工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

12月8日

明日はジョン・レノンの命日。
27年前の12月8日、ニューヨーク、ダコタ・アパートの前庭でマーク・チャップマンから銃弾5発を受け40歳の短い生を閉じた。

Imagine there’s no heaven
It’s easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today….
Imagine there’s no countries
It isn’t hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace…

「砂糖菓子のような」(ジョン・レノン自身の自虐)甘ったるい夢想も、あの頃は説得力もあったのだろうが、今の若いミュージシャンはこのような楽曲は作らない。

今や世界は分断されてしまった。
しかしそうした制約を自覚しながらも、例え夢想と言われてもなお、未来を信じたいと考えるのも人間というものの可能性に賭けたいから。

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BOSCHトリマー、電源コードの憂鬱

以前〈BOSCH ラミネートトリマー「PMR 500」〉については少し詳しい紹介記事を上げ、多くの他のBlogでも取り上げられてきたようだが、そこでも触れた電源コードの過剰なスペック、太さというものがこの寒さで一段と邪魔になってきた。
つまり太さもさることながら、気温低下とともに柔軟性が無くとても硬くなり、取り回しに支障がでてしまうという始末。
当地、静岡は全国でももっとも温暖な地域の1つだが、冷寒地ではどうなっちゃうのだろうか。
‥‥ということで冬突入の今、重い腰を上げて取り替えることにした。
ただ、取り替えるとは言っても新たに最適な電源ケーブルを求めたワケではなく、たまたま何かの電器製品から取り外したものがあったので、それと取り替えただけ。(__;)
そんなワケで柔軟性に欠けるという品質の改善にはならなかったが、太さにおいて大きく改善されたので、使い回しはかなり良くなった。
トリマーコード取り替えはヘッド部分を2本のタッピングネジで外し、内部へのアプローチを試みる。
当然にも込み入った配線だが、接栓部分は極小の+ネジであるので、意外と楽に交換できた。
ただコード側の端末処理は半田で固めるなどの配慮は必要となる。
元は〔VCTF 0.75〕というもので直径約9mmであったが、取り替えた方は〔HVDTF 0.75〕で、太さは6.5mm。直径においてわずかに2.5mmの減ではあるが、断面積にすれば半減した。
(画像右下は、それぞれ新旧の電源コード)
数値でお分かりのように銅線そのものの仕様は全く同じ。被覆のVCTという素材の厚みが異なるということだね。
BOSCH設計としては、物理的堅牢性における基準を過度に高くしたことからの選択であったようだが、他のメーカーではそれほどのものはない。
まるで3相2馬力ほどの動力機械への電源ケーブルの如しだからね。
固定して使われるものであればそうしたスペックのものでも結構だが、手持ちで様々な使用環境で使われるトリマーではBOSCH設計基準への疑念を挟まざるを得ないだろう。
百歩譲ってそれほどの太さのものでなければ許容できない、ということであればもっと柔軟性に富む被覆素材の選択を考えるべきではないか。

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アリバイ証明

組み立て
仕事もしています。
一昨日は(慈)雨に見舞われたものの、今朝は澄み切った青空が拡がり、一段と寒さが強まった。
当地では初氷、初霜の報もあったらしい。
寒さはこたえるけれども木工作業にはすこぶる付きで快適な環境と言えるだろう。
そんなわけで今日はキャビネットの帆立を組むなど、乾燥した時期でしかできないことを一気に進める。
今日のタイトルは、あるお客様へのもの。
あまり仕事が進んでいないのではとの懸念を払拭いただくためのもの。
ご覧のように、ちゃんと進めています。ご安心を。
今は3つほどの種類を同時並行的に進めている。
個人の客層を対象とした制作活動となれば、どうしても1本ものが中心とならざるを得ず、そうした状況下、可能な限りにコストを押さえるために複数の制作活動を同時的に進める。
例え制作する種類が違ったとしても、キャビネットなどでは共通する部分は多いもの。そうした考え方の下であれば複数の加工を同時並行的にスムースに進めることは可能となる。
(機会があれば記事にしたいと思うが、多様な仕口を駆使しながらも、それぞれの仕様においてはごちゃ混ぜにせず、一貫した思考で設計することで作業性は高まり、加工プロセスでのミスも減らすことができる)
ところでボクが起業したのは1988年だが、この頃は所謂バブル経済へ向けて経済界は過剰なまでの熱気があり、それから数年はめちゃくちゃな忙しさだった。
こうした環境では同時並行的に進めるための業務管理、スキルというものが嫌が応にも培われた。
六本木のある高級レストランバーの仕事の時はキャビネットだけでも7種類。
テーブルなどを合わせれば11種類ほど。
しかもその中の1つ、バックカウンターなどは3間ほどの長さのもので、デコラティヴなデザインで、中央にはTV収納部分があり、アキュライドのフリッパードアで納めると言った、まさにバブリーで過剰なものだった。
依頼主もこの時ばかりは3名ほどの助っ人を送り込んでくれ、夜を徹しての仕事が続いたのだった。
まさにこの時期は経済原論で言うところのいわば“原始的蓄積”のような過程であったかもしれない。これは単に経済的基盤を作る時期であったことだけではなく、職能というものを形成させてくれたという意味でも、である。
懐古的に語るつもりは毛頭無いが、しかし、現在の技能であれ、仕事の進め方であれ、そうした過剰なまでの仕事量の中から培われたものであることは否定できない。
職人は様々な良質な仕事を、ボリュームにおいてもこなす中からしか、練達な職能を獲得することはできないということは1つの真理であろう。
がんばれ ! 若い職人。
未来を獲得するために、とにかく、良い仕事で、数をこなすこと。

