工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

iBook絶不調とバックアップ

次期 Mac OS X Leopardのリリースは当初今月の予定であったようだが、iPhone発売を直後に控えたApple社の陣営の調整のためか、秋に繰り延べされてしまったようだ。
それとともに気になるのが、ノートブック(MacBook、MacBook Pro)の更新がいつになるのか、ということ。
ご存じの方も多いと思うがApple社では次世代ノートブックプラットフォームへのNANDフラッシュメモリ組込の計画があるとの確度の高い噂が囁かれているらしい。
当然にもこれにはNANDフラッシュメモリのメーカーとの協調はもちろんのこと、Intel社との緊密な共同開発作業が伴うであろうし、あるいはまたWin陣営との先陣争いも熾烈化しているであろうことは想像に難くない。
さて、本年は無理としても、来年あたりには‥‥。
などと想像をたくましくしているのは1つの個人的事情が覆い被さってきたことによる。
サブのコンピューター「iBook」が絶不調に陥ってしまっているからだ。
先ほど、購入店舗経由で修理に出掛けてしまった(などという擬人的な表現は間違い)。
ここ数日の問題ではなく、数年前からの症状であったのだが、液晶モニターのバックライトが液晶パネルのちょっとしたショック(角度を変えるなどの)で消えてしまう。
最初はその原因が良く分からなかったのだが、モニターを凝視すればかすかにデスクトップのアイコンが視認できる状態。
これは明らかに液晶モニターの本体部分に接合されているヒンジ部分を介している配線の接触不良によるものであろうとの素人判断。
でもこれはネットで調べてみても、頻度の少なくないノートブック固有の脆弱なところなのだ。
それまでは強制再起動するなどして対処してきたものの、ここ数週間にいたっては起動中、起動プロセスの終了前にいきなりスリープするなどの症状悪化を辿る事となり、限界状況を呈する始末。
またこのiBookは購入時5年間の店舗保証制度に加入していたのだが、5月末に4年目の期限が迫っていたということなども重なり、この期限前での判断を迫られていたということもあった。
購入後4年目では修理費用30%の保証が受けられる。
メーカー保証は1年が限度であるが、この店舗保証5年、その償却に合わせて保証が付くのはありがたい。
以前 PowerBook の落下事故においてはかなりの高額な修理費用が請求されたものの、2年目ということもあったが満額店舗保証で賄われた。(現在では落下事故は保証しない店舗が多いと思われる)
最近ではIT機器のそのほとんどはネットでの購入がキホンとなってきているが、やはり高価なコンピューター本体は、こうした保証が付くリアルなショップでの購入というのが良いのかも知れない。(Macなど、基本的にはリアルショップであろうとネットショッピングであろうと本体価格の差異は無い、ということもあるよね)
実はこの iBook のトラブルは上述したようにかなり以前から起きていたのであったが、Apple社のノートブックラインナップが大きく更新されるとき(NANDフラッシュメモリ組込、などの)を待って新規購入しようと考えていたものの、残念ながら間に合わなかった、という訳だ。
NANDフラッシュメモリ搭載のノートブックリリースまでは、ビンボウ木工家としては何とか現有の iBook を使っていかねばならない。
さてもう1つ、今日の iBook 危機に関連して、判ったこと。
.Macは3年ほど前から加入しているが、今日のiBook危機に伴うデータバックアップに際し、Apple社のバックアップのアプリケーション「Backup」を使ったが、こうしたアプリがあることなど、今日まで知らなかった。
これまではバックアップと言えば、外部HDDへ毎週末にデータコピーするという考え方で、手動で行ってきたのであるが、この「Backup」というアプリはとても使い勝手が良い。
バックアップスケジュールのコントロール、バックアップファイルの管理、など至れり尽くせりのものだ。
.Macは iDiskにほんの小さな容量のデータバックアップ、提供されるメルアド、Safari、ブックマークのシンクなどに使用してきただけであったが、こんな便利な純正アプリがあることは知らずにいた。
iBook危機からもたらされた、もうけもの、という訳だね。
iBookの入院には3-4Week掛かると言われてしまったが、しばらくはデスクトップコンピューターのご機嫌を損なわぬよう、やんわりと使っていかねばならない。
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「ソファ」でのWebサイト更新

