工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

塗師屋Aさんの習作

升
画像の升、この仕口は何というのだろうか。
捻り天秤?
過日、MacBook Airでの公衆無線LAN接続の記事で触れた、塗装依託の引き上げに出掛けたときの撮影。
そう、塗師屋、Aさんの習作。
ここの市が運営する伝統工芸の伝習のためのワークショップに参加してのものだとのこと。
彼は塗師屋としてはここ静岡という産地でも指折りの優れた職人さんだ。
難しい塗装の仕事はもっぱらこのAさんに託す。
また塗装においての見識に留まらず、家具制作全般にも旺盛な関心を示し、積極的に行動する人でもある。
このワークショップでは、失われようとしている木工技法を伝えるため、元宮大工の棟梁を講師とし、家具制作に従事する職人を対象として研修を行ったようだ。
何故かこの塗師屋も手鋸と鉋を抱え参加したのだという。
その成果がこの画像のもの。
升2習作ではあるが、決めるべきところはビシッと決めているし、なかなかの出来映えだ。
楽しんでやっているというのが彷彿とさせるようなものだね。
塗師屋にしておくのがもったいない‥‥。
おっと失礼。(塗装を甘く見ちゃいけません)
ところで地板の両木口はどうなっているのかって?
これだから、木工の仕口の遊び心はいいよね。
ボクも訓練校に在籍していた頃は、与えられた課題をさっさとかたづけて、こうした高度の仕口にチャレンジしていたのが懐かしく思い出される。
‥‥つまり、今はほとんどやらない、ということになるかな(苦笑)。
今度は習作ではなく、作品を作ってもらいましょう。
聞いていますか、Aさん。

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  • どうやってこれを組み上げるのか、素人は頭が○×△になります。こういう日本古来の技術は、伝承されていってほしいと思いますが、実際の現場では使われていないと言うのが現状でしょうか?

  • Y.Oさん、こんにちは。
    この捻れ○△、ちょっと考えると組めるはずがない組み手ですよね。
    実践的にどうなのかということですが、作品として積極的に活用されている人もいるようですね。

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