「出羽桜」と小川幸彦の出会い

出羽桜
日本酒も新酒が出回る時期になってきた。

週末、多くの地方の銘酒を取り扱っている酒店から「出羽桜 純米吟醸 “雄町”」を買い求める。
昨年は同じ酒蔵から〈出羽桜 燦々 誕生記念(本生)純米吟醸〉などを楽しませていただいたが、今年の冬も暫くはここの銘酒と付き合っていこうと考えている。

まったく事前のリサーチをしたわけではなく、たまたま手に入れた酒だったが、その芳醇な香りと濃厚な味には酔いしれてしまった。
日本酒の豊かさを再認識させられるとともに、己の無知を恥じたものだった。

まだまだ日本にはこうした知らなかった銘酒があるということは、これからの人生にも希望がもているということに繋がるものとして感謝を捧げよう。

今回の“雄町”は、昨年入手できずにいた入手困難な“限定版”もので、予約していたものではなかったが、今回願いが届いたのか手に入れることになった。
うれしいね。
この “雄町”という名称は、酒米からという。山田錦もこの酒米の流れだという。

ボクは日本酒は燗を付けずに冷酒で頂くことを旨としている。
燗を付けた方が良いものも多いのだそうだが、呼吸器疾患もあるのでちょっと苦手だ。冷酒で本来の芳醇な香りを楽しみたいからね。
つまみはたいしたものは作らない。いえ作れない。

今日は豚三枚肉を大根とともに味噌煮にしたもの。
昨日、近くの農家に所用で訪ねたところ、帰り際に隣の畑から大きな大根を2本抜いて持たせてくれたものだ。
簡単だよ。

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慈雨よ慈雨 山にふり 麦にふれ  中勘助

冷たい雨でした。
先月11月は例年の1/3ほどの降雨量しかなかった。久々の雨、慈雨だね。
木を相手の仕事もちょいとお休み。
というワケでBeatlesの「Rain」をどうぞ。

少し早いけど、John Lennonでこんなのはどうだろうか。

War is over, if you want it

今夜、技能五輪2007・沼津の関連TV番組

一昨日エントリした「WorldSkills Shizuoka 2007」の4日間の競技のドキュメントを中心として、日本の製造現場における技能者育成の現状を追う番組があります。
NHKサイトでは、「精密機械組立」(具体的にはセイコーエプソン)部門を中心としたドキュメントになっているようですので、木工関連の2つの部門が対象になっている可能性は少ないですが、製造業における近年の技能者育成における困難は各産業共通の悩みであるでしょう。
参考までにご案内します。
■「若き技能エリートたちの戦い 〜巧みを競うオリンピック〜」
 ・07/12/03(本日)22:00〜22:49
 ・NHK総合TV「NHKスペシャル」

木工家具制作におけるサンディング (その9)

サンディングバナー
手作業でのサンディングということについて
これまで木工家具制作におけるサンディングについて、その基本的な考え方からはじまり、具体的手法として機械によるサンディング、電動工具によるサンディングと解説してきたが、最後に手作業でのサンディングについて記述しなければならない。
手作業でのサンディングというものは恐らくは木工家具制作のプロセスでは誰しも経験し、それぞれが編み出した手法、考え方というものがあるだろうし、それらは一様ではないだろうと思う。
したがってここではうちでやっている手作業でのサンディングについてという限定的なものになるかもしれないが、しかしその考え方についての記述はこれまで同様、普遍的で応用の効くものとして記述することを心掛けたい。
【手作業でのサンディングについての考え方について】
これはこれまで8回にわたり記述してきた中で一貫して書いてきたことと大きく変わるものではないので繰り返しになってしまうが、少しインターバルが空いてしまったこともあるのでここであらためて再度確認しておこう。
サンディングという工程は、塗装工程のプレ段階のものとして位置づけられ、一般に素地調整といわれるものであり、その目的は鉋などでの切削工程で出し切れなかった均質な板面を求めるものであったり、あるいは加工工程で凹ませた部位を元に戻す、加工工程で荒れてしまった板面を整える目的であったりする。
この素地調整といわれる工程で求められる品質というものは板面の多様な繊維細胞の配列に引きずられることなく、均質に仕上げることが基本となる。
これによってその後の塗装工程により木質の固有の表情というものを見事に引き出すことに繋がっていく。
これが不十分であると、その木が有する本来の表情は引き出されることなく、沈んでしまったり、ムラになって汚いものになってしまう。
(なお、あらかじめ付しておかねばならないが、こうした考え方の記述は、あくまでも高品質、良質な木工家具の制作というものを前提としたものであり、そうした水準以下のいわば日曜大工的なものを対象とした場合は、あまり参考にはならないことは言うまでもない。
つまり素地調整において板面の均質を求めると言っても、高度な指物工芸において求められる水準と、日曜大工的なものとでは全く次元の異なったものになることを指していることは言うまでもない)