ソファBlogの更新もままならないのであるが、一方のWebサイトの方はほったらかし。
当然にもアクセス数など伸びる訳がない。
しかし作品を広く紹介し、批判を仰ぐにはこれほど優れたツールは無いだろうからもっと大切に扱ってやらないといけないな(と、しおらしく反省してみる)。
久々に[Gallery]ページに新たな作品が掲載された。
過日このBlogでも触れたソファについてである。
ベンチの製作は経験も豊富であるが、ソファに関してはほとんど無に等しかった。
縁あって本格的なソファの製作のチャンスを与えられたが、納得のいく完成を見て、うれしく思う。
一般にソファと言えば張りぐるみのものが主流と考えられるが、これには骨組みのその多くの部分には合板が使われる。内部は隠れてしまうから見栄えなど関係がない。
うちのような木工房ではそうした張りぐるみのものではなく、主要な骨組みはもちろんのこと、細部に至るまで良質な樹木を使い、そこにクッションを載せることで快適な掛け心地を確保するという考え方の下、木部でのデザインに心配ると言うことになる。
今後も可能な限り数多くチャレンジしてきたいジャンルのものであるが、あくまでも木部をデザインの主要な表現対象としたものとして考えていきたい。
ソファにはその求められる機能、掛け心地の快適さを徹底して追求されねばならないが、これには張りの専門業者とのコンビネーションがとても重要。
今回も近隣の地域でキャリアを積んだ張り屋さんに無理を聞いてもらったのであるが、彼らの経験と識見、技能と研究心を引きだし、共に良いものを造り上げるという関係性の構築がとても重要なことをあらためて知らされた。
以下はWebサイトの[Gallery]で記した作品へのコメント

頭の高さまでしっかりとサポートする3人掛けのソファ。
木部は隠れた部分も含め、全てブラックウォールナットという贅沢な逸品。
アート&クラフトのデザイン様式に踏まえ、より重厚で動きのある意匠とした。
主要な接合部には組み手、抜きほぞ、などを用い、接合強度を図ると共に、視覚的に顕すことでデザインとしても効果を与えた。
クッションは座底部にはテンションベルトを張ることで弾性を強化し、クッション内部には様々な硬度の良質なウレタンフォームを4層に重ね合わせ、良質な弾性を作り込んだ。

工房 悠サイト
■ 更新対象ページ 「ソファ 悠 3p」
■ Blog関連記事ソファ木部

明日は満月を祝って‥‥。

明日は満月15夜、また当地では1番茶の摘み取りも終わりつあるが、八十八夜というのが明日。
昨今、スーパーの野菜コーナーなどからは季節の移ろいというものを感じるのが難しくなってきているかも知れないが、どうしてまだまだ太陽と月がもたらす我らが地球への波動は変わることなく日々刻々届けられてきていることに変わりはない。
ちょっと今年の初鰹は漁獲高が伸びないようで価格も高止まりのようだが、女房を質草にしても食べたくなると言うのが江戸っこならず庶民のささやかな願いではある(オッと、イレギュラーな発言だ)。
ボクは1本もののカツオをさばくことは難なくやってしまうが、以前、友人の誘いでバーベキューパーティーに出掛けた折にも、大きなカツオをぶら下げ、出刃包丁を忍ばせていそいそと出掛けたものだ。
そこは10人を越える中年男女が集う田舎の一軒家だったが、その台所を借り、ツマを作り、薬味を刻み、最後にカツオを捌き、そして石油缶をコンロに仕立て、藁を燃やして、半身はタタキにして皆に振る舞った。
ワインからはじまり、持ち寄った様々な食材を調理したものに囲まれ、メインがカツオ。最後は新茶を野点でいただくという、とても贅沢なパーティー。
今年の5月は仕事などに忙殺されカツオパーティーの楽しみは封印したままだ。
世の中連休だからという事でもないがちょっと脱力なエントリ。
まだ春めく前の頃に調理し、撮影したもの3題。
きびなご
カキ

