンダー部が分離できると言うことが前提となるので、その分機構的に難しくなるので、あまりやりたがらないのだろう。
しかしそう言った条件でもHÄFELEでは、彫り込みタイプのものがあった。
残念だが、これは過去形。
最近確認したところ、廃番になったのかどうかは不明だがドイツ本国にも在庫はないらしい。
由々しき事態だ。
今回は彫り込みタイプでなければならなかったので「本締まり錠」という名称の
いわゆるアンティークタイプのものにした。
画像はその納まり部分のものだが、いわゆる「鍵座」は既製のものはステンレスであるが、ちょっとイメージにそぐわないので、木で自作した。(黒檀)
このようなものはちょっとした機械と工具があれば簡単にできるが、やはり難しいのは寸法精度。
鍵本体が納まる彫り込みの深さ、特に木部プレート部分はそのサイズはもちろん、トップは面一にならなければダメ。
また鍵穴は鍵本体とはオフセットの位置関係であり、そうしたことも含め少しタイトな加工となる。
しかしこれらは全てテンプレートをあらかじめ制作しておくことで対応することになる。
鍵2なお鍵穴には標準としてステンレス製のプレートが付いていてこの製品品質は悪くは無いもの、しかしこれはあまりにも無粋。
仕方がないから、また木で自作することになる。
今回は黒檀でバチッと作ってみた。
細い部分は約3.5mmの細さだが、これらもテンプレートを作り、3mmストレートルータービットで切削加工する。
こうした加工では神経を使うが、仕上がりを見れば、それだけの報いはあるというもの。

「第6回 暮らしの中の木の椅子展 」入選

数日前だったか、朝日新聞社から「第6回 暮らしの中の木の椅子展」の審査結果が届いた。
応募していた中から1つの椅子が入選、という結果。
実は2点応募していたのだが、そのうちの本命の方は、第1次審査段階で早くも選外となって落胆させられていたのだったが、残る“押さえ”の方が意外にも難関突破、ということになったという次第。
今回入選したのは「ちょこっとハイスツール」と名付けた小椅子だ。(最下段の画像)
“押さえ”と位置づけたのは、昨年春頃だったか、ある女性の客から制作依頼された椅子をもう一つ余分に制作していたものを応募するという少し不埒なものであったし、またハイスツールの小椅子という、椅子という世界の中にあってはマイナーなジャンルのものであれば、あまりまともな評価の対象にはならないのではと腰が引けていたものだったからね。
何が幸いするかは分からないものだね。

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