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技能五輪から教えられたFESTO(Festool)社の企業理念

Festoolイメージ
旧聞に属する話しになって恐縮しちゃうのだが、先月沼津で「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」(「WorldSkills Shizuoka 2007」)というものが開かれた。
実はこれに先立つ2月ほど前に松本技術専門校の在校時に世話になった現上松技専校長のAさんから、ある木工機械を貸してくれないかという電話が入ったのだったが、この技能五輪で使わせてもらいたいという依頼だった。
残念ながらボクのところからは出せないので、然るべく地元の機械屋から斡旋してもらうように話しを繋いだのだった。
そんなこともあり、県内での開催ということで訪ねてみたいという希望があったもののこの技能五輪の開催時にはいろいろと所用も重なり、出掛けることもできずにいた。
そうしたところ、Webサイトで相互Linkしている宮本さんのサイトでこの技能五輪の会場の紹介と報告が上がり、興味深く拝見させていただいた。
そこで触れられていたFesto社の製品に関わり、先のストックホルムのIkuruさんのBlogで語られていた職人試験合格者へのFestool社からの奨学金支給という記事を思いだし、あらためてこの技能五輪の公式サイトを訪ねてみることにした。

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ルーター整備は続く

先のルーターマシーンのダンピング用ワイヤーの取り替え作業も終わりその後快調に使用していたのだったが、少し調子を崩した。
ゼロアジャストがどうも不安定。
ルーターマシーンの機種の中で最も普及しているテーブル昇降の機構を持つタイプは、テーブルを設定値の最上部まで上げ、テーブル昇降操作のペダルを固定位置にすると同時にほんのわずかではあるが(0.5mmほど?)下がってしまう。
これは例えばお盆のような底をさらうような加工の場合、回転刃を降ろした箇所(テーブルを上げて刃が当たった箇所)にその刃径のマークが残ってしまうということになる。
しかし、主軸を最底部まで降ろしたとき、戻ることなくそのままの位置を確保してくれ、刃のマークなど残らないというのがこのヘッド昇降タイプの優れた機構だ。
このヘッド昇降機構、木工機械の教科書などによればテーブル昇降機構のマークが残ってしまう問題を改善させるために開発されたとあるが、その真偽のほどは不明。
ルーター修理1この優れた機構がどうも不正常、ビミョウに主軸が戻ってしまう。。
いろいろとワイヤー長さの調整を軸に試みるも芳しくない。
結局ダンピングワイヤー操作のフットペダル機構にちょっとした細工を施すことで解決を試みた。
踏みしめたところにストッパーを付けることにした。
踏み代が、規定のワイヤー伸縮範囲にそぐわないのだろう。
具体的にはペダルのベース部分にWナットで8mmのボルトを植え込む。
ベースの然るべき箇所にタップを切り、8mmボルトを切り、植え込む。
ベースはタップを切り、ボルトを植え込むにはやや薄い鋳鉄だったが、何とかWナットのボルトを支えるだけの強度はあるようで安心した。

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ちょっとステキな花屋さん

花屋「BELL FLOWER」
地元の花屋さんをちょっと紹介。
昨日病気見舞いに持って行く花をアレンジしてくれた花屋さん。
「BELL FLOWER」という。
実は別の園芸店で、近くに生花店は無いかと尋ね、教えていただいたはじめての花屋だった。
島田市役所の近くの広い道路沿いにあるものの、ちょっと遠慮気味に構えた佇まい。
「花」と一文字の墨痕ののれんがセンスの良さを感じさせる。間口一間半ほどのこぢんまりしたお店。
ボクはこのような控えめの店構えの方が、好み。
店構えの仰々しさに圧倒されるよりも、実質的で高品質なものを提供してくれる職人肌の店主の方に足は向く。
この「BELL FLOWER」、花言葉では《感謝・誠実》と検索されるが、店主がどれだけ店名に思い入れを込めたかは知らねども、まさにそのような印象を与えてくれたものだった。
ご夫婦と思しき2人の店主。
ちょっと格好良い中年男性と、しっかりものの奥さまという感じ。
今回はオンシジウムをメインに、病室を明るくしてくれるようなアレンジで設えてくれた。
整えてくれているところで店構えのことなどを話しかけたら、こちらを建築関係の人かと問われるので、素性を明らかにしたら途端に話しが弾んだ。
そこで車に戻りカメラを取りい出し、許諾を得てスナップ撮影。
アレンジのデザインセンスも水準以上だろうし、花言葉のように誠実そのものの店主だった。
お近くの方であればどうぞ訪ねてみて欲しい。
店主と生花アレンジ(クリック拡大)
■ BELL FLOWER (ベル フラワー)
 島田市大津通り8593-9
 TEL/FAX:0547-36-5981
 Mail:bell-87@ck.tnc.ne.jp