【キビナゴ】
透明な魚体に帯状の銀が美しい。
指で捌くか、ペティーナイフで捌くか、あなたの器用さによる。
薬味はワサビでも、酢味噌でも良いだろう。
【カキのパスタ】
ニンニクの香りを移したオイルの中でコロコロと転がしながらレアに焼き、トマトソースで軽く煮込む。(加熱しすぎは厳禁、仕上げの頃にミディアムレアほどに)
カキはもちろん「加熱用」のものに限る(生食用はまずい)
ボクは昨年まではこうしたカキのパスタなど作ったことがなかったが、なかなかいけます。お奨め。もう今季は無理だが、次の冬にはぜひお試しを。
【アイナメと緑黄色野菜のオリーブ炒め】
アイナメは塩コショウした後、軽く粉を振りオイル、バターで焼く。茹でておいた野菜、蒸したアサリなどとフライパンに移したニンニクの香り付きオイルの中で和える。
最後にバターでコクと香りを付ければなお良いだろう。
アイナメへの下味と、緑黄色野菜の彩り(塩加減)がキメテ
ホワイトソースでも良いかも知れない。
魚は白身であれば他のものでも良いだろう(カサゴなどが入手できれば最高だね)
オイルへのニンニク香り移しというのは、冷めた状態のフライパンにオリーブオイルを注ぎ入れ、スライスしたニンニクを入れてから、火に掛けること(弱火)。じっくりとフライにする感じ。
キツネ色になったら取り出す。(黒く焦がすと苦みが出る)
取り出したニンニクはペーパーに取り冷ますと、堅さが出て、手でしごけばサラダ、パスタなどに振り込むことでおいしさが増す。
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若さとウォールナット食卓

ウォールナット食卓
そこは小松亮太の「リベルタンゴ」が流れていた。
marantzのアンプで駆動されるOrtofonの小型スピーカーから流れ出る音は小音量に絞られたものであったが伸びやかに日曜日の朝の空気を揺らしていた。
首都郊外に立地する若いお二人の新居への食卓納品はゴールデンウィークの初日ということもあり混雑渋滞を避け早朝出となったものの、意外に首都へと向かう車列はスムースに流れ、予定時刻を少し残して到着した。
部屋への搬入は玄関からのアプローチの余裕の無さで断念し、リビングダイニングの大きな窓から行うことで難なく済ますことができた。
良質なブラックウォールナットを用いた2m近い大きさの食卓テーブル。
デザインは、実は納入先の若い建築設計技師Kさん。
詳細な仕口などの設計はボクにお任せだったので、いわば共作ということかな。
いろいろとこだわりある方なので、やりずらさがあった反面、やり応えもその分あったとも言える。
そのこだわりは、既に使われていた椅子にも十分すぎるぐらい表れている。
ご覧の通り、J・ナカシマのコノイドチェアだ。(隣のくるみの小椅子はデスク用としてお買い上げ頂いたボクの作)
ウォールナットのミニマルなテーブルには、何故かコノイドチェアが似合う。
テーブルが良く見えるのも、コノイドチェアがあればこそ?
お若い2人なので今後何度も住まいを替えることになるだろう。
そうしたことを前提として、天板、板脚2枚、貫、いずれも「送り寄せ蟻」(吸い付き桟)という手法での緊結であるので、簡単に解体でき、コンパクトに梱包可能な設計とした。
またこれは経年変化(木の痩せ)への対応策としても生きてくることだろう。
彼ら2人にとってはお宝のように受け止めていただいたテーブルだから、2人の人生の歩みと共に大切に伴走していってくれることだろうと思う。
様々な客層にあって、こうした若い人からの受注というものは夢と希望を繋げるものということで、とても楽しい仕事であったし、事実搬入して設置した時のお二人の笑顔は制作時の苦労を忘れさせるに十分な力があった。
設置を終えて帰路に就こうとして「ランチの用意ができるので、ご一緒に」、というお誘いの言葉。断る理由も無いのでお二人よる手料理に舌鼓を打ち、暫し歓談の後、やや混雑した東名高速道を西へと戻る。
ピアソラ本人の演奏もさることながら、小松亮太の演奏にはエネルギッシュな若さとバンドネオン演奏に特有の弾むようなリズムの刻みが良かった。
ウォールナットのテーブルもまたお二人と同じように仕上がったばかりの若さだが、樹齢は十分にあるので枯れた演奏を奏でてくれることを信じたい。
*関連記事
送り寄せ蟻
ウォールナット天板と鉋まくら
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「チョコレート」は如何ですか(21_21DESIGN SIGHT)

先に《日本のデザイン ━「21_21 DESIGN SIGHT」の目指すもの》という記事を上げたことがあったが、この施設「21_21 DESIGN SIGHT」の第1回企画展として〈深澤直人ディレクション「チョコレート」〉が明日から開催されるようだ。
ケイタイ「チョコレートを題材に、深澤直人氏と約30組のクリエーターによる作品が約70点出品される」とのこと。
ミルクチョコレートのような甘いイベントになるのか、ボクが好きなカカオ分90%のビターな内容になるかは知りませんが、ぜひ観てみたいですね。
因みに深澤さんとは、例えばボクのこれ→
をデザインした人。
「ecite.ism」というサイトで「三宅一生×深澤直人×佐藤 卓、安藤忠雄インタビュー」を掲載していたので、ここからインタビュー動画を配信させていただくことにした。
ディレクター 三宅一生、佐藤 卓、深澤直人インタビュー(7’18″)

安藤忠雄、21_21 DESIGN SIGHTについて語る(2’56″)

ボクたちの木工はどちらかと言えばデザイン動向とは一線を画した、“独自のもの作り”の生業として位置づけしまう傾向があるかもしれない。
それ自体の当否はさておいて、時代の先端というものを視野においておくのは悪いことではないだろう。
個人的にもこのプロジェクトの主宰者とも言える三宅一生氏には信頼に足る十分な業績と人物としての魅力があると感じてもいる。

ウォールナット天板と鉋まくら

ウォールナット削り
食卓テーブル天板の鉋掛けをしているの図であるが、どこか嘘っぽい。
こんなに鉋屑があったら邪魔くさいはず。撮影バージョンということでお許しを。
嘘っぽい2つめは、このような鉋屑は鉋掛けの初期段階のものであり、本当の仕上げ段階では、このような刃口一杯の幅で長々しい屑は出ない。
いやそのような鉋屑が出るようでは、まだ仕上げにはなっていないはず。
でも本当にフィニッシュ ! と考えても良いレベルはどうやって確認するのか。
・まずスケールなどを当てて平滑性を確認する。
・目視で逆目が残っていないか確認する(シャープに木理が表れるまで)。
・指蝕で鉋まくらが残っていないか確認する。
などだろう。
でもこれでも十分な確認が取れたとは言えない、かも知れない。
チョークがあれば、鉋が掛かった部分に横に寝かせてそーっとなでてみよう。
濃くチョーク痕が残る、あるいは微妙に引っかかる、といったところは、まだ鉋まくらが残ってるという証左。
この方法は昔、親方から教わったこと。チョークライン
「親方 !、天板、仕上がったぜ。見てくれ」弟子の誇らしげな物言いに、ただ黙ってチョークを持ってきて、仕上がった天板をなで回す。
そこらじゅう、ラインが残っているではないか。
親方、にこやかに弟子を一瞥。「へへへ、まだ足りなかったかな… 」照れ笑いで誤魔化す弟子。
ボクの親方が修行中の頃の話だ。
(画像のチョーク痕がそれ。横ずりなどで接ぎ合わせ部分の目違いを払った後に付けたもの)
この後は、もう一度調子の良い(台がしっかりしている、刃口が狭い、刃口と、刃先の関係性がバランスが取れている、などの条件で)鉋の刃をゆっくりと研ぎ上げ、ふわふわぁ〜とした薄い鉋屑が出る程度に調整し、鉋枕の残った辺りを意識の中心に置きじっくりと全体をかけ直すことで完璧な仕上がりになるだろう。
さて、この天板、ウォールナット2枚矧ぎで、ほぼ2mのもの。
先に書いたように、突き板屋から購入したものだが、無節で、とても素直な木目のものだった。
ちょっと「これもしかして突き板を張った合板?」と勘違いされかねないほどの綺麗な天板になった。
原木製材したものの比較的良質なところを、隣り合わせでいわゆるブックマッチに矧いだもの。
少し面白みに欠ける素直すぎる板目ではあるが、ウォールナット本来の品格を醸してくれたように思う。
こういう素直な板は鉋掛けも比較的ラクチン。さらさらと良い鉋屑が排出される。
裏表、2台の鉋で、それぞれ1度研ぎ直すだけで仕上がった。
ウォールナットの気乾比重は広葉樹の中ではやや重たいぐらいの0.62。
しかし木理はとても緻密で靱性は群を抜いて高い。
手鉋で削り上がった板面を指先で撫でれば、塗装しているわけでもないのにすべすべとして、世界の銘木たる品格を感じさせてくれる。
現在、別項でサンディングについて記述を進めているが、やはり素地調整というものの前段階での鉋掛けはとても重要。
如何にサンディングが上手であっても、鉋掛けが不十分であれば、その分、サンディングに過度に依存しなければばならず、これはあまり良い結果をもたらさないだろう。
板脚のデザインなのだが、この脚部も2寸板を用いたが同じ原木からのものなので、作品トータルとして、良い仕上がりになったと思う。

木工家具制作におけるサンディング (その8)

サンディングバナー
ハンディータイプの研磨機(電動工具のサンダー)
既に記述してきたところだが、うちではサンディングシステムのその多くを機械式のものによっているために、ポータブル電動工具のサンダーはあくまで補助的なものと考えている。
したがって機械式のものを設備していない方にはその辺りのところを斟酌して読み替えていただければ幸い。
そうは言っても如何に補助的なものであるとはいえ、良い機構、高精度な研削結果が得られる道具を使いたいということはポータブルサンダーをメイン使用にしている方々と変わるものではない。
さてこの分野でもいくつかのタイプのものがある。以下にリストしてみよう。
・回転運動式ディスクサンダー
・回軌道運動式サンダー(いわゆるオービタルサンダー)
・往復直線運動式サンダー
・直線運動式ポータブルベルトサンダー
区分けについては他にもリストの仕方があるだろうが、概ねこのような分別になると考えて差し支えないだろう。
なお、塗装工程における塗膜研磨ではポリッシャーなどが用いられるが、ここでは詳しく触れない。この塗膜研磨では回転運動方式のものが用いられていると考えて良いだろう。
さてまずこれまでも記述してきたことだが、あらためて簡単に木材加工プロセスにおける研削加工に要求されるポイントを上げるならば、
木材繊維細胞が板面に表す木理を如何に引きだすのか、ということに尽きるわけであるが、この要求はポータブル電動工具サンダーにおいても変わるものではない。
また最近ののエントリで触れたポータブル電動工具サンダーによるテーブル天板仕上げでの問題はサンディングというものの考え方の落とし穴とサンドペーパー番手の選択の重要性ということであったが、機械式のものであってもそうした陥穽への自覚的な対処が求められるということでは同様だ。
しかし電動工具においては、機械式と較べパワーが無いことにより、あるいは研削精度の規制が困難(平滑基準、あるいは直角精度などが手動であることで崩れやすい)、さらには細胞繊維方向でのサンディングが困難であるため、機械式のものが作り出す研削結果と同水準のものを生み出すにはより熟練した技が必要だと言うことになる。
したがって木工房のサンディングシステムの環境の違いにもよるが、このポータブル電動工具サンダーというものはあくまでも機械式では掛けにくい部位への補助的な手段として用いられるべきものと考えたい。
さてそれぞれについて特徴を見ていこう。

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晴れ時々バタフライ

ウォールナットのテーブル製作も大詰め。
天板の寸法について、木取り過程で悩まされる。
顧客要望のサイズに微妙に問題が生じた。
引っ越ししたばかりでネット接続環境が整備されていない状況下での情報のやり取り。
どうしたかと言えば、天板画像(.jpg)をセブンイレブンのネットプリントへとデータを送り込み、これを顧客居住地、最寄りの店舗の端末(いわゆるコピー機)で受信、印刷するというサービスを使い、受け取ってもらう。
電話だけでは微妙なニュアンスが伝わらないものでも、画像データがあれば、例え遠方ではあっても納得するまでキャッチボールが可能だ。
問題は木口割れが想定より深く、これを完全に取り除くと10cmも短縮せざるを得ないというもの。
この天板に木取った板は7年ほど前に近隣の突き板屋から売り込みがあり購入した物だ。突き板屋が求める原木であるからして当然にも優良品である。
ややチルトしてはいたが、突き板にしたいと考えただけあって、素直で美しい木目であったし、ほとんど瑕疵の無いすばらしい板が獲れた。

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「日本の森 再生のチャンスを生かせるか」(NHK番組案内)

今晩 NHK「クローズアップ現代」でタイトルの放映があるようです。
「木の情報発信基地」さんメルマガからの情報です。
以下、番組概要です。

日本の森 再生のチャンスを生かせるか
長年、外材に圧され低迷してきた国産の木材が、今、注目されている。
世界的な木材需要の拡大によって外材が高騰し、相対的に安くなった国産材の需要が高まったためだ。ところが、こうした日本の国産材産業再生の好機を逃しかねない課題も多い。
伐採後、植林されずに放棄されたまま山が荒廃するケースが多発している。さらに、コスト削減のための伐採法が行われた山では、土砂崩れも起きている。また、国産材の多くは、乾燥せずに流通する仕組みが定着していたため、現代的な住宅工法では扱いにくいという問題も抱える。
こうした中、山を荒らさない伐採法を工夫し、植林によって山を持続的に守ろうという取り組みも始まっている。国産材産業の再生を模索する産地を取材し、日本の森の未来を考える。(NO.2399)
     スタジオゲスト: 遠藤日雄さん(鹿児島大学教授)

      一部読みやすいように改行しています。
■ NHK総合 pm7:30〜7:56
  NHK BS2 pm8:32〜8:58
■ 出演者 国谷裕子, 遠藤日雄(鹿児島大学教授) 【ナレーター】石原良

送り寄せ蟻

現在テーブルの製作加工途上にあり。
ウォールナット2枚矧ぎで2m近いビックなテーブルだが、サイズの大きさもありノックダウンの構造として設計した。
今日はこの板脚部分と貫の接合部分の加工。
この部位をノックダウンにするためには様々な手法があるが、依頼者は大手ディベロッパーの建築設計技師で、家具には一方ならずこだわりがあり、貫は板脚の外には出して欲しくないとの要望。
もうこれは送り寄せ蟻にするっきゃ無い。
さほど多用する仕口ではないが、決して難易度の高い加工ではない。
簡単にそのプロセスを‥‥。
(1)テンプレートの作成
(2)ハンドルーターでの蟻溝切削加工
(3)ハンドルーターで取り残した隅をノミで欠き取る
(4)貫の蟻ほぞ加工
  以上。
それぞれポイントを記そう
テンプレート(1)テンプレートは6mm合板を用いる。
蟻形状はノックダウンを目的とするのでやや強めのテーパーとする(今回は3°)
寸法精度、角度精度が要求されるので、正確に作成(うちでは100%ルーターマシーンで作成)
ハンドルーターでの蟻溝切削はストレート刃のものと、蟻ビットの2種類を使うが、テンプレートは1つだけで併用する。
ここではそれぞれの刃径とテンプレートガイド径の差異を計算し2種類の切削加工に適合させることが肝要。
ストレート刃でボックス部分を100%切削し終え、蟻部分では1〜2mmほど切削代を残しておく。
ルーター作業(2)ハンドルーターでの蟻溝切削は2台で or 3台で?
ハンドルーター加工では切削で残ってしまう隅R部分を少なくするため、あまり大きなビットは使いたくない。
あるいは2台のルーター(蟻ビット含め3台)で大小2本のビットを装填してやるのは良いだろう。
蟻切削ビットにはあまり負荷を掛けたくないので、ぎりぎりまでストレートビットでプレカットしておくことも重要だね。
ノミ(3)ノミでの隅さらい。
適切に隅を取り除こう。
こんなノミがあるのは海外通販のカタログを見たことのある人なら知っているだろう。90°の角を一度でカットしちゃおうというものだね。

ノミ
蟻雌雄(4)貫の蟻ほぞ加工
ボクは全て昇降盤で切削加工する。

  • 左右勝手のテーパー治具を作っておく
  • 胴付きを横挽きで入れる(ボックス部分に来るところも取り去っておく。
  • 胴付きの深さは、所定の寸法より幾分浅く止めておく。
  • 昇降盤の鋸を蟻の傾斜角に合わせる。
  • まず片側をほぼ所定のところまで切削しておく(テーパーなので両側同時には進められない)
  • 残る方は、板脚メス型にフィッティングを確認しながら切削する。
以上。

この貫のサイズは 56×90mmだが、上下の胴付き部分を除いて、実質蟻部分のボリュームは長さ20mm、幅45mm、高さ40mmにしかならないが、全く揺るぎの無い強い締め付け力を確保した。
またこの高精度の加工を助けたのはウォールナットそのものが有する靱性の高さだ。この樹種にあらためて感謝 !
最後に1つ重要なことを。
木は如何に乾燥された材を用いたとしても経年変化で必ず痩せてくるもの。
蟻の接合ほど、痩せを嫌うものはない。
甘くなってしまうと、もうガタガタになっていくだけだね。
こんな場合は目も当てられない。
蟻形をテーパーにするというのは、嵌めやすいということもあるが、この乾燥で痩せることを前提として、そうした場合にもさらに打ち込むことで締まってくれるという対応力の強さ故に用いる手法だ。
したがってフィッティングの在り方は完全に相手側に接触するところまで薄くしないようにしたい。  これでもう完璧 !
このところお天気が優れないので、体調がちょっと、ではなく、体調はバリバリだが天板の矧ぎが出来ない。
快晴になったところでイッキに行きたいね。
当地では既に茶摘み娘が忙しく収穫作業に勤しんでいるが、ここ数日の寒さはどうしたことだろう。加えてこの雨。やんなっちゃう。
*画像キャプション(上から)
・テンプレート
・2台のルーターでの切削作業
・ノミでの隅切削
・ユニークな刃形状のノミ
・送り寄せ蟻の雌雄両者